中学生の英語長文対策に何をさせるか?

先日、中学生の子どもを持つ親御さんから、おもしろい相談を受けました。
 
なんでも、今、通っている学習塾から「英語長文問題集」を渡され、夏休み中、毎日1つ読みなさいと言われたとか。
 
「長文読解力を高める上で、多読は必須だから」
 
という説明だったそうで。
 
ただ、お子さんの英語力からすると、とても読めるようなレベルの文章ではなく、ストレスフルだし、とても時間がかかっている、と。
それでもやはり「多読は必須」という言葉が気になっているが、このままやらせた方がいいのだろうか?と。
 
そういえば、ことのばに来ている子も同じようなことを言われたって相談されましたっけ…
 
結論から言えば「やらない方がいい」と断言しちゃっていいですね。
 
多分、それを勧める先生というのは、自分がやってよかったと思う勉強法とか、ごく一部のできる子に劇的に効果があった方法とか、そんなハイレベルなものを、誰にでも効果があると勘違いしちゃっているんでしょうね。
 
でも、長文対策はやった方がいい。それは確か。
 
では、いつ、どういうタイミングでやったらいいのって話をさくっと解説してみます。

1.長文多読には価値があるのか?

まず学習者のレベルとか学習に当てられる時間の制限を問わなければという前提を作っておきますが、やはり長文読解の力を手に入れたければ、ひたすら読むのが効果的です。
 
例えば5000円札の人であり、武士道を世界に広めた人物として有名な新渡戸稲造は、英語の達人としても有名ですし、国際連盟事務次長も務めています。その新渡戸氏は「図書館にある書物は、片端から全て読んでしまおうと云う」と自著『武士道』の中で語っています。
 
まぁ、これは極端に過ぎるかも知れませんが、日本語であれ英語であれ「多読は必須」という発想は、決して間違っていません。

2.英語長文の読解に必要な要素

多読が必須という発想は間違っていませんが、問題にすべきは「学習者のレベル」なんですね。
 
例えば、やっと本を自分で読めるようになってきた幼稚園児に、かたい表現が使われた長い文章を読ませて理解できるかといえば、そりゃ無理に決まっています。
 
大人だって、小難しい言葉が満載で、やたらと難解なレトリックが駆使されている文章を読むのは大変です。言葉を吟味しながら熟読すると、途端に流れが分からなくなります。
 
日本語であれ英語であれ、長文がスムーズに読めるというのは、

  • 1.使われている言葉を自然と理解出来レベルの語彙力
  • 2.文の構成要素(SVOC+MPT)を悩むこと処理できる文法力
  • 3.言葉や文脈を理解する上で必要な背景知識
  • 4.指示語や接続詞によってつながっていく文脈を構成する力
  • 5.全体の主張の構造を把握できる論理力

といった条件が揃っているということなんです。
 
そういう子に「たくさん読めば力になるわよ!」なって言いませんよね?
それよりも「よし、すっきり分かるまで、何度も読もうか?」って提案しません?
 
前に国語の読解力を高めるために「文章を数回読む」というトレーニングを紹介したことがあります。

日本語の長文読解だと、1,2,3がある程度整っているという前提があるので、「何度も丁寧に読む練習」をすることで4,5が鍛えられるわけです。
 
1,2がちょっと貧弱な子どもでも、相応の(ちょっと負荷がかかるくらいの)本を何度も読むことは読解力アップにつながります。
英語の長文読解トレーニングにも、それと同じ発想が必要なんですね。

3.では中学生の英語長文対策として何をさせればいいか?

上述の1と2が不十分だと、そこを処理するのに手間取ってしまって、全体の文意、文脈が把握できません。
ここにまったく気を遣う必要がなくなって初めて、長文読解が可能になるのです。

3-1.ボキャビル

単語は分かりやすい話ですね。
とにかく高校入試レベルの単語帳は「見た瞬間に日本語が出てくる」レベルで記憶してしまいましょう。

3-2.英文のパターン演習

まずは「英語構文」を自動的に処理できるレベルまで「一文の把握力」を高めておく必要があります。
SVOCという5文系要素と、MPT(Modifier:修飾語+Place:場所+Time:時)といった副詞(句)を、迷いなく処理できる状態です。
 
これには、英語の教科書の本文を、上記要素(SVOC+MPT)を意識させながら音読させるのが有効だと考えています。
英語の言葉のつながりのパターンを体で憶え、同時通訳的に読む順序で意味が構成されるようにするのです。
 
その考え方と学び方については、こちらの記事をご一読ください。

もう少し体系的に学びたい、基本からしっかり「英語の学び方」を学びたいという方は、こちらの本がお薦めです。(教材としてはボリューム不足ですので、あくまで学び方をしる基本書としてとらえましょう。)
 
『「ネイティブ思考」英語勉強法』

3-3.教科書1ページ分レベルの文章の重ね読み

発想としては上に紹介した国語力アップのトレーニングと同じです。
最初は一文ずつ、あるいは文節ごとに立ち止まりながら、ゆっくりでいいから、読む順番で意味(日本語訳)を理解し、それを頭の中で「文脈」としてつないでいきます。
 
それをスムーズに「読んで、そのまま理解出来た!」と思えるまで繰り返すだけ。
 
そもそも日本人は、英語の語順のために脳を消耗させられ、「短文(単文)は読めても、文章を読もうとすると崩壊する」という壁に悩まされるのです。

その「語順の処理」を可能な限り自動化してしまい、楽に読めるようにしようというのが、この3-2と3-3のトレーニングです。

4.まとめ

入試を考えると、確かに英語の長文読解は必要ですが、トレーニングに取り組むタイミングを間違えると、ストレスがかかる上に、時間も無駄に浪費することになります。
 
仕上げとして最後の1-2ヶ月やるだけでも、そこそこのレベルの高校の入試レベルであれば十分に対応可能です。
 
それよりも、まず「今やるべきこと」に注力して、効果の上がる勉強を積み上げさせましょう。(^^)

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