子育てで「意志力を育てる」ことが重要なわけ

マシュマロ・テストで「意志力」が試される、それは親の関わり方次第で育てることができるという話を書きました。

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実は、その子が自分の才能を本当に伸ばし、活かすことができるかどうかは、まさにこの「意志力」にかかっているのです。
 
海外の最近の研究によれば「ベートーヴェンをベートーヴェンたらしめたのは才能ではなく、たゆまぬ、激しいまでの努力こそがベートーヴェンたらしめたのだ」という論調が力を持ちつつあるのだとか。

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成功の鍵を握るのは「計画的な練習」

学習や熟練したスキルについて研究するスウェーデンの学者アンドリュー・エリクソンによれば、遺伝よりも地道な努力こそが成功の鍵を握っているといいます。

The accumulated amount of deliberate practice is closely related to the attained level of performance of many types of experts.
(計画的な練習の累積量が、様々な種類の専門家の能力レベルに密接に関連しています。←寺田の適当な意訳。以下同じ!)
from “Expert Performance and Deliberate Practice”

For example, the critical difference between expert musicians differing in the level of attained solo performance concerned the amounts of time they had spent in solitary practice during their music development, which totaled around 10,000 hours by age 20 for the best experts, around 5,000 hours for the least accomplished expert musicians and only 2,000 hours for serious amateur pianists.
(例えば、ソロパフォーマンスのレベルの違うミュージシャンには決定的な違いがあり、それはその人達が費やしてきた練習時間に関係がある。例えば、1万時間だと最高レベル、5000時間だとそこそこのミュージシャン、たった2000時間だとアマチュアピアニストという具合だ。)

そういえば、「10,000時間の法則」で有名なマルコム・グラッドウェル著『天才!成功する人の法則』でも、こんな主張がされています。

複雑な仕事をうまくこなすためには最低限の練習量が必要だという考えは、専門家の調査に繰り返し現れる。それどころか専門家たちは、世界に通用する人間に共通する”魔法の数字”マジックナンバーがあるという意見で一致している。

「練習をせずに天才的才能を発揮する人」も、「いくら練習をしても上達しない人」の両者もいなかった。

1万時間というと、1日10時間積み上げたとしても10年。1日5時間でも20年、2時間で50年。
生半可な努力で続けられるものではなさそうな数字です。

「そこそこできる」と「一流レベルでこなせる」の無限の隔たり

では「そこそこ楽しめるレベルでできる」のに必要な時間はどのくらいなのでしょう。
 
これについて、ジョシュ・カウフマンという作家は「そこそこのスキルレベルだったら20時間でいい」と、著書およびTEDで主張しています。
 
もちろん、これは大人の例であって、その人の技能・知識の得手不得手など前提条件が変わると、この主張も成り立たない可能性があります。
私が主催しているビジネス速読術講座では「30時間」を速読修得の目安にしています(20時間の基本トレーニングと10時間の実践演習)。
これまで1400人以上の方を指導してきた経験からも、カウフマンのこの主張には「信頼おける指導者の下で、正しい方法でおこなえれば」という条件付きではありますが、おおむね納得できます。
 
(話がそれましたが)つまり「そこそこできる」ことと「一流レベルでこなせる」ことの間には、相当なギャップが存在するわけです。
 
そこまで徹底した努力の積み上げができるかどうかは別として、「そこそこ」を突き抜けていくには、継続的な努力、練習をし続ける力こそが必要となることは、反論の余地がありません。
 
しかも、それはたいていの場合、おもしくもない練習があり、基礎的な鍛錬や、実践を離れた分析作業なども含まれてきます。それを長期にわたって計画的に実践できる才能こそが、一流と呼ばれる上で必須要素なのです。

もっとも重要な要素は「意志力」である

2011年に発表されたダックワース教授らの研究によれば、「意志力(grit)」と呼ばれる心理学的特性こそが、その才能の核心だということです。
 
意志力こそが膨大な時間におよぶ計画的な鍛錬を可能にし、それは間違いなく成果として現れる、と。
 
もちろん、私たちの実感として、夢中になれるようなものと出逢ってこそ、意志力が発揮できるということは考えられます。
ビジネスの才能、その人の適正を考えるとき、「何に夢中になり、お金あるいは時間を投じてきたか」をまず見ますからね。
 
いずれにせよ、私たち親あるいは教育者が大事にすべきは、マシュマロ・テストの話の繰り返しになりそうですが、何かを無理強いすることではなく、その子の主体的な意志決定をサポートすることだということになりそうですね!
 
まだ「マシュマロ・テスト」の記事を読んでないようでしたら、ぜひ読んでみてください。(^^*
『マシュマロテストと「アリとキリギリス」の子育て術』

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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