定期テスト後にすべきは「間違い箇所のやり直し」ではない

この3連休をはさんで、遅くとも今週中には中学、高校とも2学期の期末考査がおこなわれることと思います。
 
福岡の気候はちょっと妙な感じで、体調を壊している生徒さんも多いのではないかと、ちょっと心配です。
 
準備してきた成果を最大限発揮できるよう、勉強だけでなく、食事その他の体調管理もしっかりとおこなって欲しいところです。

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試験が無事に終了⇒答案返却⇒さて、そこで何をすべき?

入学試験を除いて、試験というのはすべて「通過点」に過ぎません。
いや、入学試験ですら、人生という大舞台の中で考えれば、やはり「通過点」に過ぎないといっていいかもしれません。
 
「通過点」は、「そこまでの取り組み」をチェックし、次をもっとよくするために非常に重要な要素です。
 
ですが、教育の現場を見ると、指導者・保護者ともその「通過点」の意義をあまり理解していないために、もったいないことになっているように感じます。

スポーツなら試合の後、どうするだろう?

ちょっと考えてみてください。
 
あなたがスポーツチームの監督だったとします。練習試合であれ大きな大会であれ、1つ終わった、と。
その時「試合の結果」を踏まえて何をしますか?
何を考えるでしょうか?
 
きっと「なぜ勝てなかったのか」とか「試合には勝ったけど、あのプレーミスはどうして起こったのか」とか、そういう分析をしますよね?
 
そして、もし決定的なウィークポイントが見つかったのであれば、そこを補強するような練習を考えるでしょう。そうでなくても、次の大会で、もっと好成績を残すためにどう指導するか考えるはずです。
 
場合によっては、根本的なところから、練習のやり方やメニューなども考え直すはずです。
 
決して「ミスしたプレーを、今から再現してやり直すぞ!」なんてアホなことはしないはずです。

なぜか学校の試験では…

でもなぜか、学校の試験の後はその「アホなこと」が横行しています。
「やり直して提出しなさい」とか。
 
試験の後のフォロー学習は重要です。
その「試験の後のアクション」が、その後の学力に非常に大きな影響を与えます。
 
そこでやるべきは「間違った問題のやり直し」などでは決してありません。
 
それを「やるな」とは言いませんが、はっきり言えば、そんなことはどうでもいい。やってもあまり意味がない。
だって、その問題はもう終わったんだから。二度と出会うことはないし、出たとしても、そこでちょっとやり直したこととか憶えてないから。

成長のために必要なフィードバックは3つある

「では、何をすべきか」という結論に行く前に、成長するために何を考える必要があるかということを見ておきましょう。
 
まずここでは「成長」を「以前できなかったことが、独力でできるようになる」ことと簡単に定義しておきます。
 
「テストで間違った問題を、もう1回やりなおしたら正解できる」というのは、成長とは考えないわけです。
そうではなく、次の試験ではもっといい結果を、意図したとおりに出せる状態を「成長」ととらえます。

成長するためには「出力」と「フィードバック」が必要

私たちが「昨日までの自分より成長した自分」を手に入れるためには、必ず「能動的な出力」の作業を経なければなりません。そして、その出力を通じてフィードバックを手に入れなければなりません。
そのフィードバックが次に挙げる3つ揃うと、より効果的に「成長」につなぐことが可能になります。
3つのフィードバック
 
では、試験対策の勉強と、その腕試しとしての試験の結果とをトータルで考えた時、その3つのフィードバックをどうとらえたらいいか見てみましょう。

【1】出力の際の、自分の内側に生まれる手応え・不安・迷い

一番大切な第一のフィードバックは「手応え」です。
それはプラスの手応えかも知れないし、ネガティブなものかも知れません。
でも、それを十分に受け止めることからしか改善、成長は生まれません。
 
だから、何かを行うときには、我を忘れるほど必死になるということを避けなければなりません。
「気がついたら終わっていた」とか「何も憶えてない」という状態では、何もつながりませんからね。
常に自分をモニタリングし、感覚をチューニングし続けるという意識が絶対に必要なのです。
 
試験であれば、準備(試験勉強)の段階でどういう状態(集中力、手応えなど)で取り組んでいたのか、試験の最中にはどういう手応えで問題を解いていたのかをクールにとらえさせたいところです。
 
可能なら試験問題に「A.迷いなくスムーズに解けた」「B.一瞬躊躇したが解けた」「C.考えに考えて解けた」「D.スムーズに解けたつもりが間違った」「E.悩みに悩んで間違えた」というような手応えを記録しておきたいところです。
 
どういう解き方ができたのか、間違え方だったのかが違えば、それぞれに後でやるべきフォローが変わってくることは当然の話です。

【2】期待した結果と、実際の結果とのギャップ

期待したとおりに行かなかったとしても、その「期待と現実のギャップ」がなぜ生まれてしまったのか、どういう対策を取ればいいのか確認できれば、それは次につながる大きな資産になります。
 
【1】の「試験の最中」の手応えと併せると「根本的な勉強不足」「そもそもベースが分かっていない」「ケアレスミス」「あと一押しの演習不足」など、どのレベルの問題なのかが分かります。

また、【1】のうち「準備のプロセス」の手応えと併せて評価して「どういう手応えだと、どういう点数を取れるのか」が分かれば、やはり対策が変わります。
このとき、過去の記事で紹介したように「プロセスを4段階に分ける」ようにすることで、どの段階ができていないのかという「原因の特定」が容易になります。
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[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/blog/study-for-periodical-tests/”]

【3】第3者評価、指導者の観察

1と2だけでも十分に成長にはつながるのですが、やはり指導者の指導はあるにこしたことはありません。
指導者は指導者ならではの指導経験から、1・2では見えてこない問題を指摘してくれるものです。
 
その「観察」というのは、出力の最中の観察と、そこに至るプロセスの観察と両方を含みます。
 
これは直接の観察だけでなく、ICTを活用した「学習にかかった時間」や「どこにどれだけ時間をかけているか」といったデータ分析によっても可能です。
 
「なんでがんばっているのに成果につながらないんだろう?」という場合、この客観的なデータと指導者の眼があるかどうかが「次の成果」に大きく影響しますね。

結論:「テスト後にすべきはプロセスの評価である」

テストが戻ってきたら何をすべきか?
 
それは「その点数になったのは、どの勉強がどれだけ足りていないのか」の評価であり、「次の試験で納得のいく成果を出すためには、そこをどう変えるべきか」という作戦立案です。
 
だからこそ、以前の記事でも書いたように受験対策は2年生の2学期の期末考査3週間前から取り組まなければならないわけです。
 
そこからプロセスの評価をスタートして、まずは2学期の期末考査で「どういう勉強をしたら、どれだけ点が取れるか」を確認します。
 
その上でやり方(対策)の修正プランを作った上で3学期の学年末考査で腕試し。さらにその結果を踏まえて修正すべきところを修正します。
 
そうすることで3年生の定期考査からは万全の対策を取ることが可能になりますよね。(^^*♪
 
 
まもなく2学期の学期末考査のテスト答案が戻ってくるころでしょう。
 
ぜひ、その評価を親子で丁寧にやっておきましょう!

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