これまでにも、何度か書いたことがあるのですが、
ことのばでは、「音読のスピード(流ちょうさ)」を
国語力を計る一つの指標としてとらえています。
まだまだデータの数が少ないため、それほど
確かな指標として使える状態ではないのですが、
速読トレーニングが進むほど、
あるいは読書経験値が上がるほど、
音読のスピードも上がっていきます。
ただし、音読のスピードが上がるというのは、
別に「理解のスピードが上がる」ことを意味しません。
単に、視野が広がって、的確に初見の文章を
読み進めることができるというだけです。
ちなみに、NHKアナウンサーだった方が、過去に
フォーカス・リーディングの講座にこられたことが
あるのですが、驚くべきことに「読み上げている箇所」の
10行程度先まで目で追っているんだそうですよ。
それだけ先まで俯瞰しているから、文章の抑揚、
ブレスの取り方など、さっと差し出された緊急ニュースでも
流ちょうに読めてしまうんですね。
というわけで、朗読(スピード音読)のテストをやってみた!
子ども達も、さすがにそのレベルは無理ですが、
視野を広げて、少し先までを俯瞰しながら読む力を
手に入れることで、流ちょうで間違いのない音読が
できるようになると考えています。
教室で音読テストに使うのは、アンデルセン作
『絵のない絵本』という作品。
ひらがな表記が多いため、広い視野で文字を
受け止める力と、瞬時に文節の切れ目を判断できる
文章スキーマが要求される作品です。
これを450文字前後の文字量になるように、
読む範囲を指定して、子ども達に
「できるだけ流ちょうに読もう」と促します。
参考データ:寺田の朗読タイム
私が落ち着いて流ちょうに、抑揚を考えながら
朗読した場合、かかった時間は67秒。
ちなみに文字数は句読点を含めて約430文字です。
読書が大好きで、日常的に読書をしている小学6年生
寺田が読んだものと別の箇所のデータです。
なお、すべて別の生徒(小学6年生)です。
- 文字数約470文字、所要時間:75秒、つっかかった回数:5回
- 文字数約490文字、所要時間:59秒、つっかかった回数:6回
- 文字数約470文字、所要時間:64秒、つっかかった回数:1回
だいたい、似たような数値になっています。
読書が苦手な男の子のデータ(小5-中1)
こちらもすべて別の子どもです
- 文字数約460文字、所要時間:277秒、つっかかった回数:17回
- 文字数約460文字、所要時間:125秒、つっかかった回数:12回
- 文字数約460文字、所要時間:126秒、つっかかった回数:14回
読書力と音読スピード&流ちょうさは相関関係にある!
非常に当たり前で想像通りの結論ですが、
読書力、読書経験値と音読スピード、流ちょうさには
相関関係があります。
では「音読スピードを上げたら読書力が上がる」のかといえば、
それは違うと思います。
ただ、音読のさせ方(取り組ませ方)次第で、
読解力、国語力の向上につなぐことができそうだとは
感じています。
これまでおこなってきた英語力(読解力)指導の方法を
応用することで、一定の成果を上げられるのではないか
という仮説を持っているんですね。
5月から、この音読トレーニングと、作文トレーニングとを
子ども速読講座に導入していく予定です。