受験英語指導の中でのa, theの間違いをどうするか問題

英語の指導をしていると、「a」とか「the」といった冠詞や、動詞の活用(あるいは三単現s)など、細かな部分でミスをしてしまって点数を落とす「もったいない」案件が多数発生します。
 
どうしたら、こういうミスをなくせるの?
 
どういう学習をさせたらいいの?
 
そんな相談をいただきましたので、ざっくりと方向性の提案を。

aとtheを間違ったっていいじゃないか。日本人なんだもの。

もうね、誤解を怖れずにぶっちゃけますと、、、
 
ひとこと「ほっとけ」につきます。
 
もちろん、根拠があっての話。
 
 
日本人の英語学習者が、どういうところでつまずくのかという研究が、1980年代から盛んにおこなわれてきました。
 
その中で白畑先生という方が、6年間英語を学んできた高校生の発話データを集めて調査した「文法形態素の習得順序」が公表されています。
 
それによると、日本人英語学習者が習得しやすい要素は次のような順番になったそうです。

英語習得の「常識」「非常識」―第二言語習得研究からの検証1.be動詞(連結)
2.進行形(-ing)
3.所有(’s)
4.be動詞(助動詞)
5.複数(s)
6.一般動詞(不規則過去)
6.不定冠詞(a)
8.三単現(s)
9.一般動詞(規則過去)
10.定冠詞(the)

─── 白畑知彦氏らによる『英語習得の「常識」「非常識」』

[amazonjs asin=”4469244988″ locale=”JP” title=”英語習得の「常識」「非常識」―第二言語習得研究からの検証”]

この習得順位は、実は他の言語をつかう人達の傾向とまったく違ったものになっています。
 
日本人の文法処理回路は世界の中でも独特ですので、それが影響しているのかも知れません。
あるいは、伝統的な英語教育のせいかも知れませんし、サンプル数が少なすぎることによる問題かも知れません。
 
ただ一ついえるのは、aやtheという、中1の最初からずーっとやっている学習要素でも、言語感覚(ロジックのセンス?)として日本人の中にないものは、ちょっとやそっと頑張ったところで正確には使いこなせないということです。
 
これは日本人以外の英語学習者でも、その順位付けが変わるだけで、やっぱり「習得しやすい順番」というのがあるんですよ。
 
そして、頑張っても改善しないことに必要以上に注意を向けさせるのは、学習指導上好ましくありません。もっと大切なことへの注意をそがれるからです。
 
 
そこから、私は「寺田流英語指導の鉄則」を導き出しています。
 
それは、
 

aとかtheとか、あるいは単語のスペルミスとか、
そんな細かなことは気にせず、文の構造、言い回しにだけ
気を遣うべし!

ということ。
 
細かなことを意識して「あちゃー、またaを落とした!」とか考えてしまうと、そこに気を取られて、肝心の文の構造への注意が散漫になります。
 
英語を学ぶ上で大事なコトは語順
 
これさえ体にたたき込めれば、あとは少しずつトレーニングしているうちに、じわじわと定着していくものです。
 
だから、英語の指導をしている先生も、必要以上にaとかtheのミスを強調しない方がいい。
とにかく、いつも「語順」にフォーカスして指導すべき。
 
語順が揺るぎなく使いこなせるようになった段階で初めて、細かなミスに注意を向けさせるべきでしょう。
 
もちろん、aとかtheの使い分けの説明くらいは、毎回した方がいいでしょうね。でも、アタマで理解できることと、センスとして使いこなせることは別次元。
 
やっているうちに、自然と使えるようになるから、とにかく量をこなそう!── それでOKです。
 
そして、aとかtheとか本当に細かいことに気を使えるようにし始めるタイミングは、私立高校入試の2ヶ月前からで十分ですよ。そこからは、間違いをノートに書き留めさせて、細かなミスも注意深く排除できるように訓練していきましょう。
 
※学習のレベルが高い生徒はその限りではありませんよ。もちろん!

関連する、というかぜひ読んで欲しい記事

[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/english/kids-english/”]
[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/english/reason-why-english-is-difficult/”]

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

Subscribe
Notify of
guest
0 Comments
Inline Feedbacks
View all comments
目次