幼少期の読み聞かせは、なぜ国語力につながらないのか?

先日、親子連れがふらっと教室に立ち寄ってくださいました。

なんとなく気になったから…ということで。(^^)

その時に、教室の本棚を眺めながら、お母さんが軽く質問なさったんです。

「うちの子が幼稚園の頃は、本当にたくさん本を読み聞かせてやったんですよ。
 でも、小学校に入ってからはあまり本を読まなくなってしまって、国語も算数もあまり得意じゃないんです。どうしてなんですかね?」

まぁ、だいたいこんな内容でした。

この疑問(相談)の前提として、読み聞かせをしたら本が好きになるに違いない。

あるいは、読み聞かせをしたら勉強好きになるに違いない。

そんな思い込みレベルの過度な期待があるわけです。

確かに、文科省の調査でも、

「子どもに本や新聞を読むようにすすめている」、「子どもと読んだ本の感想を話し合ったりしている」、「子どもが小さいころ、絵本の読み聞かせをした」、これらの項目に「あてはまる」という家庭ほど子どもの学力が高い。

というデータが出ています。

確かに

「国語力はあらゆる学習の基本」
「読書が国語力を作る」

といった言い方もされますし。

ただ、子どもの読書指導、学習指導に関わっている身として断言しますが、

「小さい頃、読み聞かせをしていた」

というのは、高い読書力も高い学力もまったく保証してくれません。

上に引用した分析の一文を読んでも、それが分かりますよね?

幼少期の読み聞かせは、1つの側面に過ぎないわけです。

子どもが小学校に入ってからも本や新聞を読むように勧めてみたり、一緒に読んでみたり、子どもと本の感想を語り合ったり・・・

つまり、「読書」を軸にして、継続的に親子の関わりを持てたかどうか、そこが問われるわけです。

子どもの頃の読み聞かせというのは、絵本の世界に興味を向けるのにももちろん役立ちます。

でも、その興味は上手に導いてやらないと煙のようにすーっと消えていってしまいます。

いかにして「絵本」から「児童書」にステップアップさせ、いかにして「自分で本を読む習慣」にステップアップさせるか。

そして「読みっぱなし」ではなく、考えさせたり、自分の言葉にさせたりといったことにつないでやるか。

そこにこそ、本質があるんですよ。

本を読んでもらう喜びから、徐々に「独りで本を読んで楽しめる」に上手につなぐことができて、

さらに、「難しい本をじっくり読んで分かる喜び」につなぐことができれば、冒頭のお母さんのような悩みは
生まれてこないはずです。

もし、小学校に上がった瞬間に

「もう音読終わったの?」
「もう宿題したの?」
「図書館から借りた本は?」

みたいな、突き放しモードに切り替わっているとしたら、それはとっても残念なこと!

お子さんが小さいときに絵本の読み聞かせをすることを厭(いと)わなかったのであれば、お子さんが小学校に入ってからも、一緒に本を読んだり、本の内容について語り合ったりすることも厭わないで欲しいものです。

それができさえすれば、絵本の読み聞かせは、ちゃんと読書力、国語力につながっていきますよ!

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