これまでの「単純解答」型の勉強の先にどんな学習があるのか?

2020年の入試改革(高大接続改革)に向けて、今、中学入試、高校入試が変わってきています。
 
それに対応して、首都圏を中心とした中学入試対応学習塾は、指導内容を変えていっています。
福岡の中学校の先生方も、私立・公立を問わず、テストを「記述式問題」に変え、少しずつ指導にも工夫をしていっているようです。
 
ただ、子ども達の話を聞くと、「定期考査は変わったけど、指導が変わったとは思わない」という実態もあるようです。
 
私が指導した某私立中学校の国語の記述問題は、そもそも出題のセンスがない上に、配られた模範解答が(先生ご自身が作っているにも関わらず)明らかにおかしな(間違った)内容になっていました。
 
結局、この教育内容のシフトで一番戸惑っているのは、現場の先生なのかも知れません。(^_^;
だって、先生達はそんな新しい教育を受けていないわけですし、通り一遍の研修を受けただけで、指導が出来る訳でもありませんから。
 
とはいえ、「仕方ないよね」で済ませるわけにも行きませんし、先生達を責めても何も変わりません。
私たちのような私塾の指導者が、率先して変えていかなければならないよね、なんて思っているところです。

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単純解答型テストを越えた形とは?

第一段階:精緻な理解と記憶

これまでのテストは、用語や解き方を憶えて、1つの正解を答えるというパターンが中心でした。
 
このテストと、そのための勉強の最大の問題は、「緻密に憶えていなくても、深く理解していなくても、それなりに解答できてしまう」ということ。
子ども達も、それに応じた勉強をしてしまっていました。
 
ヒトコトで言えば、雑で表面的な勉強です。
 
塾の勉強に慣れてしまっている子だと、塾で配られた試験対策プリントを丸覚えして、マシーンのように反射と反応だけでテストに解答するようになってしまいます。
 
最悪の勉強ですね。
これで生まれるのは、「何も考えず、言われたことだけこなす人間」です。
 
しかも、どこかで成績も頭打ちになります。
そこを完成度の高い状態にするためには2つの要素が、必ず必要になります。

  • 1.何度も繰り返しテキスト(文章の説明)を読み、精緻な理解を手に入れること。
  • 2.情報の全体像を、自分なりに分析して、図式化(チャートやマトリクスなど)すること。

ここまで徹底しておこなうと、短答式のテストの完成度が上がるだけでなく、さらに「当てはまるものを、すべて答えなさい」という記憶の精緻さが求められるテストや、さらに「並べ替えなさい」「組み合わせの正しいものをすべて選びなさい」といった全体像・要素関係の理解が求められるテストにも対応できるようになります。

第二段階:ロジックとストーリーの理解・展開

最近の試験は「○○について、40文字以内で説明しなさい」というものが増えていますが、これは、これまでの試験の「ちょっとだけ応用」に過ぎません。
 
というのは、教科書レベルの解説を丁寧に読み、理解しておけば、それなりにできてしまうからです。つまり、まだこれも単純理解で対応できるレベルというわけです。
実際、中学校の定期テストや、高校入試レベルであれば、これで対応可能です。
 
難関私立高校や2020年以降の大学入試レベルを目指すなら、複数のカテゴリを横断して対比・対照したり、因果関係を追ったりしながら、筋道だった論理的な解答を出力できなければなりません。
 
中学、高校の現場の先生が、ここまで指導してくれるようになると本当に素晴らしいと思うのですが、そもそも論理的な文章の書き方というものが中学・高校(多分、大学でも)の教育でほとんど行われていない現実を考えると、結局、「できる生徒はできる」という残念な状態になってしまうかも知れません。

第三段階:発展思考・創造思考

関東圏のハイレベルな私立中学の入試は、すでにこのレベルでしょうか。
そして、今の社会で求められる力はこの領域ですし、国が必死で進めている高大接続改革、大社接続改革は、ここがターゲットです。
 
学んだこと(知識・理解)を十分に踏まえた上で、アナロジー的に発展的な発想を求めたり、他の類似の事象と比較しつつ弁証法的な統合を求めたり…そんな感じでしょうか。

結論的な話

面倒くさかったので、実際の入試問題を引っ張ってきたりはしていませんが、最近の私立中学の入試問題や、これまでの私立大学の入試問題には、ここで述べたような問題がたくさんありますので、興味がある方は過去問を漁ってみてくださいませ。
 
そういうわけで、今回の話はちょいと抽象論になってしまいましたが、結論としては「勉強法を変えないとダメだよ!」というお話。
 
ただし、今までの勉強から、いきなり「考えよう!」にスタイルを変えるってことではありません。
少なくとも、「第一段階」「第二段階」のレベルであれば、従来のテキストの扱い方を変えるだけでいいわけです。
 
もらったプリントを機械的にこなすだけというような、アホな勉強を卒業して、精緻な理解・記憶と、それをロジカルに出力するトレーニングをしっかりさせること。
その前提として、書かれていることを十分に理解し、イメージに落とし込み、自分なりに情報を整理するだけのスキルを身に付けさせること、ですね。
 
大事なコトは、指導する側が、どのような学力を身に付けさせるために、どのような取り組みをさせるのかという戦略を持っておくこと。
 
と言いながら、実際、ことのばでも、第三段階までは到達できていません…
基礎の基礎を丁寧におこなっている状態です。
 
いつか、第三段階まで指導できるような教室にしたいものです。(^^)

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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