試験勉強で、問題を「じっくり考え込む」ことがダメなワケ

テスト勉強をしていて、「あー、なんだっけー、あとちょっとで出てきそうなのにー」とばかりに、しばらく考え込んでしまって時間を浪費してしまった…という経験はありませんか?
 
体験的には「がんばって脳を使った分、体験として正解をしっかり吸収できそう!」とか思ってしまいそうです。
 
が、実はこの「あー、えーっと何だっけー」にこそ、あなたの学習が一向に改善しない秘密が隠されていたのです!
 
私が主催する高速学習講座では「問題文を読んで、すぐに答えがひらめかない場合は、そのまま正解を確認する」ように指導しています。
 
これは、単純に「考える時間がもったいない」ことと、「記憶は思い出した回数に比例して強くなる」という記憶の大原則から導き出した方法です。
思い出した回数が重要であって、「かけた負荷の大きさ」は自己満足以上の効果がないということが、教師時代からの経験で分かっていたからです。
 
しかし、実は「あー、えーっと何だっけー」という状態は、「効果がない」という話ではなく「マイナス効果を生んでしまう」というのです。
 
以下、McMaster Universityのハンフリース教授のレポート(April,2008)を紹介します。

ちなみに、この「あー、えーっと何だっけー」の状態を「tip-of-the-tongue (or TOT) state」と呼ぶんだそうですよ。名前があるんですね!(笑)
教授も、実は自分のTOT体験から、この研究を思いついたんだそうです!

Why we don’t always learn from our mistakes

Karin Humphreys suggest that most errors are repeated because the very act of making a mistake, despite receiving correction, constitutes the learning of that mistake.
■寺田のテキトー訳
ハンフリース(准教授ら)によれば、多くの失敗は、ちゃんと正解を確認していたとしても、まさにその失敗した行動が、その失敗自体を学習させてしまうが故に繰り返されてしまうというのです。

テストはこんな風に行われたのだそうです。

Humphreys and Warriner tested 30 students to see if their subjects could retrieve words after being given a definition. e.g. “What do you call an instrument for performing calculations by sliding beads along rods or grooves” (Answer: abacus). They then had to say whether they knew the answer, didn’t know it, or were in a TOT.

■寺田のテキトー訳
ハンフリースとワリナーは30人の学生をテストし、被験者らが言葉の定義を与えられた後で、その用語を応えられるかを見ました。例えば「玉を棒や溝に沿って動かすことで計算する道具は何?」(答え:そろばん)という具合です。そして、その後で「答えを知っていた」「知らなかった」「TOT状態だった」のいずれかを回答します。

If they were in a TOT, they were randomly assigned to spend either 10 or 30 seconds trying to retrieve the answer before finally being shown it. Two days later, subjects were tested on those same words again. One would assume that having been shown the correct word on Day 1 the subject would still remember it on Day 2. Not so.
■寺田のテキトー訳
もしTOT状態なら、被験者に対してランダムに10秒もしくは30秒使って答えを思い出すように指示し、その後に答えを見せるようにします。2日後、被験者は同じ言葉で同じテストを受けるのです。初日に答えを見ているんだから、ちゃんと憶えてるでしょ!と思うかも知れません。でも、そうでもないんですよ。

では、どうだったかというと・・・

The subjects tended to TOT on the same words as before, and were especially more likely to do so if they had spent a longer time trying to retrieve them. The longer time in the error state appears to reinforce that incorrect pattern of brain activation that caused the error.
■寺田のテキトー訳
被験者は、前と同じように、同じ言葉でTOT状態になる傾向があったのです。特に長い時間かけて思い出そうとした被験者ほど。長い時間、分からない状態に長く置かれることが、失敗の原因となった間違ったパターンの脳の活性化を強化してしまうようなのです。

そういうわけで「あー、なんだっけー」問題について、ハンフリース教授は次のようにアドバイスしています。

If you can find out what the word is as soon as possible–by looking it up, or asking someone–you should actually say it to yourself. It doesn’t need to be out loud, but you should at least say it to yourself. By laying down another procedural memory you can help ameliorate the effects of the error. However, what the research shows is that if you just can’t figure it out, stop trying: you’re just digging yourself in deeper.
■寺田のテキトー訳
ある言葉を、正解を見るとか、誰かに聞くなどして知ることができたら、少しでも早くその言葉を実際につぶやきましょう。別に大声を出す必要はありませんが、少なくとも声に出して。手続き記憶を保持することによって、失敗の効果を改善することができます。しかし、この研究から、もしそれが解決できなければ、思い出す作業を止めるべきということも分かります。ただ深みにはまるだけだからです。

模範解答を確認できるテスト勉強であれば、問題を読み、瞬間的に答えがひらめかなければ、すぐに答えを見るというのが正しい学習法です。
 
そして、それが模範解答のない、アイディアをひねりだすようなものであれば、それについて悩み、時間を浪費するよりも、いったん忘れて気分転換をした方が得策ということですね。
 
これについては、外山滋比古氏による『思考の整理学』に詳しく語られています。興味がある方はどうぞ!
 
『思考の整理学』
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