読解力が問われる場面で、実は問われている3つの力

昨日、私立中学2年生の子の三者面談をしておりました。
メインテーマは、

国語の記述解答の読解問題に、どう対策するか。

という話。
その時に・・・

寺田

この手の読解問題ってね、実は3つの力が問われてるんだよ。
だから、その3つをそれぞれにケアできるような勉強をしないとダメなんだ。

そんな話をいたしました。

しかし、考えてみたら、これは学生さん固有の問題ってことではなく、社会人も似たようなもんだよねーなんて思ったわけでして。

ですので、中学生の読解指導をご紹介しつつ、社会人のあなたには、これを「わがこと」として読み替えつつ、もし自分の読解力や発信力を鍛え直さなければならないと思うなら、どこをどう読み替えて、どういうトレーニングをしたらよさそうかって考えてみてくださいませ。(^^)

記述式読解問題に求められる3つの力とは?

今、2020年の高大接続改革に向けて、高校入試も、中学校の定期テストも「資料を読んで、文章で解答する」タイプの問題が非常に増えてきています。
増えてないのは高校の現場くらい。(苦笑)

その指導をどうするかってことで、先生方も頭を抱えていらっしゃるようで…。

ただ、「どうするか」という場合の考え方はいたってシンプル。
なんだかつかみ所のなさそうな対象があったら、それをいくつかのパーツに分解して考えるってのは問題解決の大原則です。

では「記述式読解問題」を分解するとどうなるかといいますと…

  • 【1】文章を読む力
  • 【2】問われていることを的確につかむ力
  • 【3】的確に文章として出力する力

という3つ(3ステップ)に分解できるんです。
(もちろん、それをさらに分解して指導していくのですが。)

【1】文章を読む力

当たり前といえば当たり前ですが、ここが第一段階です。
中学生だと、こんな感じでワークをさせます。

  • 使うのは市販の読解力をテーマとした問題集。
    ちなみに、現在、指導に使っている問題集はこちら。
    『中学国語 読解トレーニング 基礎編』
  • 課題文をまず2回、音読する。
  • 3回目には指示語を○で囲み、接続詞には傍線を引く。
  • さらに2回、音読する。当然、書き込みをした言葉は意識に残りやすいため、文章のつながりを意識しながら音読することになる。
  • 5回終えたところで初めて設問に取り組む。

ここで何がポイントかといいますと、とにかく丁寧に、言葉のつながり、文章の流れを意識して読むこと。
これが読解力アップの第一段階です。

【2】問われていることを的確につかむ力

次に設問の問題文を的確に読む作業。
これが第二段階です。

「何が問われているのか」を雑に流してしまうと、当たり前ですが、第一段階がどれだけ的確であっても正解が出せません。

中学生だとこんな感じ。

  • 使うのは市販の読解力をテーマとした問題集。ただし記述解答のもの。
    『中学国語 読解トレーニング 発展編』
  • 課題文を一読する。
  • 問い(設問)で、何について(該当箇所)、何を問われているのか(問の意図)、設問に傍線を引いたり、○で囲んだりしながら丁寧に読む。
  • 課題文の該当箇所を、前後含めて丁寧に読み返しながら、問われていることに対する答えは何かを考える。
  • 解答する。

最後の「解答する」の部分は、【3】にも絡みますが、ここでのポイントは、とことん丁寧に設問を読み、問われていること、趣旨を的確につかむ、これに尽きます。

大人でも、ここを桁違いの破壊力で踏み外す人いますが、まずは何度も設問を読んで、

何を問われているか? どう答えるべきか? を徹底的に確認するクセをつけたいものです。

【3】的確に文章として出力する力

記述式読解問題の本丸というべきところです。
通常「読解問題の対策」というと、ここだけを見て、「書き方の練習」とかやってしまいそうです。

でも、【1】【2】があってこその【3】って話です。
そして、その大前提として、問われていることが的確につかめるだけの思考力とか、抽象的思考回路とか必要ですし。

中学生レベルであれば、たいていの場合、本文中に書かれている言葉を抜き出して来れば事足ります。

これが大学受験だったり、社会人の仕事上の作業だったりすれば、当然のことですが、答えは書かれているとは限らず、どこから情報を引っ張り出すか、それをどうアレンジするか、そんなことも考えなければなりません。

とりあえず中学生であれば、読解力が身についているという前提は必要ですが、【1】【2】が終わったら、記述メインの読解問題集をひたすら解かせて、「答え部分の見つけ方、書き出し方」をトレーニングするのがお勧めです。

ここでのポイントは以下のとおり。

とにかく書き出してみた上で、問いと照合しながら正しく答えられているかをチェックすること。
そして、間違えたとしたら、答え合わせの段階で、何を、どうとらえなければならなかったのか、自分はなぜ、間違えたのかを分析すること。

(ポイントが長くなった!)

でも結局は読書体験こそ!

まぁ、こういうふうに分解することで、取り組みやすくなることは確かなのですが、結局の所、文章を読む力、抽象的な思考力、意図を見抜く力といったものが育っていないと、あまり効果的な学習にはなりません。

強いていえば【1】の段階が、その作業とも言えるのですが。

そこが充実するまでは、いたずらに「記述する」の部分に時間と労力を割かず、あくまで「練習試合」的な気楽さで、出力体験をしていくことをお勧めします。

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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