eラーニングを日本のみならず世界中に展開している新進気鋭の教育ベンチャー、すららさんの調査で、こんな興味深いデータが出ていました。
【設問】自分がもっと勉強のやる気を出すために、親に希望することはどんなことですか?
⇒【回答】勉強に口を出さないでほしい(44.6%,第1位)
これ、親としては「分かっちゃいるけど、ついつい」という教育あるあるネタのテッパンです。
こちらの記事に紹介した研究データにも出ていましたよね。(^^*
「子どもに「勉強しなさい」とよく言っている」家庭ほど子どもの学力は低くなる。
平成25年度「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」より(
では、勉強しない子どもに、どういうアプローチをしたらいいのでしょう?
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子どもに勉強して欲しい…なら、どうしたらいいか?
私が高校教師時代に保護者のみなさんにお伝えしていたこと、今、小学生の指導をしていてお伝えしていることを整理して、5つの策としてまとめてみました。
大前提:子どもだって、勉強しないといけないって分かってる!
子どもは誰しももっと勉強を分かりたいと思っていますし、勉強をしなければならないことも分かっています。
自分でわかりきっていることを、他人から、しかも厳しい口調で言われることほど嫌なことはありませんよね。
親の基本スタンスは「我が子を信じて手放し、そっと見守る」ことです。
その上で、次のような策を講じていきましょう。
策その1:自分で目標を立てさせ、守らせる
何か具体的な目標があると、いやなことでも「よし、やろう!」と思えます。
中学生であれば、学校がその環境整備をしてくれます(職場体験、進路集会、定期テストなど)。親としてはそれにちゃんと乗っかり、食卓の話題に上げましょう。
小学生の場合、塾の実力考査的なものがあれば、それを目標にしましょう。
我が家は塾に通わせていないので、四谷大塚が実施している全国一斉小学生テストと漢字検定を利用しています。
立てた目標を達成できたかどうかが一目瞭然なのがいいですね。
ここで重要なこと!「行動目標」も一緒に立てさせてください。
到達目標だけだと、結果が出てしまわないと評価ができません。
あくまで目標に至るプロセスを、子ども自身に管理させたいわけです。
「その目標を達成するために、どのくらい勉強したらいいと思う?」と問いかけて、やはり自分で決めさせます。そこそこ現実的に、されど挑戦的に。
その上で、日々、自分が目標に近づく努力ができているかどうか、子ども自身にチェックさせるようにしましょう。
策その2:ニンジンを用意する
「褒めてがんばらせる」が通用するのは小学校低学年までの話。
小学校を卒業するまでに、「勉強そのものへの興味」を子どもの中に作ってやらなければなりません。
その第一歩として「ご褒美」を用意するのは、決して悪いことではありません。
とはいえ、あくまで第一歩であり、やはり「徐々に勉強そのものへの興味」に仕向けていかなければなりません。やり過ぎにご注意を。
究極のニンジンは、「勉強したら夢に近づける」という親の熱のこもった話であり、親自身が人生を楽しんでいる姿を見せることですね。
策その3:環境を整える
環境整備には2種類あります。
1つには物理的な勉強スペースの整備。
すっきり整理され、集中できる環境を用意してやりたいものです。
この部分は小学校の内から「片付け癖」を付けさせて対処したいところです。
食卓で勉強させるのであれば、親の責任で「常に整ったテーブル」にしておきましょう。
もう1つは文化的な環境整備。
親自身が本を読んだり、新聞を読んだりと、「学び成長する喜び」を体現するのが一番です。
少なくとも、日常の会話の中で「仕事」や「学問」のことを語り合う文化を創り、子どもが自然と将来のことを考えられるようにしたいものです。
策その4:アドバイザーとしての役割を果たす
いきなり難しい勉強に取り組んでも、「できた喜び」の前に「できないストレス」が勝ってしまいます。
どういう手順で勉強したらいいのか、誰に、どう相談したらいいのか、そんなことを親がアドバイスできるのが理想です。
だから、親は子ども以上に勉強しなければなりません。
別に難しい数学を教える(理解する)必要はないんです。
一緒に丁寧に問題を解きながら(親は模範解答や解説を読んでもいいんです)、「どこでつまずいているのか」を子ども自身に確認させるだけでも、子どもは安心して勉強に取り組めますし、たいていの場合、自分でやり方や問題に気がつくものです。
勉強法の本を紹介してやるとか、いい教室や教材を紹介する(あるいは一緒に見学に行く)のもいいですね。
無理強いしてさせるのではなく、子どもがやろうと思う意志を、できるだけスムーズに目標につないでやるような役割を担ってください。
「ことのば」のブログやメルマガを、その知恵袋として活用してくださいね!
ご質問、ご相談も遠慮なくどうぞ!(^^)!
策その5:忍耐
これが一番重要で、一番難しいかも知れませんね。(笑)
「子どもに勉強させよう!」という気持ちを手放してください!
勉強をしていなくても、ぐっと耐える。
大きく深呼吸してやり過ごしましょう。
できた時、目標を達成できた時は一緒に喜びましょう。
ただし、褒めすぎには注意。「褒める」が通用するのは小学校低学年までですよ!
努力を認め、ねぎらい、一緒に喜ぶ。それだけで十分です。
結果にいたる道のりを、できるだけスムーズにいかせようと思うなら、環境整備の努力を怠らず、それでいてひたすら「忍耐」です。
大丈夫。
あなたの子どもですから。
あなたの愛はちゃんと伝わっていますから!