学校教育のレベルを上げるために、何が必要か?

日本って、先進国の中で「教育にお金を使わない」国なんですよ。
 
先週(2016.09.16)の日経新聞に「教育への公的支出 日本 なお低水準に」という記事が掲載されました。
 
なんと、GDPにしめる教育機関への公的支出が、たったの3.2%。
 
よく「フィンランド式」なんて語られる教育先進国フィンランドが5.6%ですから、どれだけ少ないんだよって話です。
 
しかも、国民一人あたりのGDPが、フィンランド:$41,974に対して日本$32,486ですからね。そもそもGDPが77%。そして、教育への支出が57%。
単純計算で、フィンランドの44%しか支出してないってことになります。
(2015年データより)
 
 
義務教育の年数の問題、公立学校の割合の問題など、いろいろ要素は複雑で、単純に比較できないことは分かっていますが、単純にお金をもっとかけてもいいのではないかってことは思いますね。
 
例えば、高校って義務教育と変わらないレベルで進学しているのに、未だに私立高校は公立高校と比べて割高です。
 
元中学・高校教師としては、高校教育を義務教育にする必要は全然ないと思っています。
 
そんなに、全員が高校の教育を受けたいと思っているはずがありません。もちろん、高校の多様化を促して、勉強一辺倒でない、人間教育・技能教育を大事にする学校が作られるなど、「生き方の多様性」が担保されるのであれば義務教育化も「あり」だと思いますが。
 
しかし、有償でいいから公立と私立の学費の差をなくし、完全にフラットにしてしまうような施策は必要だと思います。
 
これについては、前に記事を書いたので今回はこれ以上つっ込みませんが。

[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/column/morozoff-or-pucchin/”]

 
それよりも、学校の先生達が、もっともっと教育の質を高められるような、もっともっと自己研鑽に励むことができたり、授業の改善に意欲的に取り組めるようなシステムが作れないだろうか?と思います。
 
大前提は「先生の身分を保障しないこと」であり、「先生の指導力・教科力を評価するシステムを用意すること」だと考えています。
民間だったら当たり前ですよね。
 
自分の提供するサービスの質を上げていかないと、市場に淘汰されてしまいますから。
 
でも、そのまた大前提として、先生が、自己研鑽に意欲的になれるだけの時間的・金銭的配慮も必要ですよね。(^^;
 
待遇が魅力的で、がんばった分評価されるから、みなさんがんばれるわけで。
 
現状はといえば、同記事によりますと、こんな悲惨な状態があるそうです。

日本の国公立の幼稚園から高校までの教員の14年(2014年)の年間勤務時間は1891時間で、OECD平均を約300時間上回った。

ちなみに、この数字は日本国内の一般労働者の平均と比べても150時間ほど多い計算です。
 
しかも、悲しいかなこんな実態が。

勤務時間のうち授業時間の割合は中学校で32%にとどまり、平均の45%と比べ、課外活動や事務作業、会議などに多くの時間を割いている実態が改めて浮き彫りとなった。

どんな職業だって、「商品を作る時間」と「その商品を売るための仕組みや経営のための時間」とを考えると商品を作る時間(人×時間)より、それを管理したり販売したりする方の時間が多くなるものだろうと思います。
 
私だって、速読や学習を指導している時間の何倍もの時間を、マーケティングやその他の時間に使っています。
 
ただ普通の職場であれば、商品開発部とマーケティング部、総務部などの役割分担があるわけですが、学校では、確かに事務員さんはいらっしゃるものの、面倒な書類作成や会議、あるいは本職とまったく関係ない部活動を先生がすべて背負っています。
 
ここは何とかならないものかと思うところです。
 
しかも、勤続年数が15年の小中高校教師の給与は、この10年間で、なんと7%減っているんだそうですよ!
 
不況だから?(笑)
実際、民間企業の給与もこの10年間で5%程度下がっていますけどね。
 
公務員で身分が守られているんだから、多少、給与が低くても文句言うな!という意見はあっていいと思います。
 
ただ、子ども達の、そして日本社会の未来を創る教育の質・レベルが上がるような形、配慮をして欲しいし、そういうシステムを実現して欲しいものですよね。(^^;

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フォーカス・リーディング主宰者

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