「ねーーーっ、どーーーらーーーえーーー(以下、自主規制)」
そんな情けない声で、22世紀のネコタイプロボットに無茶なお願いをし続けた少年も、なんだかんだで立派なパパになれましたよ。
えぇ、あなたもご存知のとおり。
彼は優しさと思いやり、他人をいたわる心を持った大人に、本当にまっすぐ育ちましたよ。自分の大事にする価値観にまっすぐだし、映画の中だけだけど、勇敢で、仲間も大切にして。
ちゃんと、彼にとってのヒロインも射止めたし!
でも、あんまり知性は育たなかったようで、それだけが彼のウィークポイントでしょうか。
でも、なんでだろう?
16万人の脳画像を見てきた脳医学者さんが、自分の3歳の子どもの子育てとか、ちょっと知っている程度の知見で語る子育て論によると「好奇心を育むこと」が、賢い子に育つ最大の条件っぽいんだけど。
彼も十分に好奇心たっぷりだったし、その好奇心を丸出しに散々失敗のリアルな体験もして、十分に脳と好奇心と(人の助けを借りつつも)なんでもやってみよう!という行動力もあったはずなんですが。
親としても教育に携わる身としても、どうしたらこの子の知性を最大限に引き出せるだろう?ということは、大きな関心事です。
学校の勉強がすべてでなかったとしても、学歴がそれほど重要なものでなかったとしても、自分の頭で自分の人生を切り開ける力という意味での「賢さ」は必要ですよね。
いや、待てよ?
○○太君も、サバイバル能力、ロボットの持つ秘密道具を活用する知恵とかを考えると、十分に賢かったのかな…。
そう、とりあえずそういうサバイバル能力的な賢さではなくって、学力につながる賢さを引き出すためには何が必要なのか? その秘密を最近売れ筋のベストセラー書から学んでみるとしますか…
ん、なになに?
賢い子どもに育てるには「秘密道具」が必要ですと?
賢い子に育てる究極のコツを語る本によると、秘密道具は3つ必要なんだそうですよ。
○○太君は無数に秘密道具を出してもらっていましたが、肝心なものが欠けていたのかも知れませんね。
えっ?
最大の秘密道具は図鑑ですか!
クリスマスのたびに事典とか偉人伝みたいなものが届いてはいたみたいだけど、図鑑はなかったのかも…。
パパサンタ、しくじったな…。
2つめの虫取り網はあったよね。
知識と体験を結びつける道具って意味では、虫取り網以上にいろいろポケットから出てきたと思うんだけど。
あ、3つめの楽器もなかったわ。
うん。なかった。
じゃ、○○太くんに図鑑と楽器があったら、「賢い子」に育ったの?
その本に書かれている内容から見て、彼の両親の関わり方も、別に間違っていなかったと思うんですよ。
それに脳科学的に見ると、脳の汎化という作用によって、1つの能力が育つと他の能力も一緒に育っていくらしいんです。
あやとり、拳銃、昼寝(早寝?)…これらの得意技は、脳を育てるのに十分だったのではないかと思うんですが。
もしかして、水色のネコタイプロボットの出現で「努力のしかた」を学べなくなったのが一番の問題だったということでしょうか。
だとすると、罪作りだな…ネコちゃん…。
ただ、人生って何がプラスに作用して、何がマイナスに作用するかなんて、結果論でしか語れないわけで。
ネコちゃんの登場で得られた体験も、本当にいっぱいあって、それはそれでマイナスを帳消しにする以上のインパクトがあったんじゃないかと思うんです。
だから、「究極のコツ」を知りたいんですよ。
「これを押さえておけば、脳科学的に見て大丈夫!」みたいなものを。
でも、読んで分かったことは、脳科学的に究極のコツなんてものは語れないってこと。
究極のコツを語る先生も、時々、脳科学チックな言葉とか解説は出しますが、肝心なところでは、「伸びる子の親というのは・・・意識的におこなっているのだと思います」みたいに、基本的にエビデンス一切無し。
具体的な子育てのコツについては「思います」「はずです」のオンパレード。
唯一のエビデンスは「自分の3歳の子を育てた体験」だけ。
それ以外の事例も、非常に少ないサンプルを挙げて「ほら、こんな例もあるよ」という程度。
秘密道具の2つめの楽器については「ピアノ」を挙げていますが、これも楽器メーカーがおこなった調査結果が根拠。
「東大をはじめとする国内難関大学生の約半数は、ピアノを習ったことがある」
って・・・因果関係と相関関係の違いは・・・
そして、それを根拠にこう語っています。
ピアノを習うことで脳の発達が晋可能性は、おおいに期待できそうです。
そのレベルか…秘密道具じゃないじゃん…orz
そりゃ、ピアノだろうがダンスだろうが、何かを習えば脳は発達しますわな。(^^;
ちなみにピアノが秘密道具たる根拠を述べる部分でも
音楽は、その人の好奇心と人生とを、一生涯を通じて豊かに広げてくれます。そしてそのスタートは、幼い頃に始めたピアノかもしれないのです。
ですと。
もう1つ、すごく気になっていたこと!
○○太君のダメダメさ加減が「DNA由来」だったとしたら、どうなんだろう?
教育はDNAを超えられるんだろうか?
これについても「努力はうまれつきの才能を超えられる?」という疑問を投げかけてはいますが「超えられる」という結論はぼやかしたまま語られることはなく・・・
ということは、やっぱり努力では生まれつきの才能は超えられないってことかも知れませんね。
でも、彼は彼のよさをまっすぐに育んで、幸せな人生を歩んでいます。
物語の中の話ではありますが、私たちは彼の未来について「そうなりそうだよねー」的な納得感を持ちますし、彼の生き方に共感もできます。
今回、究極のコツとやらを学べば、そんな彼の人生に「知的な意味での賢さ」をプラスできるのか?という期待を込めて読んでみたのですが、16万人の脳画像を見てきた先生でも、科学的な立場からは賢い子を育てるコツは語れないことが分かりました。
究極のコツとして語られているのは、科学的な根拠のない話ばかりですし、科学的な根拠を持って語られている話は、特に新奇なものはなく、これまで十分に語り尽くされたものばかり。
結局、何か特別な育て方はないってことですね。
そのことが確認できただけでも、この究極のコツ本を読んだ価値があったってものです。
期待だけさせておいて、何も得るものなし・・・というオチ。
この記事も同じか・・・。
期待して読んでくださった皆様、どうもすみませんでした。
単に、究極のコツなんてうたう本にツッコミを入れたかっただけなんです・・・(;_;)