こんにちは。読書と学習法のナビゲーター、寺田です。
ようやく新学期、最初の月が終わりますね。
ことのばでは、
「論理思考力・作文力マスターコース」
という、ことのば史上初の講座をスタートさせ、
なかなかスリリングに展開しております。
何がスリリングかというと、参加してくれている
小6から中2まで合計6人の子どもたちが、
どういう思考回路を持っていて、
何を提示したら、どういう答えを出してくるのかとか、
どういう説明をしたら、どこまで理解できるのかとか、
見当が付かない部分が大きいんですね。
一方的に教えるだけなら簡単です。
でも、この講座で目指しているのは、
子どもたちの思考回路を作り替える作業。
常に子どもたちとのリアルタイムの
やりとりで授業が進行していきます。
なので例えば、子どもたちが予想外の発言や
見当外れの回答を出してきたとしたら、
それを「間違い」として修正させるだけでは
ダメなんです。
答えを否定してしまうのではなく、
その考え方はどこがずれていて、
どう考えればよかったのかという
「改善提案」としてフィードバックを返します。
その上で、次の問題を考えるときは、
さっきよりも進化した答えを出せるように
したいわけです。
「思考回路を手に入れさせる」というのは、
これがなかなか難しい。
最初に丁寧に「例」を何パターンも示し、
それをなぞってワークに取り組めるようにしますが、
それで全員がすんなりできるようになるわけでは
ありません。
いや、本当はこういうハイレベルなことだけでなく、
何かまっさらな状態で新しいことを学ぶのって、
基本的にすごく大変なんですよ。(^^;
例えば、小学校1年生にひらがなを学ばせる時。
はーい、じゃぁ、お手本を見ながら書いてご覧!
では、ダメなんですね。
文字の形をどう見るかとか、
模写をどうしたらいいかとか、
そういう概念がない子どもの場合、
まっさらな紙に「見て書き写す」のが
非常に難しいわけです。
じゃ、どうするかというと、
手本の文字に周りに
正方形の枠を書いてやって、
さらに書き写す紙にも正方形を書いてやる。
対象(文字)を捉えるフレームを与える方法です。
もう一歩進めるなら、その中心に+を書き入れます。
※画像は「ちびむすドリル」さんの漢字プリントをキャプチャーさせていただきました。
あるいは書道であれば、ハネやトメなど
注意すべき点に○印を付け、
フォーカスを明示するかも知れません。
こういう思考や学習の補助線を
どう引いてやるか?── そこが指導者の
腕の見せ所かも知れません。
じゃ、お手本通りにやってご覧
このアドバイス(指示)で、うまくいかない場合に、
どういうサポートを用意すべきか?
初めて学ぶ論理思考にどういう補助線を
引いてやるのか?
どういうスモールステップの
階段をかけてやれるのか?
指導者は上手な導き方を、
徹底的に考え、試行錯誤しなければ
ならないわけです。
そういえば、山本五十六の名言──
やってみせ、
言って聞かせて、
させてみせ、
ほめてやらねば、
人は動かじ。
── 山本五十六
この「やってみせ」⇒「言って聞かせて」の
山本の真意は分かりませんが、
手本を見せるだけでなく、
その手本の見方を示してやらないと
相手は何も学ぶことができないということを
示しているのかも知れません。
この「言って聞かせて」の部分が
先ほど書いた「思考や学習の補助線」であり、
相手のフォーカスを正しく設定させるポイント
と考えるべきでしょう。
その上で「させてみる」のですが、
いきなり
じゃ、やってみ!
ではなく、
少しずつ手本の補助線を消していく、
ゴールまでの階段を1つずつはずしていく、
そういう作業が必要です。
いきなり「やってみ」では乱暴だし、
いつまでも補助線・階段を使わせるのは
スポイル(甘やかしてダメにする)になります。
数学でも、国語でも、英語でも、社会でも…
「できない」「わからない」という子どもに対して、
どう「それならできそうだ。やってみよう。」と
思わせるような補助線を引けるか。
論理思考トレーニングコースを
始めたのをきっかけに、
いろいろ工夫していこうと思います。
追伸
こちらの数学の証明問題のフレームも、
この発想で作られたものです。
単に虫食い式(穴埋め式)の問題では、
「証明のフレームワーク」が身につきません。
それは、よくないタイプの補助だと
私は考えており、それに帯する対案として
作ったのが、このフレームです。
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