「数学の証明問題を習っている2年生の3学期こそ、
論理的な文章を指導するベストタイミング」
そんな話を、公立中学校の教師だった頃、社会科の先生達の研究部会でしたところ、「???」という反応が返ってきまして。(汗)
それに対して、かくかくしかじかという解説をしたところ、どよめきが起こりました。
数学の先生にも同じ話をしたのですが、こちらはどよめきというより「ふーん」という感じで受け流されてしまいました。
数学の先生も、証明問題が論理的文章の構造を取っているという意識がなかったようで…。私としては、まじですか!というのが正直なところですが、まぁ、だから生徒達は数学を勉強しても、合理的思考回路が身につかないんだなぁと妙に納得したことを憶えています。
それはさておき、その時に社会科部会で説明につかった資料を用いて、逆に、証明問題が分からない!と悲鳴を上げている生徒を、たった5分間で「証明カンタン!」と思わせる説明をご紹介します。
本当に5分で終わりますからね。(^^)
では、ストップウォッチ、スタート!
1.論理的説明の基本(1分)
論理的な説明というのは、究極的には、いわゆる三角ロジックというスタイルを取ります。
こんな感じですね。
これを文章にすると、こういう展開になります。
1.論点(着目するポイント)提示
2.具体的な証拠(事実)列挙
3.論理付け(納得のいく説明)
4.主張・意見
もう少し具体的に、
「おもちゃ買ってよ。みんな持ってんだよ!」
という、ありがちなお子様的論理で説明するとこうなります。
1.ぼくがゲームを必要とする理由を説明します。(論点提示)
2.みんなゲームを持っています。(証拠列挙)
3.(・・・) ※論理付けの欠落
4.だからママはゲームを買うべきなのです。
ただし、論理的な文章というのは「事実に基づいた証拠」を提示することが求められます。
また、論理付けをきちんとおこない、なぜその事実を示すことが、結論に結びつくのかを説明しなければなりません。
そこで、こんな風な説明をすることになります。
1.ぼくがゲームを必要とする理由を説明します。(論点提示)
2.みんな持っています(証拠列挙)。
この図をご覧ください。この部分が私のいう「みんな」です。
3.僕は今、ゲームがないために、友達「みんな」から仲間はずれにされ、
涙でまくらを濡らす日々を過ごしています。(納得のいく説明)
4.だからママはゲームを買うべきなのです。(主張)
ここまで理解できたら、証明問題は出来たも同然です!
2.三角形の合同の問題(計4分)
こちらの証明問題を例に学んでみましょう。
下の図のように平行四辺形の対角線BDに、
頂点A,Cから下ろした垂線の足をP,Qとする。
このとき、△ABPと△CDQが合同であることを証明しなさい。
2-1.論理展開のパターンを押さえる(1分)
まずは論理展開のパターンを確認しておきましょう。
上記、タ○ちゃんの主張と対比しながらご確認ください。
そして最初に「論点の提示」と「結論」の部分だけ埋めさせてしまいましょう。
2-2.証拠となる事実を探し出す(2分)
三角形の合同条件を憶えていないと話になりませんが、そこはこのパターンを憶えた後で量稽古させてください。
とりあえず、使えそうな辺の長さ、角度などをピックアップします。
今回はこの3つ。
それができたら、その3つの事実が「なぜそうだと言い切れるのか」を説明します。
タ○ちゃんの例だと「集合の図」を書いて、2つの円が重なった部分…という説明がありましたね。(^^)
2-3.3つの証拠を活用する合同条件を添える(1分)
3つの証拠が挙げられたら、あとはそれを使って証明できる条件を書き添えるだけです。
うっかり、結論の前に「①②③より」という言葉を付け忘れました。すみません。
3.フォーマットを活用しよう!
上記の枠を書いたプリントを渡して、それに順番に埋めさせるところから始めて見てください。
あるいは、もう少しロジカルな感覚を身につけさせたい場合はフィッシュボーンフォーマットを使ってもいいかも知れません。
※詳しい使い方はググってくださいませ。(汗)
あとは、量をこなさせつつ、バリエーションを学ばせ、さらにレベルを少しずつ上げていけば完璧です。
ということで、お役に立てば幸いです!