こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。
このブログでも度々書いていますが、
読書量は、そのまま学力に直結するものではありませんが、いくつかの指標にフォーカスして分析すると、「やっぱり、子どものうちから本をたくさん読ませなきゃ!」という事実に行き当たります。
今日はそのあたりのお話を…
2011年から(だと思うのですが)「語彙・読解力検定」なる検定が、ベネッセコーポレーションと朝日新聞の共催でスタートしています。
社会を見る眼を作るのは「語彙」だよね、という発想で、その力を測定してみよう、というわけです。
その結果を分析した資料が公開されているのですが、なかなか興味深いことになっています。
まず、非常に当たり前だよね、という結論。
読書を好きな人ほど「語彙力」が高い。「とても好き」と答えた人と「まったく好きではない」と答えた人では29.5%の差がある。
本を「まったく読まない」という人と、「月に1-3冊読む」という人でも、随分と差が付いてしまっています。
実は「マンガ」であってもゼロよりまし、という結果になっています。
ただ、量が増えたら語彙がその分増えるのか?
という問題については、面白い結果が。
高校生の場合、「月1-2冊」と「月3-5冊」では、「3-5冊」が語彙力が高い」と言えるのですが、「6-9冊」になると下がっています。(笑)
小中学生の「読書量と学力」の関係についての調査でもほぼ同じ結果が出ています。
そのレベルだと、語彙が増えるほどの読書量にならず、その分、学校の勉強などがおろそかになる…というような話でしょうか。謎です。
ちなみに電気通信大学の猪原敬介先生らによる論文「複数の読書量推定指標と語彙力・文章理解力との関係」では、次のように書かれています。
小学校5・6年生になると「読んだ本の数」が言語力の有効な予測変数とならないことが示唆される。
大学生だと、量に比例して語彙力も上がっています。(^^)
さらに言いますと、フィンランドの小学生のデータでは、読書量と学力は比例関係にあるのだそうです。
ということは、学校での読解指導の有無が関係するとも考えられますね。
次に「何を読んだか」のお話。
新聞やノンフィクション(新書、実用書など)を含めて、複数ジャンルの本を読む人は語彙力が高い。
これについては、小中学生の読書量と学力の関係をレポートしたものの中で、次のように指摘されています。
読書の多様性レベルが高くなるほど「読解力」スコアが高くなる傾向を示している。
そういう子たちは、読書量に比例して、学力が上がっていくのだそうです!
ということは、、、ですね。
- 小学校5年になったら、古典的な作品や世界の名作の他、ノンフィクション作品にも挑戦させましょう!
- 読書量としては週2-3冊程度を目標に、様々なジャンルの本、ちょっと背伸びをするレベルの本を読ませましょう!
というところでしょうか。
ことのばでも、本をたくさん読んでいるのに読解力がいまいち伸びない子の特徴は、
- 同じジャンル、しかも自分が楽に楽しく読める本ばかりを読んでおり、名作やノンフィクションに手を出さない。
- 読解力問題で、じっくり考えようとせず、すぐに答え合わせをしたがる。
ということが共通しています。
背伸びをするレベルの本を、噛みしめて読む体験を、小学生のうちから、しっかりとさせておきたいものです。(^^)