ことのばは「授業を中心とした自律学習」の指導をしています。
それで、何かノートづくりに関する研究ってないものかなーと探していたところ、おもしろいものを見つけました。
オハイオ州立大学の心理学の先生が、学生さん達に効果的に授業を受けるための「成功のための読書&ノート戦略=Reading & Note-taking Strategy for Success=」という資料を出していらっしゃったんです。
⇒原本(PDF)
もちろん、アメリカの大学の授業の予習・復習ですから、日本の学校とは土台から全然違います。そもそも小中学生と大学生では、能力も何もかも違いますし。
それでも、考え方としては役に立ちそうだと思いましたので、ご紹介してみたいと思います。(^^*
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The SQ3R Method
効果的な学習を作るための原則を「SQ3R」というメソッドとして整理してあります。
SURVEY(調査する・眺める・見渡す)
学習範囲のテキストの、すべての章の見出しやサマリーを読んでおきましょう。
QUESTION(質問・疑問)
すべての見出しを「疑問」の形に変換して、書いておきましょう。
READ(読む)
各章の内容を、疑問への答えを探すつもりで読んでおきましょう。
RECITE(暗唱する、朗読する)
テキストを閉じて、設定した問い(疑問)への答えを自分自身の言葉として暗唱しておきます。
REVIEW(復習する)
すべての問いと答えを見直しておきましょう。
SQ3Rのポイント
大学の授業ですから、ここで語られていることは、まさにアクティブ・ラーニングですね。
ということは、今後、日本の学校でアクティブラーニングが導入されたら、このパターンで授業の準備をしたらいいぞってことです。
そして、この形は別にアクティブラーニングでなくても、通常の授業であっても同じ考え方(で違うやり方)でOkです。
ポイントは、
- 全体を見渡しておくこと。
- そこで学ぶポイントを見極めること。
- それをある程度、自分で予習して整理しておくこと。
- 可能なら、それを暗唱してしまっておくこと。
というわけです。
そして、このSQ3Rの解説に続いて、こんなことも書かれています。
マーカーで線を引いたり、アンダーラインを引いたり、余白に書き込んだりして、
自分だけのオリジナルテキストに仕立て上げてしまおう!
これは重要なことかも知れません。
書き込んだ体験が、そのテキストと自分の関係性を強くして、記憶に残りやすくしてくれますので。
予習のための読書10か条
- 1.指定された教材を授業の前にちゃんと読んでおこう。
- 2.騒々しいところや気が散る場所をさけて、快適に読める場所を探そう。
- 3.予習読書は短い時間で区切ってやろう。
- 4.読書は小さな目標(10分やるぞとか、20ページ読むぞとか)を立てて始めよう。
- 5.眠気が襲ってきたり、集中力が途切れたりしたら、散歩をしたり、軽く食事を摂ったりしてみましょう。
- 6.あなたがキビキビ学習できる日中に読みましょう。自然光が一番です。
- 7.もし疑問が生まれたら、テキストや講義ノートの余白に書き留めておきましょう。
- 8.各パラグラフの最初と最後の文には注意を払いましょう。
- 9.知らない単語があったら、辞書を使って調べましょう。
- 10.一度読んで理解できなかった部分を読み直す時間を確保しましょう。
効果的なノートはこう作ろう!
ノートの作り方についても指南があります。
- 1.マッピングを活用しよう!
- 2.チャートで整理してみよう!
- 3.シンボル・グラフィックを使ったり、略号を使ったりして、簡略化してノートを取ろう。
本当はいろいろ書いてあるのですが、タイトルを見ただけで分かりそうなので割愛。
ただ、「コーネルメソッド・ノート」というのが紹介されており、
なかなか合理的だと感じました。
[blogcard url=”https://www.goconqr.com/en/examtime/blog/4-note-taking-strategies/”]
とはいえ、日本でも「3分割式」など、勉強系の本に紹介されているものと同じ系統のノート術を紹介している本がありますので、詳しく知りたい方はその手の本を読むといいかも知れません。(わざわざ大変な思いをして英語で説明を読む必要はありませんね!)
ということで、大学生のアクティブラーニング的読書術&ノート術。
何か、あなたの学び、あるいは学習指導の参考になりましたでしょうか?