なんだかんだいって、高校・大学受験にせよ、社会人で活躍するにせよ、「英語が武器」になると有利です。
そして、それは何か特別な教材を使ったり、専門の教室に通ったりする必要はありません。
教科書を完全にマスターすること。
これだけで十分なのです。
でも、定期テストでは高得点取れてるけど、実力テストでは点が取れないんだよね…
もし、そんな悩みがあるとしたら、あるいは「勉強しているけど、全然点数が上がらない」としたら、それは「勉強のやり方」に問題があるのかも知れません。
この記事では、定期テスト対策の勉強を通じて、本当の英語力を手に入れる、そんな勉強法をお伝えしようと思います。
英語を得意教科にするための条件とは?
英語の4技能を自由自在に使いこなせるようになるための基本は「英語の読み・書きをマスターする」こと。
「読む・書く」と「話す・聴く」の違いは音声か文字かという違いだけでなく、入出力のスピードや発音などのプラスアルファ要素の有無があります。
ですので、まずは自分のペースで丁寧に処理できる「読む・書く」スキルを高めることが重要です。
そして、ここで紹介する勉強法なら、「聴く」以外の3技能は十分に身につきますので、ぜひ正しい勉強法をマスターして、まずは定期テストで高得点を目指し、その延長に実力テストや入試での高得点を目指しましょう!
では、実際のところ「英語力」を高めようと思った場合、何をどうしたらいいのでしょう?
それはずばり
語彙力+語順(チャンク化)スキル
この2つを磨くことだと考えて間違いありません。
語彙を増やす
もう、これは絶対に避けて通れません。
大学入試レベル、とりわけ難関大学レベルを目指すのであれば、語源からひもといたり、イラストをセットにしたりと言った工夫も必要ですが、定期テストレベルであれば「科学的な学習手順」に従って勉強していれば大丈夫でしょう。
語順(チャンク化)スキルを磨く
日本語と英語の一番の違いは「語順」です。これは脳内の文法処理回路(角回)のレベルで違いますので、なかなか大変です。
簡単な例でいいますと、こんな感じ。
I kick a ball.
私はボールを蹴ります。
英語を単語単位で日本語に直すと
私は 蹴る ボール
ですが、英語は「語順によって働き(格)が変わる」ので、最後の「a ball」は「ボールを」になります。
ですから
A ball kick I.
とはなりません。この場合、Iがmeにならなければなりませんね。
A ball kicks me.
とあるボールが私を蹴りました。
もう、何とも謎事態です。
それに対して、日本語はすべて「格」を示す助詞がついていますので、語順はバラバラになっても通じます。
ボールを 蹴りました 私は
これが可能になるわけです。そして、自分の語彙力の範囲内で、英語を自由自在に使いこなす最大の鍵は、この「語順」を整える(チャンク化する)スキルにかかっていると言えるのです。
ちなみに「チャンク化」とは「カタマリにする」という意味でして、英語の単語同士のつながりを作ることです。
例えば、英語を日本人に伝わるレベルの小さなチャンクにすると、こんな感じになります。(中学校教科書Here We Goより)
Can you coach / the other students / in the class.
あなたはコーチができますか / 他の生徒の / クラスの
これなら英語のチャンクも、日本語のチャンクも「意味が分かる」状態になります。
例えば、英語ニュースサイト(CNN)の長い英文ですが…
The world’s biggest automaker by sales said that its 14 vehicle factories in the country had paused activity Tuesday because a system malfunction that began on Monday was preventing it from processing orders for automotive components. (36語)
下記ニュースサイトより
チャンクに区切って、先頭からつないでいく読み方にすると、こんな感じ(↓)になります。
The world’s biggest automaker / by sales / said / that its 14 vehicle factories / in the country / had paused activity / Tuesday / because a system malfunction / that began on Monday / was preventing it / from processing orders / for automotive components.
世界最大の自動車メーカーは / セールスで / 言います / その14の工場が / 国内の / 活動を停止していると / 火曜日に / なぜならシステムの誤動作が / それ(誤動作)は月曜日に始まったのだが / それを不能にしている / 処理の注文から / 自動車部品に対する(注文)
何となく読んでしまうと、長すぎて意味が分からなくなりそうですが、チャンクに区切って、先頭から順番に意味をつないでいくことができると、それなりに読めてしまうのではないでしょうか。
もちろん、これでも慣れないと頭の中でチャンク同士がつながらず、モヤッとしてしまうと思いますが、頭の中でつないでいくことに慣れると、返り読みをしなくてもスイスイ読めるようになっていきます。
そして「スイスイ読める」ことは、実はリスニング能力を高める大前提となるのです。
授業の復習で英語力アップ!
そこで、授業の復習・定期テスト勉強を通じて、英語を得意教科にしてしまうための勉強法を伝授しましょう!
学習の大きな流れは(いつものとおり)次の4ステップです。
1)意識的入力
ここでの学習はこんな作業です。
ここに3つの作業が書かれていますので、1つ1つ解説します。
1-1)本文を和訳とセットで丁寧に音読
先ほど説明した「チャンク化」された教科書の英文を、チャンク単位の和訳を確認しながら音読します。
音読する理由は「正しい発音を確認するため」です。なので、ぜひ教科書の標準音声を手に入れてください。
ことのばオリジナル教材では、次のような作りのノートを用意しています。
この時、もし「この単語は憶えにくそうだな」というものがあれば、右ページに英単語・熟語コーナーを用意していますので、そこに書き出していきます。
例えば
登る climb
装飾する decorate
赤はフリクションボールを使うと、後で赤色のシートをかぶせることで英単語を見えなくすることができて便利です。
1-2)すべての英語のつながりを確認
これは単純に、通常の日本語とチャンク単位の日本語を確認しながら(思い出しながら)英語を音読していくという作業です。
動詞と目的語のつながり、前置詞と前置詞の目的語およびその前置詞とつながる単語などを意識したいところです。その中に「このつながりは独特だな」と感じるものがあれば、英単語と同様、右ページの英単語・熟語コーナーに書いていきましょう。
2)無心の反復入力
ここからは何度も音読&想起暗唱を繰り返し、チャンク単位の英語&和訳を身体に叩き込んでいきます。
具体的な作業はこんな感じ。
2-1)音読しながら和訳を想起
先ほどの1-2)でおこなった通常の日本語とチャンク単位の日本語を確認しながら(思い出しながら)英語を音読していくという作業を反復します。
頭の中で自動的に和訳(意味)が思い浮かび、スムーズに読み進めていける(音読できる)ようになれば終了です。目安としては、数回から10回くらいでしょうか。もし可能なら、模範となる朗読を流しながら、その音声に自分の声をかぶせる「オーバーラッピング」という手法で音読することをお勧めします。
2-2)英文にチャンクの区切りを入れる
次は教科書本文をゆっくり音読しながら、チャンクの区切りのところに「/」を書き込んでいきます。ぜひ赤のフリクションボールを使いましょう。
2-3)和訳を見ながら英文を想起し、音読する
今度は、チャンク単位の和訳を見ながら、チャンク単位の英語を思い出し、声に出していきます。
最終的には、通常の和文を見ながら、英語をチャンク単位で(ゆっくりでいいので)よどみなく読み上げられれば終了です。
2-4)和訳を見ながら書き取り
いわゆるリハーサルと呼ばれる作業です。
音読だと何となく流してしまっていた部分(前置詞など)に丁寧に意識を向け、思い出していけるかをチェックします。そのために、和訳(この段階ではチャンク単位の和訳でOK)を見ながら書き出していきましょう。
上のノートでは「通常の和文」「チャンク単位の和文」の下にすき間があります。
ここにフリクションボールの赤で英文を書いていきます。うろ覚えでスペルガ分からない…という場合には「___」を書いておきましょう。
ここで重要なことは「つながり」つまり「語順」を正しく書けるかどうかであって、スペルミスや細かな冠詞・前置詞のミスは「ある程度、しゃーない」ので「後で憶えたら大丈夫」と思って気楽にやることです。
憶えてない、自信がないと思ったら、素直にパスして次に進むこと。ここでは自分の記憶の曖昧さを確認し、丁寧に英語の並び・つながりを確認することが一番重要です。
書けなかった部分は教科書本文で確認し、後でまとめて修正・補足しておきましょう。(できれば、一箇所でも曖昧な部分があった英文は、1時間後に正しく書けるか再チェックしましょう。)
3)無心の反復出力
2までの作業でおよそ、英文は入力完了できていると思います。
ここでは、それをスムーズかつ自由自在に出力できるように練習していきます。
3-1)日を空けて書き取り再挑戦
一応、「教科書本文はすべて入力完了した」という状態になっていますが、その後、ある程度の日を空けて、思い出す作業をすることで記憶はより強固になります。
目安としては、教科書暗唱の3日後以降に(例えばUnit 1-1, 1-2, 1-3まで終えた状態など)すべての英文を、通常の和文を見ながら思い出して正しく書けるかどうか確認してください。
さらに(上記の書き出し作業の日以降に)、通常の和文・チャンク単位の和文のどちらでもいいので、和文を見ながらスムーズに英語に変換して口に出す練習をしていきましょう。
3-2)フレーズ・単語の書き取り
1で作った憶えておきたい語句を思い出して書き出す練習をしましょう。
オリジナルノートでは、この部分です。
日本語(黒文字)の右側に、フリクションボールの赤で英語を書きましょう。
復習の時は赤のシートをかぶせて、英語を見えない状態にして思い出して口に出していきます。
右側の空いている部分に「憶えておきたい英単語」を、1-1で書いておくワケです。
ついでにあらためて発音も確認しておきましょう。
ここではあらかじめ発音問題になりそうな英単語を書いていますので、下線部と同じ発音の英単語を黒で書き足しておきましょう。これは発音(フォニックス)の学習のために書くものであって、記憶のためのメモではありません。
ですので、1)意識的な入力の時にやっておくのが理想ですね。
3-3)教科書本文レベルの英作文
出てきた英単語・熟語と、それを含むチャンクをピースとして組み合わせて、新しい英文を作る練習です。
チャンクを使いこなす練習ってイメージですね!
オリジナルノートでは、こんな感じで10個(以下)ほど英作文問題があります。
ここまでの学習が「授業の復習」の位置づけで、授業後(できればその日のうち!)の本文暗唱、その直後の週末などを利用した出力練習ということになります。
4)テスト対策につなぐ実践的出力練習
ここは授業の復習を超えた定期テスト対策学習としておこなうイメージです。
ここでは、教科書準拠の問題集を使って「教科書の内容が自分のものになっているか」を確認していきながら、弱点を確認・補強していきます。
例えば、こんな問題集です。
ワークは「自分の弱点を理解する」ことが目的なので、頭を悩ませたり、ひねったりして時間をかけて解く必要はありません。3秒で答えが思い浮かばなければ(英単語や熟語などは1秒でOK)「✓」を入れて次に進みましょう。
1ページ毎に答え合わせをおこない、答えを確認した上で、あとでまとめて解き直して正解できるかどうか確認します。(絶対に答え合わせで正解を書き写さない!)
なお、実際のところ、まとめのワークを取り組む前に定期テストのための勉強に突入する場合がほとんどだと思いますので、このフェーズは省略して問題ありません。
定期テスト対策でさらに英語力アップ!
では、ここから定期テスト対策の勉強について解説します。
やはり4ステップで勉強を進めていきます。
ことのばでは「試験3週間前」からスタートするように促しています。
1)授業内容の完全理解
このフェーズは、上記「授業の復習」で終わっているはずなので省略します。
とはいうものの、英語が苦手な子は、ここでもう1度、教科書の理解からやり直さないと、ザルのように記憶から抜け落ちていっているものです。
2)教科書完全暗記⇒作文
ここも基本的に終わっている前提ではありますが、まぁ、そう都合良くいきません。(笑)
ですので、最初の数日で「チャンク単位の和文(もしくは通常の和文)からの英訳」をおこない、試験範囲を総ざらいしてください。
3)教科書準拠問題集「基本」「標準」
ここからが本当のテスト対策です(上記2-4がここに当たります)。
丁寧に問題を解いていきますが、分からない問題に時間をかけません。それよりは、間違えた問題の考え方(暗唱した英文のどこをどう使えばいいのか、など)を確認し、もう一度同じ問題を解いたらスムーズに解けるという状態を作るのが目的です。
4)準拠問題集「応用」「テスト実践問題」
ここでようやく自分の実力を試し、さらに高めていくことになります。
3までで学習としては完了していますので、その学習の「粗(あら)」を発見し、補強していくことになります。
問題にはある程度時間をかけて、丁寧に解いていきます。
これも答え合わせが重要です。答え合わせを1ページ毎におこない、正解を写すのではなく、時間をおいてもう1度解き直して正解できるかどうかチェックします。
そして、すべての問題がスムーズに解けて正解できる状態になったら、また別の問題集(可能ならハイレベル問題集や標準問題集)に取り組んで見てください。
解説動画
ここまでの内容を動画で解説したものがこちらです。