2009年に公表された論文ですが、ちょっと面白い内容でしたので、簡単にシェアします。
論文はこちら。
[blogcard url=”http://www.pnas.org/content/107/5/1860.full”]
タイトルを日本語に訳すと、こうなります。
「女性教師の数学への不安は、女子生徒の数学の成績に影響する」
ある意味で「そりゃそうだろうね」ということではありますが、
だからこそ何とかしなきゃ、というところでもあります。
もう少し詳しく見ると、
小学生の男女を対象とした調査で、
・数学に不安を持っている女性の先生
・数学に自信を持っている女性の先生
が、
・男子生徒
・女子生徒
にどういう影響を与えるのかという分析がなされています。
⇒先生の不安は男子生徒には影響を与えず、
女子生徒にのみ影響を与えている。
⇒数学に自信のある先生の元で学んだ女子生徒は
問題なし。
⇒特に「女の子は数学に弱い」と思っている女子生徒の
成績がガクンと下がっている。
こんな感じですね。
先生が持っている無意識の信念・不安と、
生徒が持っている無意識の信念・不安とが
掛け算になって成績に影響するわけです。
この論文はアメリカでの調査ですが、
私たち日本人も特に意識すべきでしょう。
世界(OECD加盟国)の中でも
日本は男女の理系科目の能力に
顕著な差が付いているからです。
このことは過去に書いたこちらの記事でも
言及していますので、興味があればご一読を。
[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/blog/let-child-think-about-whole-life/”]
この記事で、OECD事務次長マリ・キヴィニエミ氏の言葉を引用しています。
15歳時点では女子の方が成績は優秀だ。だが大多数の国・地域において数学は女子が男子より劣っていた。OECD平均で約10点の差がある。日本は特に得点差が大きい。
(中略)
その一つは『女子は理系に向かない』とする思い込み。教師や親がこう考えて接しているために、本当は能力はあるのに女子は理系科目に自信が持てず、それが成績の低下につながっている。
──日経新聞(2015.04.11)より
考えてみたら、先生もこの文化の中で
育ってきているわけです。
その負の連鎖をどこかで断ち切らねば。
断ち切れるのは私たち親と教師。
理科系の学問の楽しさや、
それがどれだけ世の中の役に立っているかを伝えつつ、
「あなたにも、それができるんだよ」と、
何度でも伝えていかなければ!
数学が苦手なのは、
DNAとか個性の問題じゃないんだよ。
ちゃんと正しいやり方、正しい努力で
取り組みさえすれば、
あなたは出来る子なんだよ!って。
これは大人の教育でもそうですよね。
大人って「自分はこんなもんだ」っていう、
あまりよくないセルフイメージを固めてしまっています。
それが無意識のうちに足を引っ張り、
自分の限界を引き下げています。
それをいかにして打ち砕き、
自分の可能性に目覚めさせるか。
より効果的な学習法とセットで、
マインドを変える技術を
伝えていかなければなりませんね!