GIGAZINE「宿題は悪影響しかない」記事をちょっと冷静に考えてみる

定期的にウォッチしているGIGAZINEに、ちょっと興味をそそられる記事が掲載されました。
 
それは記事のタイトル通りのもの。

いわく

学校学習は子どもにとって重要ですが、「良い睡眠」「家族との時間」「遊ぶ時間」もまた子どもにとって重要な要素であり、宿題でこれらの時間を削っても良い影響は得られない

というわけです。
 
ちなみに、大本の論文はこちら。

Twitterの反応を見ても、概ね同意する言葉が並んでいます。
 
GIGAZINEの記事にような、自分がなんとなく思っていたことを明確に語ってくれるような主張と出会うと、ついつい賛同の意を表したくなります。
 
ま、普通のことなんですけどね。(^^;
 
ただ、ロジカルな思考を鍛えたいとか、安直で薄っぺらな思考を脱却したいと考えているなら「ちょっと問い直してみる」という姿勢を持ちたいものです。
 
これは子どもとの会話でもね。
 
 
まず、そもそも読書を通じて、様々な意見を比較・分析する習慣を持っていれば、こういう極端な主張に対して「保留」の判断ができるはずです。
 
また、多読を通じて様々な社会的事象に関する情報を持っていれば、反対意見を持ち出すことも可能ですね。
 
例えば、ちょいと前に紹介した平成25年度「学力調査を活用した専門的な課題分析に関する調査研究」には、次のように宿題を肯定する主張が示されています。

「自分で計画を立てて勉強をしている」、「学校の宿題をしている」、「学校の授業の 予習をしている」、「学校の授業の復習をしている」、「苦手な教科の勉強をしている」、「テストで間違えた問題について勉強している」の 6 つの変数のうち(中略)最も普遍的に学力に対してポジティブな効果のある学習方法は、「学校の宿題」であった。

この内容はこちらに整理していますので、興味がある方はご一読ください。

冷静は判断をするというのは、こういう様々な意見を頭の中で戦わせる複眼的な思考を持つということなんですね。
 
私たちはよく検証することもなく、自分が納得いく方に肩入れしてしまいがちですから!

 
では、こういう相反する主張と出会ったとき、どう検証したらいいのか?
 
通常は

  • A.主張の前提となる言葉・概念の定義はどうか?
  • B.主張の根拠となる事実は信頼に値するか?

という2段階で検証します。
 
今回の場合、Bの事実という部分ではどちらも学術的な調査を踏まえており、ひとまずよしとできそうです。
 
ですので今回の場合、Aの方をリアルにイメージしてみなければなりません。
例えば・・・

  • 2つのレポートで語られる「宿題」は同じもの(質・量)だろうか?
  • 日米の小学校における宿題事情には何か違いがないだろうか?
  • 日米の小学生に求められる学力や学習習慣には何か違いがないだろうか?
  • 日米の小学生が過ごす放課後のスタイル、家庭生活・環境には何か違いがないだろうか?

こんな、言葉の定義的なものや、言葉の奥にある文化的背景に、ちょっと立ち止まって思考を巡らせる作業です。
 
どんな問題であっても、脊髄で反射せず、3秒ためて自分の思考をくぐらせて判断するという癖を持ちたいものです。
 
それに、ちょっと検索すれば、こんな記事がいくらでも見つかりますし。本を読むのが大変なら、ちょっと反論を検索…を習慣にしてもいいかも。

 
 
こういう問題を見るにつけ、23年前、予備校で小論文指導をしていた時に、数学の先生がおっしゃっていた言葉を思い起こします。

寺田君、学生達はね、例えば数学で「ab=0」って書かれていたら、何も考えずに「a=0またはb=0」って答えてしまうわけ。
そもそもa,bは何なのかっていう問いかけをしないわけ。aかbが0って言えるのは、前提として「実数に関する問題である」という条件があるわけだよ。
小論文の指導でも、こういう根本的な前提を問うような思考回路を育んで欲しいね。

これは、小論文授業で「国民の福祉」を題材にして、言葉の定義の確認、具体的思考の展開についての演習をさせた時に交わした会話。
 
私たちは、ついつい言葉を抽象的にとらえてしまったり、自分の持っている狭い体験からのイメージにしばられたりしがち。
 
そこを乗り越えたところにロジカルな思考があるよね、と。
 
自分自身もそうですが、子どもが情報社会で煽られ、食い物にされる立場に落ちないように、こういうロジカルな検証作業を習慣にしてはいかがでしょう?
 
 
蛇足ですが、最近話題の「水素水」に関しても、これくらいの姿勢が必要ですね。
少なくとも「発信する」のであれば!

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