「読書が苦手」を克服するとっておきの読書トレーニング

小学校の低学年であれば、教科書の音読で、どうもリズム感が悪いとか、流ちょうさに欠けるとか、そういうことはよくあることです。
ですが、これが高学年になってすら、たどたどしく読んでいるのを見ると、親としては「ちょっとまずいのでは?」と考えてしまいますよね。

うん。そして、実際、これは放置してはいけません。

あらゆる学習の基盤が弱いってことですから。

随分前の記事でも書いたことがありますが、読書力は読書スピード流ちょうさにストレートに現れます。

こちらの記事では、「相関関係がありそう」と書いていますが、学術論文をひもとくと、読書力と読書スピード、流ちょうさは相関関係にあることが示されています。

そして、この読書スピードと流ちょうさを高めるかなりお手軽なトレーニングというものが存在し、しかも、その読書スピードと流暢さは転移することも分かっています。つまり、1つの文章で流ちょうさを高めるトレーニングをすると、初めて読む文章の流ちょうさも上がっていくということです。

その関係をグラフで示したのがこちら。

《出典:”The Method of Repeated Reading”》

一続きの折れ線グラフは、同じ文章を続けて読んだ時の読書スピードと流ちょうさ(読み間違いの回数)を示しています。
回数を重ねるとスピードが上がり、間違いが減っていますよね?
そして、次の折れ線グラフ、つまり新しい文章になっても、読書スピードは前回の左端と較べてアップしており、間違いも減っているのが分かります。

「同じ文章を繰り返し読めば、そりゃスピードも上がるし、間違いも減るだろ」とツッコミを入れたくなるとは思いますが、その効果は新しい文章を読む場面にも転移するわけです!

このトレーニングは世界中で、かれこれ40年ほど研究&実践されてきており、語彙力、読解力などを高める効果もあることが分かっています。

トレーニングはどういう手順でやるの?

そのトレーニングは、どういうものかといいますと・・・!

同じ文章を何度も繰り返して読むだけ!

もう少し具体的に説明すると、こんな感じ。

1. Reading a short, meaningful passage several times until a satisfactory level of fluency is reached.
(短く、意味のある文章を数回、十分に流ちょうに読めるまで繰り返します。)

2. Then the procedure is repeated with a new passage.
(その後、新しい文章で同じ事を繰り返します。)

補足しますと、文章は英文で5-200語と言いますから日本語でいえば、200文字から800文字(※)くらいでしょうか。
子どもが興味の持てる文章で、それほど難しくないものでいいそうです。
(※レベルアップに応じて長くしていきます。)

何で理解度まで上がるの?

読書が苦手な子というのは、文字を音や意味(単語/文節)に変換するのに注意を向けすぎて、文脈などが取れなくなる傾向にあります。何度も読むうちに文字の意味・音への変換が自動化されていき、意味の解釈に注意を向けられるようになるかだとされています。

さらに付け加えるなら、1回読むごとに、理解を促すような(理解を試すような)問いを投げかけると理解力を高めることができるとも指摘されています。

やるときの注意点は?

なお、注意すべきは「間違いが完全にゼロになるまでやらないこと」だそうです。
ゼロを目指すと、プレッシャーが大きくなってしまい、学習効果が下がる(神経質に読んでしまい、スピードが上がらない)からだそうです。

読書スピードはそれほど早い必要はなく、日本語に換算すると350文字程度(85word per minute)でいいとのこと。

また、読書スピードや、読み間違いの記録をグラフにするなど、ゲーム性を演出しつつ、自分の読みの進化を視覚化させることで、モチベーションが上がる、とされています。

ことのばでは、数人の子どもたちで競わせていました。(^^)
また、敢えて超高速に挑ませることで、ゲーム的な雰囲気も作るようにしていました。

ちなみに今回の記事の原典は…

今回の記事のソースはこちらの論文です。(クリックすると論文のPDFにジャンプします。)

ちなみに、このトレーニング方法は読書が苦手な子どもだけでなく、読書にそれほど問題のないお子さんの読書力アップや、社会人の読書力アップにも有効だそうです。(これと同じ方法を、うちの社会人向けの速読トレーニングでもおこなっており、その効果は保証付きです。)

10日ほど前に書いたこちらの記事も、別系統からの解説ですが、同じ問題を扱っています。

ぜひ併せて、お子さんの読書力アップ、苦手意識の克服にお役立てください!

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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