夏休みに入ってすぐ、お兄ちゃんが、自由課題として「工作」に取り組むと言ってきました。
多分この宿題は「自由研究」の範疇ですが、ぜんぜん自由でも研究でもありません。(苦笑)
それでもこれまで、「物作り」の指導というか、「設計図も手順書もない状態で、何か完成させる」という指導をしたことがありませんでしたので、いい機会だと思って、全面的に協力することにしました。
その指導手順の全貌はこんな感じ。
- 1.作り方をネットで検索させ、仕組みと手順をまとめさせる。
- 2.ひとまず何のアドバイスもせずに作らせ、失敗を経験させる。
- 3.失敗作品を分解しながら、何が問題だったのかを確認させる。
- 4.1から作り直させ、その手順を丁寧に学ばせるため、作ったもの(がちゃがちゃの機構部分)をすべて捨てさせる。
- 5.簡単な設計図を書きながら、仕組みと失敗した要因を再確認し、それをどう回避するか一緒に考える。
- 6.原理などを説明しながら、厚紙とマスキングテープで、試作品を作り、きちんと動作する状態を確認させる。
- 7.試作品を分解させ、作りを再確認させながら、自分でもう1度、新たに作り直させる。
- 8.途中で行き詰まるごとに、その原因を一緒に考え、アドバイスを与える。時には手伝う。
- 9.完成(明日?)
何か技術的なことを学ばせるときの大原則は、山本五十六のこの言葉に凝縮されていますよね。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ。」
というわけで、お盆のお休みを利用して、数時間ほど息子につきあって工作を楽しみました。(^^)
以下、上に挙げた9項目について、もう少しだけ補足説明をしてみます。
1.作り方をネットで検索させ、仕組みと手順をまとめさせる。
なんとも便利な時代ですよね。
自由研究的なジャンルについて、探せばテキストベースの解説か動画か、必ずどちらかが出てきます。
例えばこんなやつ。
今回はYouTubeで仕組みの解説をしてくれている動画を見つけてきたので、数種類ほど視聴させて、自分の作りたいと思うタイプのものを、図と言葉で整理させました。
とりあえず「見て分かった気にならず、自分なりの解釈を出力させる」ことで、「分かったつもり」を「分かった」に変える作戦です。
2.ひとまず何のアドバイスもせずに作らせ、失敗を経験させる。
次は「分かった」を「できる」につなぐステップ。
何においても「学ぶ」というのは、この能動的出力からのフィードバックからしか生まれません。
- 作っている最中に、「分かっているつもりだったけど、やってみるとよく分からない」状態を体験し、それを乗り越える試行錯誤をする。
- 出来上がってみて、実際に動かしてみたら動かないという体験をし(期待と結果のギャップ)、あらためて根本から問題を見直す作業をする。
そんな【能動的出力】⇒【フィードバック(手応え+期待と結果のギャップ】⇒再挑戦・・・という流れですね。
3.失敗作品を分解しながら、何が問題だったのかを確認させる。
ここでお手本の動画に戻り、自分の作品と比較しながら、悪いところを確認させます。
ですが、本人なりにがんばって作ったわけでして、何が悪いかはやっぱり分かりません、
ここで先生(というかパパ)の登場です!
文字にせよ、動画にせよ、整理された手順・ノウハウというのは、言葉に表された表面的なものに過ぎないんだよ、実は語られなかったノウハウとか、言語化しようがないノウハウ(暗黙知)というのが重要なんだってことを語って聞かせました。
4.1から作り直させ、その手順を丁寧に学ばせるため、作ったもの(がちゃがちゃの機構部分)をすべて捨てさせる。
ということで、外箱など骨格となる部分以外はすべて「失敗作品」として捨てさせました。
かなりショックだったようですが、中途半端につぎはぎをするのは、かえって遠回りになるもんだってことを体験させたかったんです!(^^;
5.簡単な設計図を書きながら、仕組みと失敗した要因を再確認し、それをどう回避するか一緒に考える。
ここから主導権がパパに移ります。
あらかじめ動画で機構(仕組み)を確認しておきましたが、息子の口から仕組みを説明させながら、それを私の手で設計図という形に落とし込んでいきます。
その時に「ここはどうなってるの?」というふうに、要所要所で細かなことまで確認します。
そこを雑に、適当にやっちゃうからダメなんだよって説明し、一緒に動きをシミュレーションしながら、細部まで作りや動きを確認していきます。
6.原理などを説明しながら、厚紙とマスキングテープで、試作品を作り、きちんと動作する状態を確認させる。
ここもパパ主導です。
設計図にしたがって、厚紙とマスキングテープで試作品を作って見せます。
パーツを作ったら、それを組み合わせて動作を確認。
「この形状は、このままだととなりのパーツとぶつかるよね? どうしたらぶつからずに動くかな?」
そんなやりとりをしながら、ひとまず完成。
7.試作品を分解させ、作りを再確認させながら、自分でもう1度、新たに作り直させる。
再び、主導権を息子にパス。
作り方と、その細かなノウハウを理解できたところで、パパが作った試作品をすべて分解させます。
そのためにマスキングテープで仮止めしていたんです!
そこから方眼の印刷された厚紙に設計図(展開図)を描かせ、すべて作り直させます。
8.途中で行き詰まるごとに、その原因を一緒に考え、アドバイスを与える。時には手伝う。
それでだいたい出来てしまうのですが、それでもやっぱり細かな部分で不具合が生まれてきます。
- 竹串を軸に使っているが、その動きが滑らかでない。(摩擦が大きい)
- ビニルテープでとめたパーツ同士がぶつかる部分で摩擦が大きくなり、動きが止まるところがある。
- お金を投入してみたら、予定の場所に落ちないことがある。
そんな感じで。
こういうことに対処するための工夫ってのは、当然、何かで学んでないと難しいわけですが、考えたら、息子はそれほど「ものを作る」体験も「ものを分解して仕組みを学ぶ」体験もしたことがないんですよ!
私はカメラでもラジカセでも分解していましたし、漫画雑誌の付録の紙工作も大好きでしたし。
そういう「もの作りの工夫」を観察した体験がないので、発想が生まれないんですね。(^^;
それで、「摩擦を小さくするには、どうしたらいい?」という具合に考えさせつつ、模範解答として私が具体的にアドバイスを与えます。
9.完成(明日?)
そんなこんなで、8割方完成。
明日、カプセルをストックする部分を作ることになっています。
中に入れるカプセルも調達しなければならないわけですが、「くら寿司にいったら、ガチャガチャのカプセルをもらえます!」というので、明日の晩ご飯はくら寿司。(笑)
ま、「誉めてやらねば」の部分ってことになるでしょうか。(笑)
今回、息子の工作を手伝うことで、「人を育てる」ことの基本ステップを確認でき、いい体験になりました。(^▽^)