子どもの読書力をどう評価していくか?

2015年の「ことのば 子ども速読講座」を開講して半年が経過しました。
 
親御さんからすると、「この半年で、子どもはどう変わったのか?」ということは、非常に気になるところだと思います。
 
ただ、結論から言えば「どう変わったのか、一概には評価しづらい」んですね。
 
それは端的にいえば「読書力の評価の難しさ」ともつながっています。

速読講座に何を期待するか?

昨年度の例でいえば、中学受験への効果を期待して入会した小6の子が、半年程度経ったところで「どうやら入試には使えないらしい」という理由で退会しました。
 
ことのばは「読書力」をどう高めるかがテーマの教室(講座)。
なので「入試に使えないから辞める」という判断は、まったくもって正しい!
そういう技術ではないし、指導もしていませんので。
(本当は「受験のための速読」というノウハウはあるのですが、今の「週1指導」という講座の体制では実現できずにいます。)
 
そうでない場合、親御さんとしては「本を読めるようになれば」「長い目で見て、学力アップにつながれば」という、少しぼんやりとした期待をお持ちの場合が多いようです。

長い目で見て「学力アップ」につながれば…

ことのばのWebサイトでも、チラシでも「学力アップ」をうたいます。
 
ただ、学習塾のような「学校のテストの点が上がる」というレベルでの「学力アップ」とは違います。

  • 姿勢と呼吸を整えることで、30分以上集中して読書や勉強に取り組める。
  • 読書の量を積み上げることで、言語的センス、語彙力が高まる。
  • 読書および文法的トレーニングを通じて、ミクロレベルの読解力を高める。
  • 聴く力、メモする力を高めるトレーニングを通じて、授業を受ける基本を作る。

こういう「基礎固め」を通じて、やや長い目で見て学力アップ、あるいは「学ぶ力」を養えればと考えています。
風が吹いて桶屋が儲かるよりは確かだけど、学習塾ほどストレートじゃない、という感じでしょうか。
 
そして上述のとおり、今通っている数名の子ども達の親御さんはそういう期待を持っていらっしゃるわけです。

本当に「つながっている」のか?

こちらは「学力アップにつながりますよ」とうたいます。
しかし、その評価の方法と成果が明確に示せません。
どこか「詐欺っぽい」といえなくもありません。(汗)
 
ほとんどの親御さんは「読書量が増え、集中して勉強できる時間が増えました」といってくだいます。
ですが、それが「学力アップ」という目に見える数字などに出ているかは不明です。
出ていたとしても「それは速読講座の成果です」とは言えません。
 
ここを何とかしないと、「子ども速読」の未来はなさそうだなぁ…と考えています。(´・ω・`)

そもそもの「読書力」を、どう再定義するか?

行き着くところは、先日の記事で書いたような「読書力の定義」の問題になりそうです。
 
齋藤孝氏のように「読んだ本の冊数」での評価も1つ重要な軸になりそうです。
この点でいえば、「ほぼゼロ」だった子ども達が「週1以上」になっていますので、わりと「目に見えた成果」とは言えるでしょうか。
 
ただやはり、「何を読んだか」という部分に目を向けて、ストーリー時間順テクスト)」説明文・論説文非時間順テクスト)」のバランスや、「ライトな読み物(子ども向け小説)」から「ヘビーな読み物(名作、長編、科学読み物など)」へのレベルアップなども見ていかなければなりませんね。
 
そしてさらに、「子ども達が、どのように読んでいるか。読んだ内容をどのくらい熟考、解釈できているか。再構成・整理して出力できるか。」といったところまで踏み込んでいかなければならないことは間違いありません。
 
もう少しPIRLSなど、他国でおこなわれている“読書力に関する評価の方法”を研究して、ことのば流の読書力評価法を構築していかなければならないと考えています。
 
何かご意見やお知恵があれば、ぜひコメント欄やメールを通じてお聞かせくださいませ。

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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