「本を読むように仕向けるためには、どんなことをしたらいいのでしょうか?」
これまでに本当にたくさんの親御さんや学校・塾の先生方からいただいた質問です。
そこそこ読む子を、「かなり読む」状態にするのは、あまり難しくありません。
あるいは、まったく読まない子でも、何らか問題意識があって「本を読まないとまずいのかなー」とでも思っているようなら、やはり難しくありません。
うちの教室の例ですと、小学校4年生、あるいは5年生になって親御さんに教室に連れてこられるまで「読書量ゼロ」という子は珍しくありません。
しかし、週1冊ずつ読む宿題を出すと、それなりに(質や集中力の状態は不明ですが)読んでくるものです。
速読トレーニングを通じて、集中力を付けていきますし、1ヶ月もしたら「楽に読める」という感覚が手に入ります。
そういう、作られた環境と強制力を後押しするメソッド(この場合は速読技術)は大事だろうと思いますし、これまでのところ、多くの場合、功を奏してきました。
が、成功事例ばかりではありません。
中には、ノルマを与えても、まったく本を読もうとしない子もいます。(^^;
そういう子は、講座中もやる気ゼロ。
ここはなかなか難しい問題ですね。
親御さんの協力があって、時間はかかったけどうまくいったという例もあります。
が、親御さんがさじを投げていて、家庭での強制力も応援力も期待できないという場合もありました。
その場合、当然のように、途中で講座を辞めてしまいます。
本の楽しさは読めば分かるさ!
本を読む人はそう考えてしまうのですが、そういう子にとって、その第一歩が大変なんです。
読書が嫌い、好きじゃないという一番の原因は、読書が子どもにとって「強制されたもの」になっているからかも知れない…そんなふうに考えています。
算数の文章題が苦手…という子どもに、登場人物やシチュエーションを、昔話や人気のヒーローアニメに置き換えるだけで楽しくやるようになる、ということがあります。
同じことをやっているのに、ワクワクするシチュエーションを用意するだけで、難なくこなしてしまうんです。
学びあるいは読書というものは、本来、楽しみであって自由な活動であるべきなのかも知れません。
人間誰しも好奇心を生来持っているはずですから!
それを大人が摘み取ってしまっているだけなのかも。
「読書へのアニマシオン」という、一種の遊び型の読書教育を開発したスペインのモンセラ・サルト氏もこう語っています。
「遊んでいるときに一番、学習効果が高まる」
私たち親や教育に携わる者が、どうしても忘れがちになる部分です。(汗)
これを取り入れられると、読書教育も劇的に変わりそうです。
結論を言いますと、子どもを本好きにすることはそれほど簡単ではありません。
が、1つ間違いなく言えることは、強制するのではなく、巻き込んでいくスタンスを取ることが基本だということです。
親が本を読む姿を見せる。本棚に、いろいろな楽しげな本を置いておく。親子で輪読をしてみる。一緒に図書館に出掛けてみる。などなど。
そういう親子のふれあいの中に、子どもが本に興味を持つヒントが見えてくるかも知れませんね。
大前提として、気長に見守るという親の覚悟(?)が要りそうですが!
ことのばでも、小学校低学年を対象とした読書・読み聞かせサロンを開講しようかと考えています。
そのためには、もっといろいろ研究しないといけなさそうです…