「電子黒板」が生きる道はあるのか?

2016年1月5日付けの日経新聞によると電子黒板がどんどん広がっているそうです。
 
全国の公立小中高2万6871校に9万503台。
持っている学校は3台くらい持っているということでしょうか。
 
使いこなせると電子コンテンツや生徒の演習結果を全体に共有できるだけでなく、タブレット同様、そこに先生が書き込みをしたり、コンテンツを操作したり(数学の立体図形を回転させたり)といったことも可能です。
 
クイズ番組のような形で、生徒全員の意見や答えを確認したり、授業展開にあうように生徒を指名したりできるのは、授業を工夫する上で、非常に有効だと思います。
 
ただ問題は「先生が活用する気なし」ということ。
 
やっぱりそこか・・・。(苦笑)
 
実際、PCあるいはタブレットとのインタラクティブな(双方向の)機能など「特有の機能」を使いこなしていない学校が約1600校、生徒にそれを活用させていない学校が4300校なのだとか。
 
ちなみに、福岡県はなんと84.2%の学校に電子黒板が配備されているとのこと!
 
喜ぶべき? いえいえ…
 
先生の電子黒板活用のための研修参加率は30%程度だそうで…
 
 
考えてみれば分かることですが、ただでさえ忙しい学校の先生が、なんで「使う必要のない」道具のために研修に参加するでしょう?

  • 今の授業のやり方でも、誰からも苦情は出ない(聞こえてこない=先生へのフィードバックがない/あっても無視する)。
  • 授業全体に電子黒板を導入するとなると、教材をすべてゼロから用意することになり、これまでの蓄積が無駄になる(と感じる)。
  • 授業の一部に採用したとしても、そのための教材準備に膨大な時間を要する。あるいは授業の中での導入のタイミングや、前後の授業との接続が難しい。
  • そういうメリットよりもデメリットを感じるもののために、新しいツールの操作を覚えたり、生徒に端末を配って無駄なカオス状態を生んだりするのは面倒。

先生達の気分は、恐らくこんな感じです。
 
いや、そもそも前に指摘したとおり透過光メディアが脳に与える影響などを考慮すると、今のところネガティブな未来予想しか出てきません。
 
 
そもそも、PCやインターネットがビジネスにこれだけ大きなインパクトを与えるようになったのだって、クラウドやら決済システムやら「周辺のシステム」が整ってからの話。
  
学校教育だって、誰もが自由に使いこなせて、教材も自在に作れるくらいの環境が整わない限り、上記のような保守的お役人マインドの先生達が動くことはないでしょう。
 
 
その間は、無理矢理にでも「予算ありき」で学校にシステムを導入し、ごく一部のアーリーアダプターと呼ばれる先生達に試行錯誤を重ねてもらうしかありません。
その先進的な授業をサポートするシステムがエンジニアさん達によって開発されないと、間違いなく裾野は広がらないでしょうから、そこにも膨大な予算をつけないとダメでしょうね。
 
ただ、国がそういう予算を付けると、政治家やお役所とつながっている既得権益者のみさまが無駄に予算を食いつぶす結果になることも、私が予想をするまでもなく明らかでしょうね…。
 
それでも、じわじわと学校教育にイノベーションを起こし、教育効果を高める方向に動けばいいのですが…。
だいたい予算ありきで国が進めたIT施策、電子化事業は無駄に終わる例が多い印象ですからね。
 
願わくは業者さんだけが太って、子ども達が不幸なことになりませんように!

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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