これからの読書はどうなるんだろう?

読書と深く関わるようになって20余年。
社会人向けの読書指導をし始めて10余年。
子ども達や大学生の読書指導をし始めて数年。
 
いったい全体、これから読書はどうなっていくんだろう?
日本の知性、大丈夫か? と思うようなことも多くなってます。
 
 
先日(2016.07.06)、日経新聞に、大学が授業時間数をどう確保しているか悩んでいるという記事が掲載されておりました。
 
なんでも、中教審の答申で「大学の授業時間数を増やせ」という話が出てきたのだとか。
 
今まではなーなーにされていた大学の授業を、きっちり15コマやれ、と。
 
それでどうなったのかというと、祝日に休ませると12回くらいしか授業ができないから、ゴールデンウィーク中も授業をやるし、休講はできないし・・・で、大学側も学生側もひーひー言ってますよ、と。
 
ただ、日本の大学生の最大にして、致命的な問題は「本を読まない」ということですよ。もっというと授業外の自学の時間が足りていないってこと。
 
前に紹介したことがありますが、アメリカの大学生が授業外も含めて、在学中に数百冊の本を読むのに対して、日本の大学生はその1割にも満たないレベルしか読んでいないという現実があります。
 
こちらの記事は東洋経済ONLINEに掲載されたコンサルタント波頭亮氏とMITメディアラボ所長の伊藤穰一氏の対談。

[blogcard url=”http://toyokeizai.net/articles/-/17073?page=2″]

この中にこんな言葉(波頭氏)があります。

最近見た、最もショッキングな数字は、大学卒業までに読むテキストの量の日米比較で、米国の大学生は4年間で400冊読むのに対して、日本の大学生はわずか40冊しか読んでいないということらしいです。本を読んで理解するというのは、スポーツでいえば筋力トレーニング。その基礎的なトレーニングが、日本人は圧倒的に少ない。

2014年のデータですが、第49回学生生活実態調査を紹介したJ-Castニュースによると…

[blogcard url=”http://www.j-cast.com/2014/03/02197896.html”]

調査に協力した全国の国公立、私立大の学部学生8930人の1日の読書時間は平均26.9分で、同じ方法で調査している2004年以降最も短くなった。読書時間ゼロの学生は40.5%に達したという。

大学の授業時数を増やすよりも、大学の授業で「家で読書をせざるを得ない」ようにするのが筋だと思うのですが、それをやると学生に嫌われて逃げて行かれちゃいそうなので出来ないわけですね。時間数を増やすのは「お上からのお達しだし、他の大学もやっているからしゃーないよね」と学生を納得させることができますので。
 
ちなみに、若者が「本」を読まなくなったのは日本に限らないわけでして、アメリカでも2010年にこんなレポートが出されています。

[blogcard url=”http://www.yalsa.ala.org/jrlya/2010/11/teens-today-dont-read-books-anymore-a-study-of-differences-in-interest-and-comprehension-based-on-reading-modalities-part-1-introduction-and-methodology/”]

このレポートでは、若者は本当に本を読まなくなったのか、それとも「紙の本」を読んでいないだけで、電子媒体などは読んでいるよねなんてことにも言及されています。あと、アメリカらしくオーディオブックの利用も増えているし…みたいな感じ。
 
結局、スマホの普及で紙の本を読む時間はどんどん奪われているのは世界共通なんだけど、日本の場合は義務教育で「本の読み方」を指導しませんし、大学の授業ですら本を読むように仕向けないので、アメリカ以上に深刻な事態になっていることは間違いありません。
 
 
それとは全然違うレベルの話として、やはり「書店が消えてしまい、魅力的な書籍と出会う場所が少なくなった」という問題もありますよね。
 
先週(2016.07.08)の西日本新聞朝刊に「町の書店 存続の危機」という見出しの記事が掲載されました。
 
何でも85%の小規模店の経営が悪化しており、存続の危機に立たされているんだとか。
 
品揃えの豊富さでJUNKUDOとかTSUTAYAなどの大型書店に負け、欲しい本をすぐに入手できる利便性でAmazonに負けていますからね。そりゃ、経営努力のないところに勝機はありません。
 
しかも、書籍の市場規模は1996年と比べて、この20年間で6割弱の規模まで縮小してきているとのこと。
 
学校教育では、「朝読」と「調べ学習」によって本と触れあう時間が確実に増えているはずなんですが、家庭で読書活動をバックアップする土台がなければ、子ども達は本を読むようにはなりません。
 
しかも、読書の最大の敵であるスマホを、よせばいいのに高校入学した途端に簡単に買い与え、しかも使いたい放題使わせていますから。
 
学校現場でも、あと数年もしないうちに、義務教育にもタブレット教科書が導入されます。
そうなると、ますます「紙の本を読む」読書から離れていく前提が整えられていきます。
 
別に紙の本にこだわらなくても、電子で読んでいればいいじゃんって話にならないことは、すでに何度も書いたとおり。
学習効果が下がるし、脳の状態も学習向きじゃない状態になってるし、、、そもそも長い文章を行ったり来たりしながら、文脈や全体のロジックの構成を俯瞰するような読み方ができませんし。

[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/column/table-in-school/”]

 
 
私は、知性を育むのに読書は絶対的に欠かせないものと考えています。
口頭でのコミュニケーションなどでしか得られないものがあることを認めた上で、それでも「言葉」という道具を使いこなせるようになるためには「紙の本を読む」ことが必須だと考えるわけです。
 
今のままじゃ絶対にマズイ。
 
大学生、特にヤバイ。
 
でも、大学生のヤバさは小学校時代からの積み上げで作られてるんですよね。
 
大学になって何とかしようってことではなく、子ども時代からちゃんと本を読む習慣を子ども達に与えていきたいものです。
 
そのためにも、このブログでは、小学校時代から着実に知性を積み上げていけるような読書の方法を、できるだけ科学的に、できるだけ分かりやすくお伝えしていきたいと思っています。(^^*
 
読み聞かせから、読解力ワークまで、とにかく読書にまつわることをいろいろ!

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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