「分からない!」という子に、何をさせるのが先生の仕事か?

数学が苦手な子から、
 
「一次関数の問題が、まったく分かりません。」
 
という相談を受けました。
 
 
子どもの「学力」に興味がなく、「その場の満足感」だけを
頼りにしている先生なら、間違いなく「その問題の解き方」を教えます。
 
その場では「そっか!分かった!」という実感がありますから、
子どもの側も満足します。
 
そして・・・
 
成績が上がらない、という一見不思議な、
でも真っ当な現象が起きるわけです。
 
 
先日、「鍵曲げ」の縁でお世話をすることになった中3生。

[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/column/those-who-believe-shall-be-saved/”]

彼も、個別指導の先生からは、
 
「指導している時は、間違いなく分かったと言っているのですが…」
 
という釈明が、保護者の方にあったそうです。
 
でも、成績は上がっていないんです、ということで
私の所に相談にいらっしゃったわけです。
 
 
この先生は何を間違えたのか?
 
推測に過ぎませんが、いくつか可能性があります。
 
1つの問題が解けないという場合、
「その問題の解き方が分からない」のか、
「もっと基本的な部分が分かっていない」のか、
そこを丁寧に確認しなければなりません。
 
そこを踏み外した可能性があります。
 
 
まぁ、それでも「その問題の解き方については分かった」と
思えたわけです。
 
子ども自身も「分かった」と思ったし、そう伝えた。
 
そこが落とし穴になっていたわけです。
 
「教えた⇒分かった」が成立した場合、
必ずさせなければならないことがあります。
 
それは、同じレベルの問題を、必ずその場で解かせること。
 
「教えた⇒分かった」が成立したら、すかさず
「やってみた⇒できた・できなかった」を確認する必要があります。
 
聞いたら分かる、と思えることでも、
いざ自分でやろうとすると悩むものです。
 
その先生も、そこをすっ飛ばして
教えた気になってしまったのかな、なんて思います。
 
 
お料理のレシピだってそうでしょ?
 
レシピを読み上げてもらって、
手順をイメージするのは簡単ですが、
「じゃ、レシピは理解できたと思うから、
 何も見ないでやってみて」
と言われたら、誰だってとまどいます。
 
勉強も基本的にこれと同じ。
 
「教えた⇒分かった」の次に、必ず
「やってみた⇒できた・できなかった」を置くこと。
 
もし「やってみて⇒悩んだ」になったら、
解説した問題と対照させながら、
解かせる必要があるかも知れませんね。
 
そして大切なこと。それは、
やってみた⇒スムーズにできた」までやらせること。
 
 
一応、この問題(質問した問題)は大丈夫。
その塾の先生も、ここまでやっていれば、
「分かったはずなのに成績が上がらなかった」なんて問題は
起こらなかったはずです。
 
でもね、これじゃダメだと思いません?
 
だって、次にまた分からない問題と出会ったら、
その子はまた先生に質問しなければなりません。
 
あるレベルの問題ができるようになったとしても、
当然、その次のレベルを目指しますよね?
 
永遠に先生に相談する?
 
 
だから、「教えた」の部分に工夫をしなければなりません。
 
これが中2生以下なら、そもそも「教えない」という選択肢、一択です。
 
中3生とか、時間がないから「教えた」になってもしゃーない。
 
だから「教える」けど、その問題の解き方を教えながら、
そもそもの問題解決の方法を教えるんです。
 
数学の問題であれば、

  • 問題文を丁寧に読んでみようか。
  • 手がかりになる要素、数字を○で囲んでみて?
  • これに使えそうな公式とか定理とか解き方とか、何かありそう?
  • それ、教科書のどこに説明がある?
  • それを使って、どういう手順で解いていくんだっけ?

こんな感じ。
発問を投げかけ、自分の頭で手順を確認させます。
 
「じゃ、同じようにして、この問題もやってみようか?」
 
その「やってみた⇒悩んだ・できた・できなかった」の体験もお忘れなく。
 
 
これが国語であれば、もっと簡単です。
 
「3秒考えて分からなかったら、
 解説を読んで。
 解説にしたがって問題を解き直してみて。」
 
あるいは、
 
「正解を確認して、どうしてそれが答えなのか、
 テキストの解説ページを読み直しながら
 確認してみて。」
 
これだけ。前にも書いたことがありますが。

[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/learning-tech/reverse-answering/”]

 
 
塾や学校の使命は、子ども達に「学力」を授けること。
 
これは決して「その問題の解き方が分かる」ことではありません。
 
「次に同じような問題と出会ったときに、確実に自力で解ける」ことであり、
そもそも、分からない問題に出会ったときに、自分の力で解決できること。
 
つまり「自分で学んでいける力を授けること」なんですよね。
 
 
そういうわけで、今日のことのばで、9:00から17:00までの約7時間。
 
中3生に指導したのは、
 
「一次関数の解説、どこに書いてあったっけ?」
「y=axって何だっけ?」
 
という発問をして自分で確認させること。
 
そして、式とグラフの関係を2つだけ一緒に確認。
 
わずか3分の指導。それだけ。
 
 
中学生も17時には帰って、自宅で学習します。
 
私も今から帰って、4歳の息子のお迎えと晩ご飯の用意。
 
とっても健全な受験体制だと思うんですが、どうでしょう?(^^*

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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