顧問複数掛け持ち経験者が語る「学校の部活動問題」

先週末、Yahoo!ニュースにこんな記事が掲載されました。

[blogcard url=”http://bylines.news.yahoo.co.jp/ryouchida/20160110-00053274/”]

この記事には次のような記述があります。

「スポーツ障害やバーンアウトの予防の観点、
生徒のバランスのとれた生活と
成長の確保の観点などを踏まえると、
行き過ぎた活動は望ましくなく、
適切な休養日等が確保される」べき
と主張されている。

何なんですかね。この記事。
 
そんな話、聞いたことない。
 
と思って、旧文部省の
「運動部活動の在り方に関する調査研究報告書」
とやらを読んでみました。
 
そしたらやっぱり「確保されるべき」とは書いてない。(笑)

行き過ぎた活動は望ましくなく,
適切な休養日等が確保されることは必要なことである。

と意見が述べられているに過ぎません。
 
週休2日とかの話も
「休養日等の設定例」として
例示されているだけ。
 
ま、執筆者が内田良氏という
学校教育に何かと批判的な記事や
書籍を出している方ですので、
ポジショントーク的ねつ造
ということでしょうか。
 
 
ちなみに、その報告書には
 
「部活動に生徒の意見が反映されているか」
 
という質問に対して、生徒の回答は
中学生で75.4%,高校生で82.0%%が
 
「反映されている」
 
と回答しています。
 
そして、運動部に所属する生徒の83%以上が
 
「(部活が)楽しい」
 
と答えています。
 
だったらいいじゃんって話です。
 
 
生徒の意見が反映されていて、
活動も楽しい。
 
そして、その部活動は
週6か7日、
だいたい1ないし3時間くらいある、と。
 
 
もちろん、生徒によって
温度差はあるでしょう。
 
でも、ついていけないなら
辞めてしまえばいいわけです。
 
日本的集団の圧力というか、
なんかいい雰囲気でやってるのに
自分だけ休みたいって言えないとか、
辞めたいって言えないとか、
そんな話はいくらでもあるでしょうね。
 
でも、それは部活動とは別次元の話。
 
 
部活動の問題というのは、
そこじゃないと思うわけですよ。
 
元高校教師、複数の部活動を
掛け持ち顧問していた身としては!
 
他県は知りませんが、
福岡県は、県教育委員会の指導として
 
「全教師がどこかの部活動の顧問を担当すること」
 
となっています。
 
学校によっては「2つ以上の部活動を持つ」ように
なっています。
 
なぜか?
 
生徒数が減り教師の数が減っているのに、
昔からある部活動が廃部にならないから。
 
私の例でいいますと、
採用された初年度=平成7度は
吹奏楽部の副顧問(指導者・指揮者)。
 
その翌年度から3年間は
卓球部の副顧問(指導者・監督)がプラス。
(半分は行き掛かり上。半分はすすんで。)
 
その翌年度は卓球部のみになり、その翌年に転勤。
 
転勤した中学校では、
初年度には野球部の副顧問(これは単なる見守り隊)。
それとセットで生徒会の顧問。
 
翌年度はバスケットボール部の正顧問。
それとセットで、
生徒会の顧問、進路指導主事を務めました。
 
 
別に苦痛ではありませんでしたよ。
 
若かったし、独身だったし。
 
授業以外に、
生徒と関われるチャンネルを
持てるというのは、
嬉しいことでしたから。
 
 
ただ、同じことを45歳の今、
家族、子どもがいる状況で求められたら?
 
憤死しますね。はい。
 
残業代も出ませんし。
 
なんつーブラックな働き方!って思います。
昔の自分を客観的に見ると。
 
私の記憶が確かならば、
土日は4時間以上の
活動実績があれば、
時給換算で300円くらいは
支給されていたはず。
 
でも、「午前中9時から12時」とか
「午後1時から4時」とかだと無支給。(苦笑)
 
むしろ、生徒にジュースとか
アイスクリームとかの差し入れでマイナス。
 
大会や練習試合の引率とか、
どんだけ時間とお金が飛ぶか!
 
 
「週休2日が望ましい」とか
「毎週水曜日は定時退校日です」とか
そんな話は、部活動には関係ありません。
 
だって、部活動は「生徒の活動」ですから。
教師は支援者でしかない。
 
生徒が主体的、積極的に
 
「先生、部活をもっとさせてください!」
 
って来るわけですよ。
 
「先生、お盆休みは要りませんから、
 合宿をさせてください。」
 
「先生、1月2日がOB戦ですから、
 年末は30日まで練習しましょう」
 
「先生、定期演奏会直前の1ヶ月は
 夜9時まで練習させてください」
 
とか。(笑)
 
私の場合、最初のころ、
それがダブルで来ますから、
土日の休みとか取ったことがありません。
 
4月:入学式で吹奏楽部演奏
5月:卓球部のインターハイ予選
6月:文化祭で吹奏楽部演奏
7月:吹奏楽コンクール
8月:卓球部新人戦
9月:体育祭で吹奏楽部演奏
10月:高文祭で吹奏楽部演奏
11月:吹奏楽部アンサンブルコンテスト
12月:(推薦入試の小論文指導)
01月:(一般入試の小論文指導)
02月:(一般入試の小論文指導)
03月:卒業式で吹奏楽部演奏
   吹奏楽部定期演奏会
 
12月からは部活の行事は特にありませんでしたが、
大学入試対策(私は小論文指導と政治経済指導)で
てんやわんやです。
 
小論文なんか、一人で50人くらい指導してましたし。
  
 
学校の先生ってのは、
「教育者」というタグを付けられて、
「教育に関わるすべてのこと」を
給料の中に入れられてしまっています。
 
その中の、せめて部活動の部分だけでも
外部に「制度として」委託しないと、
本当に消耗してしまいますよ。
 
「部活命!」の先生も
もちろんいますが、それはそれ。
 
あくまで「労働者としての先生」の
労働条件の話として。
 
部活動が職務なのであれば、
その負担軽減策と適正な賃金、
休日の振替などの措置を取るべきでしょう。
 
ボランティアとしての活動を
期待するのであれば、
「全職員が」という指導を辞めるべきですね。
 
内田良氏にも、学校問題を採り上げるなら、
何でもかんでも教師批判に持ち込まず、
冷静で客観的な記事を書いて欲しいものです!
 

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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