小学4年生が3ヶ月で漢検3級に合格した「書かない」漢字学習法

先日(2015.10.25)、全国で漢字検定試験が行われました。

我が息子(小学校4年生)にも8月から「合格したら妖怪ウォッチバスターズを買ってやるYo!」とそそのかして勉強させてみたんですよ。

その結果、お陰様で無事に合格。

まだ点数などの詳細は出ていませんが、自己採点で180点(9割)近くは取れたのではないか、とのこと。
(後日、追記としてちゃんとした数字も公表いたします。)

漢検は200点満点で、だいたい140点くらいが合格ラインと言われています。合格率は50%程度。
ちなみに「3級」というのは「中学卒業レベルの漢字(約1600文字)」の読み、書き、熟語、部首などが問われます。

今回の学習は、私が普段、中学生の定期考査対策や、社会人の資格試験対策でご指導させていただいている「高速学習メソッド」という方法を採用しています。

漢検に限らず、お子さんの学習に役に立つかも知れませんので、概要をまとめておこうと思います。

蛇足ですが、トップのノートの写真では、同じ漢字を連続して何度も書いていますよね。この伝統的な漢字の勉強は、小学校3年生以上では「ほとんど価値がない」方法です。(^^;

目次

大前提:学習スタート段階の漢字力、学習時間

小4の息子の漢字力と漢検3級受験の経緯

うちの息子は、私が「言葉」と「読書」の教室をしていることもあって、保育園時代から漢字の読み書きに親しんできました。

保育園の年中さんの頃には、小学校の3年生くらいの漢字の読み書きができており、小学校4年生の夏休み段階では、恐らく小学校5-6年生の漢字の読み書きはできたと思います。
(小6の漢字の「書き取り」は少々怪しい印象はありましたが。)

小学校2年生までは漢字の学習を意識的にさせていたのですが、3年生から空手道場に通い始めたこともあって、やめてしまっていました。

それで、そろそろ漢字というか「日本語」をちゃんと勉強させておこうかと思って「受けてみない?」と提案してみた次第。

日常の学習時間

漢検受験のために費やしたのは、期間でいうと3ヶ月程度。
夏休みからスタートして10月25日に受験しています。

学習時間は週6ペースで、1回あたり20分から40分。
息子には漢字の勉強以外に「読書」のノルマも課しており、また日々の学校の宿題や空手の自主トレもあり、漢字の勉強ばかりはできない状況でした。

学習プロセスについての概説

【0】全プロセス概要

使用した教材

使った教材はこの2冊。
頻出度順 漢字検定3級 合格!問題集 カバー率測定問題集 漢検マスター3級

まず左側の「頻出度順 漢字検定3級 合格!問題集」はページ数が多くなく、さらに1ページあたりの学習量も多くないため、すいすい進みます。あえてそういうテキストを選びました。

右側の「カバー率測定問題集 漢検マスター3級」の方は、カバー率98.2%ということで「仕上げ用」に用意しました。

学習のプロセス

2つのテキストについて、それぞれ次のようなUのプロセスをたどる「4ステップ学習」で進めさせました。
Uプロセス学習
この学習法の最大の特徴は「ストレスをかけて頑張らなくても、無理なく学習が進んでいく」ことにあります。

がんばって思い出す作業も、がんばって書く作業もありません。
そういう作業は自己満足以上の意味がないと考えているからです。

小学校3年生以上の学習は「思い出す作業をどれだけ多く繰り返せるか」が勝負、という発想で、この学習法は作られています。
今回も、息子には「頭をひねって考え込む時間は無駄だから不要だよ」と念を押して勉強させました。

敢えて「小学校3年生以上の」と書きました。
それまで(小2くらいまで)は、次のような特性を踏まえて「漢字を10回ずつ書きなさい」的な指導も「あり」だと考えています。
・単純な反復練習をいとわずに取り組める。
・機械的な単純暗記的学習(例えばかけ算の九九など)もストレスなくこなせる。
・一文字ずつ手本を見ながら丁寧に書くことで、漢字(文字)を書くという作業そのものに慣れる(指と脳みそを慣らす)ことに価値がある。

詳しくは次で、順を追って丁寧に解説していきます。
(「頻出度順 漢字検定3級 合格!問題集」での取り組みで解説します。)

学習プロセス詳細

【1】下見 〜概観・腑分け〜

概観というのは「ざっと眺める」ということ。
腑分けというのは「手術する」ということですが、ここでは「知っている漢字と知らない漢字を分ける」という意味で使っています。

このステージのポイントは次の通り。

  • どんな漢字が出題されるのか興味を持って確認する。
  • 明らかに知らない漢字(用法)があったらチェックを入れる。
  • 一切、書かない。あくまで眺めるだけ。

おそらく2週間かからずに一通りの学習を終えたはずです。
息子も「こんなに楽勝でいいの?」と驚いていました。(笑)

【2】徹底入力 〜補強・穴埋め〜

このステージでは「とりあえず、すべて分かった状態、見れば分かる状態にする」ことを目指します。

具体的にやることは次の通り。

  • 先頭から赤色のシートをかぶせながら1問ずつ丁寧に解く。
  • 問題を見て1秒以内に答えが思い浮かばない問題は「チェック」を入れる。
    このとき、「読み」は確認のみ。「書き取り」は丁寧に1度書いてみる。
  • 択一問題は選択肢を見ない。その後の処理は上と同じ。

問題集での学習ではありますが、基本的に「テキストを読むのと同じ感覚で取り組む」ことが重要です。
書けない・読めない問題も「へー、そうなんだ」と興味を持って丁寧に書いてみる(読んでみる)ことで「丁寧な入力」につないでいます。

【3】反復出力 〜無心の反復〜

今回は問題集での学習なので【2】徹底入力と【3】反復出力が連続した取り組みになっています。
【2】の段階で「一度、丁寧に意識を通した」状態にしてからの取り組みです。

大事なことは「解く時間を、最大限ゼロに近づける」ようにして、繰り返す回数を重視するということ。
基本的なパーツ(へんとつくり)を知っているという前提が必要ですが、それさえあれば、この段階で書く必要はありません。(時間がもったいない!)

  • テキストを2巡、3巡以上繰り返す。
  • やはり1秒以内に答えが浮かばないもの、「書き」であれば曖昧かなと思うものには「チェック」を入れて、丁寧に答えを確認する。「書き」の場合、よほど難しい漢字で「書けなさそう」でない限りは書かない。
  • 3巡以上やって、チェックがまったく入らなくなったら終了。

【4】実践演習 〜弱点発見〜

本人も「これで本当に勉強になっているのだろうか?」と不安に思うことがあったようです。
ですので、ようやくここで「実力チェック」に入ります。

テキストにおまけとしてついている5回分の模擬試験に取り組ませ、自分の現段階の実力を知り、弱点があればそこを補うべく補強学習をさせるようにします。
今回は「補強学習」を、次のテキストでするので、ここではあくまで「実力チェック」のみでした。

  • 時間を計って丁寧に取り組み、採点も丁寧におこなう。
  • 解けなかった問題は、それを「学習」と思って、答え合わせの時に丁寧に書くようにする。
  • 全5回終わったら、間違った問題だけをやり直し、すべて考える時間なくすらすら書ける状態にする。

ここまででひとまず終わりです。

補足

息子はこの4ステップを終わらせるのに1ヶ月半くらいかかりました。
そして、模擬試験問題の正答率は、おおむねどの問題も8割。

ただ、この問題集は簡単。
そこでカバー率が98%超という問題集を使って「仕上げ」作業が必要という認識だったわけです。

もう1冊も基本的に同じパターンで進めました。
ただ、1ヶ月を切った段階からスタートして、ページ数も多く(213ページ)、文字が小さくぎっしり詰まった問題集だったため、本人としては「本当に終わるの?」と不安だったようです。

当たり前ですが大半はすでに学習をしているためスイスイ進みます。
結局、全ページを2回通り、前の半分くらいは3回通りこなして試験を迎えています。

「3回通り」といっても、間違った漢字だけをやるので、2巡目からは1ページあたりせいぜい10個。大半は0から5個くらいしかやる必要がありませんでした。

雑感および、この方法の応用について

今回の試験の目的は、父親からすると「ある程度、難しい漢字や熟語を学ぶことで、読書の負荷を減らせれば」という想いがありました。

息子としては、ただひたすら「Nintendo 3DSのゲームを買ってもらう」ため。

ですので、正答率100%のような緻密な学習は最初から考えていませんでした。
どうせ中学校に入れば勉強し直しますからね。

勉強法のパターン、成功体験を1つ経験できたということで、息子にとっては財産になるのではないかと気楽に考えています。

正答率を上げたければどうする?

もし正答率を上げたければ、もっと時間をかけて取り組ませ、2冊目の問題集を「すべての問題を、すらすら解ける(書ける)」状態にした上で、もう1冊「穴探し」のための問題集を用意するといいでしょう。

おそらく、それでも満点にはなりません。
そこ(満点に足りない分)は「実生活での運用」つまり読書であったり、日記であったり、「使う」シーンでどれくらいいろいろな言葉と出会い、書いた経験を持てるかということでしか埋められないのではないかと思います。

定期テストで点数を上げたい!

学校の定期テストでも、この学習法は大いに役立ちます。
ただやはり、どんなに緻密に勉強しても、英数以外は「満点」は大変です。
「まさか、そこから出題するか!」という問題が必ずありますからね。(^^;

あくまで「90点以上を目指すための基本プログラム」として考えてください。
以前の記事で書きましたが、このプロセスで勉強して定期テストを2から3回試せば、だいたいどのくらいの期間、勉強したら平均90以上取れるかということが分かってくると思います。

結論:学習はスポーツと同じ体育会系が一番だ!

勉強が苦手な子でも、この方法なら無理なく90点を目指せるようになります。

「分からない」と悩むチャンスがありませんし、作業をこなしているうちに「分かる!」に変わっていきます。

勉強ってスポーツと同じで、やればできるんだ!という体験を、ぜひお子さんに味わわせてやってください!

※近いうちに中学校の定期テスト対策学習「英数編」を書こうと思っています。

2015.11.28追記

漢検の詳細な結果が届きました。
自己採点ドンピシャの181点でした。

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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