子どものサバイバル能力はこう高めよ─『お手伝い至上主義でいこう!』

大学を出たからと言って、正社員の道が開かれるわけではなく、
今ある仕事の半分は、子ども達が大人になる頃には無用になり、
今の仕事でさえ、クラウドと海外へのアウトソースで値下がり。
 
こういう「これまでの常識」が通用しなくなった時代。
親の価値観を子どもに焼き付けるだけの教育では、将来、子どもが親の元を巣立った後、路頭に迷わせることになりかねません。
 
子どもに身につけさせるべきは「サバイバル能力」。
どんな時代でも、たくましく生き抜く力なのです。

サバイバル能力とは何か?

私が考えるサバイバル能力とは、究極的には「どんな社会・時代にあっても、自分らしく生き生きと活躍できる力」のこと。
それが「社会」の中で「価値」として認められるためには、こんな要素が必要になります。

  • 世の中を、自分のフィルターと好奇心をもって眺め、
  • 自分で問題を発見し、
  • 自分の責任と判断で解決策を考え、
  • 解決に向けて主体的、能動的に行動できる。

ひとことで言うなら「自分の頭で考え、自分の判断で行動できる」── そんな力です。
それは社会の中で「貢献」にフォーカスすると「クリエイティブ」な仕事として結晶化します。
 
もちろん、単に好奇心や思考力、行動力があるというだけではダメ。
それを支える、いくつかのスキルが備わっている必要もあります。

  • 他者との円滑な共生を可能にするコミュニケーション力、共感力
  • 情報を的確に把握する情報摂取力(読む力・聞く力)
  • ロジカルに深め、ラテラルに展開できる思考力・判断力
  • 意図を適切に伝えられる情報伝達力(話す力・書く力)

たびたび私が持ち出す「学力の樹」の「根」と「幹」の部分ですね。(^^*
学力の樹
これらは学ぶ力の中心でもあり、またどんな仕事でも必要になるメタスキルです。

サバイバル能力はどうしたら育てられるか?

前者と後者のかけ算で生まれる能力こそが、私の考える「どんな社会でもサバイバルできる力」です。
 
後者のメタスキルはある程度、ノウハウとして世間でも出回っています。教育を通じて身につけさせることは難しくありません。
 
しかし、サバイバル能力の中核たる前者の力は、言ってみれば「文化」にも関わる領域。
日々の躾、子どもとの関わりの中で培っていくべきものです。
 
具体的には、どうしたら子どもに身につけさせられるのか…?
 
これまで、このブログでは「とりあえず、あれこれ子どもに過保護に口を出すのを止めましょう」と書いてきましたが…
 
「でも、それじゃ不安なんですよ。ついつい言いたくなってしまう。」
── そんなふうに言われたこともありました。
 
子どもとの間で起こる様々なやりとり。家庭の内外で起こる大小の事件。
そういう中で生まれる、自分の中のせめぎあいにぶれないモノサシ、確固たるルールがないと、いつの間にか元の状態、楽な方に戻ってしまうかも知れません。
 
どんな時でも「基本」として立ち返られる思考のフレーム、判断基準が欲しいところですね。(^^*

子どものサバイバル能力を育てるための子育て教科書の決定版!

そこでお勧めしたいのが『お手伝い至上主義でいこう!』という子育てノウハウ書です。
 
お手伝い至上主義でいこう!
 
『一瞬で大切なことを伝える技術』著者はK.I.T(金沢工業大学)虎ノ門経営大学院の主任教授、早稲田大学およびグロービス経営大学院の客員教授として、戦略思考等について指導していらっしゃる三谷宏治氏。
著書として、2012年にビジネス書大賞も受賞した『一瞬で大切なことを伝える技術』など、非常に素晴らしい作品を多数、世に送り出していらっしゃっています。

「お手伝い至上主義」とは?

三谷氏は、社会人のほとんどの人が「18歳のときに考えていた職業」と違う職に就いている現状、ビジネスの成功者が「成功は予期せぬ偶然の結果」である実情から、次のように語ります。

「夢」を定めること、破れた夢を造り直すこと自体が、大切な人生の一部なのです。近道はありませんし、急ぐことはありません。

そして、日本の親たちは子ども達に「与えすぎ」ることによって、子ども達の人生をだいなしにしていると警鐘を鳴らします。何事も「与えすぎない」ことによって、子ども達のうちなるパワーが引き出されるのだ、と。

  • 自己判断力、主体性を育むために「指示」を与えすぎない
  • 自己管理力を育むために「予定」を与えすぎない
  • 発想力を育むために「モノ」を与えすぎない
  • 意欲を育むために「カネ」を与えすぎない
  • 問題発見力を育むために「答え」を与えすぎない
  • 学習能力を育むために「勉強」を与えすぎない
  • 自己鍛錬機会を作るために「夢」を与えすぎない

著者は、その解決の基本方針として…
 
暇・貧乏・お手伝い

の3つを習慣にさせようと提案します。
 
その理論は非常にシンプルかつ明快。
与えすぎなければ、子どもはちゃんと育つよ、と。
 
タイトルの「お手伝い至上主義」も上記の「与えすぎ」へのアンチテーゼを端的に表現し、子育ての指針として提案されたもの。
多くの親御さんが「勉強至上主義」に陥っているがゆえに、そのバックアップと「やる気アップ」のために(と思い込んで)何もかもを与えすぎてしまっているというのが、著者の問題意識です。
 
ただ、お手伝いをさせるのには、親の忍耐が必要です。風呂の掃除を任せているが、いつになったら動き出すのか…。部屋の掃除をしなさいといっても、なかなか動かない…。
そこで「至上主義」だよ、と。

お手伝いを子どもたちにちゃんとさせるには、親のガマンの他にもう一つ、条件があります。
多くの家庭では、子どもたちは忙しすぎて、お手伝いなどするヒマがありません。(中略)
お手伝いを、勉強よりも、ゲームよりも、学校よりも大事なコトだと位置づけるのです。
決められたお手伝いをちゃんとやっていないなら、学校に遅刻してでもやってから行かせる。もちろん、お手伝いなくしてお小遣いなし。

この基本さえできていれば、よし、と。
確かに、子どもは自分の時間をいかに使うべきかという段取り力、タイムマネジメントスキルも身につけてくれそうです!
 
「お手伝い」以外の要素についても、考え方の基本を示しつつ、ケーススタディ的に「子どもに携帯電話を与えていいか」、「お小遣いをどう与えるべきか」といったことについても、三谷家のやり方をからめながら語っています。
 
その解説、ノウハウ(?)のわかりやすさ、実践しやすさ(まねしやすさ)もさることながら、その子育て術の結果として育ったたくましい3人の娘さんの手記(寄稿文?)も、実に納得感あふれる内容となっています。
 
本書のキャッチコピーに「子どもの就職力を高める」とありますが、まさにこういう育てられ方をした子どもなら、どんな企業でも採用したくなるでしょうし、独立して起業家としても十分に活躍できるはず、と思えます。
 
そして、それも「そう思えます」というより、

  • お手伝いをよくする子どもほど、正義感・道徳観が強い傾向がある(文科省2009調査)
  • お手伝いをちゃんとしていて、生活習慣ができている子どもほど、国語や算数の成績がいい(東京都2009調査)

こういったデータや、企業での実話などを交えながら、説得力高く語られているのです。
 
もし、あなたの家庭が「勉強至上主義」になっていて、お手伝いもできていない、自分のことを自分でできていない…そんな悲しい(サバイバル能力が育ちようのない)状態になっているようであれば、この本を教科書にして、お手伝い至上主義、暇と貧乏を大事にする子育てに切り替えてみてはいかがでしょう?
 
お手伝い至上主義でいこう!

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