キラキラネームはもう古い?キラキラな子の未来やいかに?

今年になって、いわゆる「キラキラネーム」から離れて、呼びやすく、日本的な名前に揺り戻す動きが出てきたとクックパッドの子会社、クックパッドベビーが独自のアンケート調査をレポートしています。

ちょっと個性的で古風が今どき?2015年 赤ちゃんの名前ランキング発表!
男の子も女の子もトップ10のランキングを見ると、いわゆるキラキラネームと呼ばれるものは入っていません。クックパッドベビーの名づけエピソード投稿でも「キラキラネームにはしたくなかった」「誰でも読める名前にしたかった」という意見が多く寄せられました。みんなに読んでもらえて、個性がありつつちょっと古風。そんな名前が今のブームなのかもしれませんね。
── 「cookpadベビー・ニュース」より

男の子の名前の1位は「湊(みなと・そう)」君。
女の子は「さくら」ちゃん、「莉子」ちゃん(同率一位)。
 
「子」の付く名前は、同調査が始まった2010年以来「初」なのだとか!
 
時代は振り子のように揺れ、大きなうねりの後には必ず揺り戻しが来ます。
あまりにも奇抜な名前が増え始め、それに対するバッシングに近い論調も見られましたからね。それを見ていた世代が親になれば、そりゃ普通の名前を付けたくもなるってものでしょう。
 
ただ、すでにキラキラネームを背負って生きている子達は大勢いるわけで、そういう子達が自己嫌悪というかつらい気持ちにならないよう、周囲の大人は気を遣いたいものです。
 
親を批判したくなる気持ち、あまりの読めなさ加減を笑いたくなる気持ちはありますが、それを「世間」に発信してしまうと、当事者たる子ども達がつらい思いをしますからね。

名前は「人生」に影響する…のか

命名に関していえば、私たち40代なら「悪魔ちゃん騒動」を思い浮かべます。
 
そういうネガティブな名前に負けない強さを持って育って欲しい、とか何とか、親がインタビューで語っていたのを覚えています。
 
しかし、子どもって繊細ですからね。
その名前の響きを生涯ずーっと耳から入れ続け、意識・無意識に関わらず名前の持つ意味から影響を受けていきます。
 
実際、アメリカの評論家が行った研究では「名前の響きが性格を決める」と断じているものがあるくらいです。

アメリカの評論家のロジヤー・プライスは,女性の名前によって性格を類型的に分ける研究を行いました。例えば,メアリーは落ちついてまじめな性格,スーザンはキュートな張り切りガール,ジェーンはすぐ色目を使うグラマーで,その性格によって運勢まで洞察できると言っています。これは明らかに名前の発音による「音運式姓名判断法」と言えましょう。
── 「みんなの名前辞典」より

昔から「名は体を表す」ともいいますからね。
何となく納得させられてしまいますし、心理学的見地から「可能性」があるとされるなら、それは親として配慮すべきことかも知れません。

名前が子どもに影響する…? その真相

ただ、統計から見ると、それがそうでもないというデータもあります。
「名前が本当に、その子の生涯を決めるのか?」ということについて考察した研究が、アメリカにあるんですよ。
 
『ヤバい経済学』(スティーヴン・D・レヴィット&スティーヴン・J・ダブナー著)2007年に日本語訳が刊行された『ヤバい経済学』(スティーヴン・D・レヴィット&スティーヴン・J・ダブナー著)では、2つの調査結果と考察が紹介されています。
 
それによると(あくまでアメリカの話ですが)結局のところ、名前(に込められた親の想い)とその子の人生にはほとんど関係(影響)はないと考えるべきだとのこと。
 
ただ、

彼の名前は彼の行く末を──決めるものではなく──映すものだったのだ。家に本が1冊もない子の成績がたぶんよくないのと同じように、デショーンという名前の男の子はたぶんいい生活にはたどり着けない。
── 『ヤバい経済学』第6章 完璧な子育て、その2より

註:「デショーン」とは、カリフォルニア州の調査で判明した、過去10年でもっとも多く黒人の男の子に付けられた名前。そして、「監査調査」と呼ばれる実験の結果、求人への応募において「黒人らしい名前」で履歴書を送ると面接に呼ばれる可能性が下がることがはっきりしたとのこと。その点では「名前が不利益をもたらす」と言えるわけですね。これは社会の問題ではありますが。

調査から読み取れるのは…

  • 名付け方というのは、かなりはっきりと親の教育水準や社会・経済的地位と相関関係がある。
  • 名前そのものは流行・廃りがあるし、20年前に高教育水準・高ステータス家庭で使われていた名前が、現在の低所得者の家庭で多く使われるという「社会・経済のはしごを下へ伝わっていく」現象が起こる。

といったことでしかなく、結論としては


名前で何かが違ってくるかというと、そんなことはぜんぜんない。

ということなのだそうです。

結局のところ、親が一貫してどういう態度であるかが問題!

『ヤバい経済学』で示された結果には「音が与える心理的影響」の観点は含まれていません。
その意味で「音が与える影響」を一概に否定するものでなく、あくまで「親のあり方が大事」という話でしかありません。
 
問題は、そういうことを配慮しようと思うかどうか。これも「親のあり方」の一部かも知れません。
 
結局、「どんな名前を付けたか」ということではなく、親がその子の将来をどれくらい真剣に考えて名付けたか、そして親自身が背中で(文化として)生き方を見せられるかということこそが、子どもの将来を決めるってことなんでしょうね。

そして、だからこそ、私たち親は「命名」の時からずっと一貫して、子どもを暖かく見守り、寄り添い、自分の信じる生き方、価値観を示し続ける責任があるということでしょう。

余談…1

逆に言えば、キラキラネームをノリやブームで付けてしまう親の元で育つ子どもは、名前が普通だったとしても…?

余談…2

誕生日からその人の性格が分かるとする「統計学をベースにして生まれた個性心理学」とやらは、いったいどうなんでしょう。
「当たってる!」という話はしばしば耳にしますが、血液型占いとどちらが信頼性が高いのでしょう?

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

Subscribe
Notify of
guest
0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments
目次