僕が子ども達に「多読」を勧める、これだけの理由

ことのばの基本は「言葉」を育む教育。
 
中学生の学習法指導をスタートさせた今でも一番大切にしたいのは「読書」です。
だから商売抜きで「子どものための読書サロン」も作っているわけです。
 
速読講座でも、子ども達には読解トレーニングや言語トレーニングなど、いろいろなことをさせますが、それは「サブ」に過ぎません。やっぱりメインディッシュは読書なんです。
 
そして、とにかくたくさん読もう、と勧めています。
 
小学校4年生であれば、目標は年間50冊。
小学校を卒業するまでに300冊。
 
もちろん、読書に慣れていない子たちは、そんなに読めません。
それでも「週に1冊読める力を付けていこうね」と呼びかけます。
 
なんで、そんなに「たくさん読む」ことを強く勧めるのか?
それには、私なりの理由があります。

1.読書を生活の一部にする

小学校時代というのは、比較的子ども達は本をよく読みます。
ですが、中学・高校と進むに連れて、勉強と部活動が忙しくなるからでしょうか、途端に本を読む量が減ってしまいます。
 
小学生の平均は11冊/月、中学生は4冊/月、高校生は1.5冊/月。
「月に1冊も読まない」子の割合を「不読率」と呼びますが、2015年のデータを見ると、小学生は4.8%、中学生は13.4%、高校生は51.9%。学年が上がるに連れて読まなくなっています。
 
社会人になると、不読率は約60%。「1冊以上読む」と答えた人でも、読む量の最多ボリュームゾーンは「月に1-2冊」ですが、それでも中学、高校生の頃よりもたくさん読む人が多くなっているとの調査結果が出ています。(2012年、マイナビ調べ)
 
一つの仮説に過ぎませんが、子ども時代に本を読む習慣をしっかりと作り、読書を生活の一部にしてしまっておくことで、中学・高校になっても読書を続けていけるし、社会人になって時間に余裕さえ生まれれば、再び本をたくさん読めるようになるのではないかと考えています。
 
要するに「生涯、学び続けられる力と習慣を養う」わけです。

2.興味の幅を広げる

本を読む子とで知識の量が増えると、情報を相対化してとらえることができるようになり、より冷静で客観的な判断をすることができるようになります。
情報化社会では、玉石混淆の情報があふれていますので、この力は非常に重要だと思うのです。
 
そして知識は「読んだ分だけ増える」のではありません。
 
知っている情報が豊富な子どもは、自分の知らないことにストレスを感じたり、疑問を感じたりすることができます。
それが好奇心を生み、調べてみたくなるものなのです。
 
この「知識が知識欲を生む」ということが、自己教育力としての学力、自ら解決すべき問題を発見し、学び、解決していく力につながっていくと考えています。

3.世界を読み、世界に発信する力となる

世の中を整理し、分析するために必要なもの。それは道具としての言葉、語彙です。
言葉が豊富であれば、世の中を分析的に見る画素が上がります。
 
ワインの味を繊細に感じ取るのも言葉。
もののあわれを感じ取る感性だって、結局のところ「言葉」の力です。
 
逆に、自分の想いを伝えるのも、価値を伝えるのも言葉。
 
「デザインの価値(値段)すら、結局はそのデザインの意味と価値を語る言葉の力で決まる」と、ある著名なコンサルタントさんお二人が異口同音に語っていらっしゃったことを憶えています。
 
様々な媒体、手段が選べる時代ではありますが、相手に言葉で伝える力、言葉で相手を動かす力、そして相手の真意を正しく理解する力、世の中を正確に分析する力・・・そのすべてが「言葉」にかかっているといって過言ではないでしょうね。

4.学校で求められる学力、社会で求められるビジネス力の下地を作る

上の3つのような力は、当たり前のことですが、学校の成績や社会人としての基礎力にも直結していきます。
 
単純に量が質に転化するとは言い切れない側面はあるものの、量がなければ質が生まれないのは事実。
 
あくまで私の指導経験の範囲で感じていることに過ぎませんが、数学の問題ような抽象的な内容を、図に表したり、式に表現したりする力は、結局のところどれだけたくさんの物語を読んできたかで決まるようなところもあるものです。
 
逆に社会人になると、他社・他業種の事例を調査し、そこから抽象的なロジックを抽出して自社に当てはめる力が求められます。
抽象化し、具体化する力です。
 
これについては、「持っている情報の量」と「抽象化する力」の掛け算で、その精度が決まるといっていいでしょう。
そして、そのどちらも読書の蓄積で決まるといっても過言でないわけで、ということは読書量(力)が二乗で響いてくるとも考えられるわけです。
 
ま、どちらも、そんなごちゃごちゃ語らなくても、誰もが納得することだとは思いますが!

基本的に、読書って何か特定の、あるいは具体的な目的を持って読ませるというよりも、人生の強固なベースを作るための営みと考えています。
 
そして、それは量が多くなればなるほど強力に効いてくるものだと、1500人を越える社会人のみなさんの読書・速読指導をしていて強烈に感じています。
 
そういうわけで、まずは「量」を作りましょう。
 
そこから、戦略的に「幅」を作り、「質」を上げるのが最良の作戦です。

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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