教師時代から今まで、よく相談されたこと ── 「国語の成績の上げ方が分からない」。 ── この悩み、すごく多いんですよね。
そしてこれについて「読書が一番!」なんていう救いのない都市伝説的な対処法がまことしやかに語られています。
いや、決して的外れというわけではありません。
「国語が得意な子は、読書好きが多い」のは確かです。
ですが、以前書いたように「本をたくさん読む子は、間違いなく国語の成績がいい」とはいえないんですね。これが。
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「読書が一番!」が本当だったとしても、ですよ。
どんな本を何冊読んだら効果があるのか不明です。
「ここを押さえたら大丈夫!」という合理的なポイントもありません。
「背を伸ばすために牛乳を飲みましょう」という以上に、雲をつかむというか、藁をつかむのにも似た作業になりかねません。
国語と「算数の文章題」が苦手な子の共通の特徴
同じ話が算数の文章問題でも出てきます。
「子どもが算数の文章問題が苦手なんです。
どういう本を読ませたらいいですか?」って。
この質問を、中学生の子を持つ親御さんから受けたことがあるんですが、いったい何年後に高校入試を受けさせるおつもりですか、お父さん・・・。(-_-;
そんな藁をつかむようなことは止めて、まず冷静に「どこでつまずいているんだろう?」と現状分析をしてください。
それだけでも、いろいろ打ち手が見えてくるはずですよ。
今回は、私がこれまで子ども達と関わってきて「国語や算数の文章問題が苦手」な子の共通の特徴として感じていること、そしてそれらを克服し「成績アップ」につなぐために何が必要かということについて語ってみようと思います。
「読書」にどう取り組ませ、何をプラスしたら読書経験値を成績アップにつながるかという視点で!
なお、ここで「国語」というのは、算数の文章問題につながるような「読解力」にフォーカスしたものであることをご了承ください。国語には文法、漢字、語彙などなど様々な領域を含みますからね!
特徴1:言葉を雑に処理している
もっと簡単にいうと「文章の読み方が雑」ということです。
修飾・被修飾とか呼応の関係、下手をすると主語と述語の関係すらつかめていないような読み方になっていることがあります。
この原因には2つのパターンがありえます。
- 文章を読むのが苦手で、読みながら各要素の関係を把握する作業が「キャパオーバー」になっている。
本を読むことに慣れていないために、言葉のつながりがうまくつかめず、それを処理するのに悲鳴を上げているようなイメージ。
こういう子は音読が苦手で、ひどくひっかかります。抑揚も付けられない。読み上げるのに必死で、読み終わった段階で理解できていない。── そんな状態になりがちです。
- 文章を雑に読んでしまっていて、細かいことに注意が向いていない。
本を読んでいるんだけど、さらっと感覚的に(気楽に)楽しめる本しか読んでいない子によくあるパターンです。
読みやすい本を楽に読み飛ばすことに慣れると、言葉を分析的に、緻密に意識を入れながら読む作業をしなくなるんですよ。
学生時代に本を読んで来ず、大人になって自己啓発書にはまる人も同じ傾向があります。ちょっと難しい説明やレトリックと出会うと軽やかにスルーするか、颯爽と誤読してしまいがちです。
当たり前ですが、前者と後者で対処法は当然まったく違います。
前者の場合、読みやすい本から徐々に読書経験を積ませていくしかありません。「楽に読める」という状態にならない限り、分析的に読むことはできませんから。
後者であれば、表現が微細で丁寧にイメージを紡いでいかなければならないような本とか、説明文を丁寧に読むしかない本とか、そういった言葉の密度が高めの本を丁寧に読む習慣を付けさせたいところです。
ことのば・子ども速読講座では、どちらの場合でも、まず読書体験を向上させるべく3ヶ月、半年以上のスパンをかけながら本のレベルを上げていきます。
そして、それと並行して「言葉を分析的にとらえる」練習として、半年がかりで次のような言語トレーニング(分けて・つなぐトレーニング)をおこないます。
このトレーニングは一応の成果が上がっておりまして、半年分の教材を終える頃には(ページ数でいうと24ページ分)、子ども達は主語・述語はもちろん、修飾・被修飾等の係と受けの関係、重文、複文もスムーズに分析・読解できるようになっています。
このミクロレベルの読解力と、読書の経験値アップによる言語センスのレベルアップが相まって「国語力」につながっていくものと考えています。
特徴2:文章を読むのを面倒くさがる(拒否する)
国語の問題の設問や算数の文章問題を、そもそもちゃんと読もうとしない(放棄している)という、ある種、拒否反応にも似た思考停止状態になる子がいます。
「計算は得意!」という子、例えば公文式やそろばんで鍛えているような子でも、意外と文章問題でフリーズするんです。
そういう子は、手軽にこなせて「できた!」という快感が大きいことばかりをやる癖が付いて、めんどくさい文章題を忌避しているように見えます。
そういう場合の対策はとてもシンプルです。
- 取り組むプロセス、努力を評価する。
- じっくり頭を使って考えることに慣れさせる。
実際、「文章問題が苦手」と言っていた子(小学生)が、「とにかく時間をかけていいから、じっくり取り組んでごらん」と指導したら、あっという間に得意になってしまったということがありました。
あとは読書経験値との相談になってきますが、まずは丁寧に文章を読み解くことに慣れさせる必要があるということですね。
特徴3:文の要素の関係を上手に整理できていない
これは特徴1の延長というか発展編のような状態です。
ちゃんと読んでいるし「分かったつもり」ではいるのですが、詰めが甘い。
大人でも「分かったつもり」でいても、いざ他の人に分かるように説明しようとすると混乱する ── そんなことはよくあること。
足りないのは、事実関係を整理しながら出力する作業です。
実際、このパターンの子は要約を書いたり、あらすじを書いたりすることが苦手です。登場人物の関係を整理して図に表すのも同じく。
ですから対策もそれに応じて「出力体験を通じて入力の質を上げる」ことが重要になります。
ことのばでは、次のような作業を定期的にさせています。
あらすじを書かせる。
場面の展開を流れ図にする。
短い文章(算数の文章問題)を図やイラストで表現する。(↓図)
これも一朝一夕に成果が上がるものでもありませんし、あくまで「読書の積み上げ」などと複合的に効果を上げるものだと考えています。
ということで、算数の文章問題や国語の読解の力といった「どうしたら成績上がるの?」的なものを、読書トレーニングを通じてどう攻略するか書いてみました。
参考にしていただければ幸いです。
ここまで紹介したトレーニングについてご紹介しています♪
読書習慣をどう作り、読書の経験値をどう「力」に変えていくか、実際のワークをたっぷり交えて語っています。
よろしければお試しください。(^^*♪