こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。
今月下旬に、近所の有名塾で「高校入試実力判定テスト」なるものが実施されるようです。
これは当然、中学生が対象です。うちの教室に通う中学生諸君にも、「ぜひ受けておいで」と勧めています。
(ただし、その後、営業の電話と葉書がばんばん届くので、それが面倒かも知れませんが…)
中学生の実力考査の活用法
中学生であれば、この手のテストを受ける理由(目的)は明快です。
普通に考えて、次の2つですね。
1.福岡県内・学区内の順位を知ること
受験は自分との戦いであり、自分の「学ぶ力」をどう育てるかということが最大の命題です。
ことのばは、基本的にその部分を育んでいこうという教室。
とはいえ、同時に受験は「他者(ライバル)との競争」でもあります。だから、その指標として「順位」とか「偏差値」というものがパワフルに存在します。
これを無視するわけには行きません。
2.自分の実力を知る
定期テストは範囲も決まっており、問われ方もシンプルです。そのものズバリを問われますから。
しかも、勉強期間とテストが直結しており、長期的な熟成した学力は分かりません。
これまで学んできたものが、本当に使いこなせる知識・学力として、どの程度定着しているのかを測るのが実力テストです。
こういうテストを受けることで、どの程度の問題を解けて、どのような問題だと悩んでしまうのか、客観的なデータを手に入れることが可能です。
その結果を受けて、長期休暇を含めて受験をにらんだ勉強をどう進めていくか考えていきたいところです。
小学生の実力テストの活かし方
小学生向けに毎年開催されている、四谷大塚の全国統一小学生テストは6月2日に終わっていますが、こういう試験を定期的に受けて、自分がどれくらいの力を持っているかを確かめてみるのは、とてもいいことです。
しかし、そもそも、中学受験のための塾に通っている子どもたちを前提にしたテストですので、かなりハイレベルな問題が出題されます。テストのテクニックの有無も点数に影響します。
ですので、全国順位とか偏差値とか、そういう他の小学生との比較をする必要はありません。
大切なことは、以下のようなポイントでテスト後(採点結果が出る前でOK)に振り返りをすることです。
1.問題の文章(課題文)をスムーズに読み、理解できたのか
難しいとはいえ、あくまで小学生レベルの文章が出題されます。
そのレベルの文章を読んで、指示語、代名詞、接続詞など、文・文章レベル(ミクロレベル)の意味・つながりを的確に処理できているのかを確かめる必要があります。
また、「結局、この文章はどんなお話だったの?」という要約、全体像を把握できているかという、マクロレベルの理解をチェックすることも非常に重要です。
2.設問で問われたことの意図がつかめたのか
答えが最終的に正解だったのか不正解だったのかという部分は、あまり重要ではありません。「テスト」というと、どうしても、そこにとらわれがちですが…。
もっと大切なことは、解答が×・△だったとしたら、課題の文が読めなかったのか、設問が理解できなかったのか、答え方が分からなかったのか、単純なミス(読み間違いも含む)だったのかという、間違い方の傾向を知っておくことです。
少なくとも、小学校5年生以上になれば、抽象的な概念を扱える思考力、論理力が必要になります。
こういうテストを受けることで、今まで気にしていなかった問題(課題)が浮かび上がってくるものなのです。
小学生のテスト対策的な読書
抽象的な概念を操作する力、イメージ力などは結局のところ、読書で少しずつ鍛えていくしかありません。
ただし、小学生向けの読みやすい物語ばかり読んでいては、それは望めません。
文学作品(夏目漱石、森鴎外など)や大人でも楽しめるような小説(東野圭吾、吉本ばなな、星新一など)、子ども向けの科学読み物(岩波ジュニア新書)などを週2〜3冊くらいは楽しめるようになっておきたいものです。
単純な読書の量(冊数)は学力を高める効果はありませんが、こういう「読書の幅」が、読解力、学力、語彙力を育んでくれるってことを理解しておきましょう。
そして、読んだ内容について親子で語り合ったり、内容を説明させたりしながら、「読んだものを、自分の言葉で出力させる」ような習慣も自然体で育んでいきたいものですね。
ということで、実力テストを「学力アップ」にどうつなぐかというお話でした。