今春から常設の教室を持つということで、せっかくなのでトータルに「読書力」につながる講座として再構築したいと思っています。
そこで提供したいと考えている「速読&読書力養成講座」(仮称)のプランを、自分のアイディア整理を兼ねて書いてみます。
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1.ことのば流読書力の定義
基本的には、ここで考える「読書力」については、こちらの記事ですでに書いたとおりです。
[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/blog/trial-to-define-reading-literacy/”]
定義部分を抜き出しますと、こんな感じです。
自身の設定した目的を達成するために、読み方を考え(読書戦略)、情報を読み取り、それを活かす力である。
- A.ミクロ視点で言葉の意味を読み取り、推論もからめながら文、文章の理解を構築する力。
- B.マクロ視点で構造を把握し、推論や知識との統合をしながら、書籍の主張とそのロジックを把握する力。
- C.書籍に書かれている主張や情報を正しく読み取ると同時に、著者が意図したであろう、書かれていない主張を推論する力。
- D.設定された目的を達成するための、
・ある一定のテーマの元に複数の書籍あるいはその他の情報を戦略的に読み、主張と情報を整理、取捨選択する力。
・あるいは、本の読み方、メモやノートの活用法、記憶への残し方などの戦略・仕組みを構築し、活かす力。
2.読書力の構成要素A-Dを高めるために何が必要か?
2-1.A.ミクロ視点での文章読解力
具体的には次のような要素についてトレーニングしていくことになります。
- A1.文節どうしの係りと受けを正しく把握する力
- A2.接続詞や指示語で結びつきあう文の関係を正しくとらえる力
- A3.文・文章として表現されている場面・状況を整理し、自分の言葉で言い換えたり、場合によっては図解化したりする力
さらには、橋渡し推論によって自動的に処理される「書かれなかった事実」を掘り起こす力も、その子の読解力によっては意識的に鍛えてやらなければならないのかも知れません。
例えば「昨日、財布を落としちゃったから、今から買いに行ってくるよ」という場合、「まだ見つかっていないし、見つかりそうにない(あるいは緊急に必要だ)」という事実を、読者が文脈から自動的に補って考えているわけです。
このあたり、英語の過去形と過去分詞の使い分けの能力につながるものですね。普通に読書をしていれば、自然と養われるセンスだとは思うのですが、場合によっては…と。
これについて、具体的にやるワークはこんな感じ。接続詞ワークについては、書籍『子どもの速読トレーニング』ではさわりの部分しか書いていません。もう少し時間をかけて取り組むワークを採用します。
- A1⇒分けてつなぐトレーニング
- A2⇒接続詞ワーク
- A3⇒イメージ化トレーニング
2-2.B.マクロ視点での文章・書籍読解力
1冊の本の内容を外観し、大局的な視野でざっくりと流れをとらえ、整理する力です。
これは次の2つに分けることが可能です。
- B1.物語など時間軸に沿って展開する文章の「あらすじ」をとらえる力
- B2.説明的文章の「ロジック(の骨格)」をとらえる力
これを整理・出力させるわけですが、これも2つに分けることが可能です。
- B3.文章のポイントをとらえ、ごく短い文章に要約する力
- B4.文章の構造を俯瞰的にとらえ、マッピングなどの図解や表に整理する力
実際のワークとしては、このB1-2の2種類と、B3-4の2種類のかけ算で4パターンのワークが必要になります。
ただ、同時に4種類をやるというよりはB1についてB3-4をやり、それができてからB2についてもおこなうというステップを踏むことになろうかと。
ちなみに、マインドマップ的なマッピングメモはフィンランドの読解力指導でも採用されているとのこと。アメリカの教育で使われている論理図とセットで、日本の子ども達にどう学ばせるか考えていきたいと思います。
2-3.C.著者の主張を汲み取る力
物語と説明文とでは、まったく違う作業になりますが、とりあえずは2-2の作業に加えて、一般的な国語のテストにみられる「著者の主張は何か?」という問いを採用していく必要がありそうです。
ただ、この能力をどうしたら鍛えることができるのかというと、今のところその方法論を持っておりません。引き続き、外国や先進的な取り組みをしている研究者・教育者の皆様の実践を学んでいきたいと思います。
なお、当面はフォーマットを用意した上で感想文を書かせることで、そこにアプローチしてみようと考えています。
2-4.D.目的を達成する力
これは読書演習というよりは、各教科の調べ学習などを通じて鍛えていくというイメージです。
というか、ここのレベルを上げていくために2-1から2-3のトレーニングをしていくわけです。
夏休みなどを使って、テーマを設定してプレゼンテーションコンテストなどをするといいかも知れませんね。このあたりは高校教師時代にかなり徹底的にやっていましたので、ノウハウを持っています。それを小学生向けにアレンジしていけばいいかな、なんて軽く考えています。
3.まとめ
ということで、読書力・読解力を高めていくために何をすべきかということを整理してみました。
50分間の速読トレーニングと50分のこれら読解力トレーニングを並行して取り組ませて、半年程度で基本を完成させ、さらに半年で相当レベルの読書力、読解力を完成させられるようなプランを考えていこうと思います。