速耳音声教材で聞き取り&メモのトレーニング

書籍『子どもの速読トレーニング』の中に「聞き取りメモ」のトレーニングが収められています。
子どもの速読トレーニング
 
速読とは直接関係ないのですが、学力ということを考えると、授業を聞く力、聞いたことをメモする力はとても重要だと考えています。
 
そのメニューは次の2つ。

  • 1.お料理レシピを聞いてメモする。
  • 2.物語の朗読を聞いてメモする。

詳しい内容は書籍をお読みいただくことにして、今回は書籍に収められていない「速耳トレーニング」をご紹介します。
収録しなかったのは、説明だけ載せても高速に加工された音声教材がないと実行しようがないためです。
 
では、どうぞ。

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1.速耳トレーニングとは?

速耳トレーニングとは高速に加工された音声教材を聞き取るトレーニングです。

これは芥川龍之介作『河童』の冒頭部分を1.7倍速に加工したものです。

1-1.その効果

再生スピードを加速した音声を聴くことにより、知性の司令塔である前頭前野を活性化することができます。このことは、東北大学川島隆太教授らの研究によっても明らかになっています。
 
前頭前野が活性化するとどういうメリットがあるかというと…

  • A.集中力がアップする。
  • B.学習能力がアップする。

どちらも学習の準備体操的な役割ですね。

1-2.どれくらいのスピードで聞くべきか?

速ければ速いほどいいのではなく、あくまで言葉として聞き取れるスピードである必要があります。
私たちの脳は、人の話を聞くとき、主語・述語などの関係を処理するために非常に活性化します。そのスピードが上がると、当然さらにフル回転し始めるわけです。
 
聞き取れないレベルのスピードだと、単なるノイズとして扱われ、逆に処理されなくなってしまいます。

2.具体的な取り組み方

速耳トレをおこなう場合、しっかりと「どんな効果をねらって取り組むのか」という目的意識を持っておく必要があります。ただやみくもに、速い音声を聴かせればいいというものではありません。

2-1.耳を慣れさせるためのトレーニング

前頭前野を活性化させるためには、「しっかりと聞き取れるスピードで聞く」ことが重要なのですが、ずーっとそのスピードで聞いていても、慣れるに従って負荷が下がることになります。
ですから、徐々にスピードを上げて行き、速さに慣れるようにします。
 
この場合、余裕を持って聞き取れるスピードからスタートして徐々にスピードを上げます。
同じ音声を1回再生する毎にスピードアップしてもいいでしょうし、長い音声を再生しながら、時間が経つ毎にスピードを上げ下げしてもいいでしょう。
 
こちらは後者のサンプル音声です。

聞き取る余裕があるときは、もちろん内容を理解しようと努力させますが、ちょっと無理があるな~という時は、気楽に聞き流すつもりで軽く意識を傾けさせます。加工された音に慣れることが重要ですから、ストレスをかけてがんばってしまうと、逆に音を受け止められなくなります。
 
面白いことに、続けていくうちに「絶対無理!」と思っていたスピードも聞き取れるようになっていくものなんです。

2-2.メモの練習としての速耳トレーニング

通常の朗読でのメモも大変なんですが、敢えて1.7倍速の音声を聴きながら、その内容をメモする練習も「刺激」としておこなっています。
 
ただし、これはそもそも聞き取る練習が十分に出来ていること、素早くメモを取る力が付いていることが前提ですので、無理は禁物ですね。
 
通常のメモと何が違うかというと、場面の転換などキーとなる言葉だけをメモしていき、そのメモをトリガー(記憶を呼び覚ます引き金)にして内容を想起させることに使うということ。
 
通常のメモは、自分が大切と思ったことを(基本的に)どんどんメモさせますからね。

2-3.速い音声で何度も聴く、繰り返し学習としての活用

2-1では「慣れさせる」ことが目的だとしました。
では、速い音声に慣れると何かいいことがあるのかというと、それは通常の朗読や先生の話を聞くときに余裕が生まれるということなんですね。
 
集中力も上がり、学習力(吸収力)も上がり、そして聴く余裕も生まれるわけです。
 
さらに、例えば国語や社会科の教材を高速に何度も聴いて学習させることも可能です。これなら、日常のちょっとした時間(歯磨きの時間など)を濃密な学習時間に変えられます!
 
つまり、速耳トレーニングは「脳を活性化させて、学習のベースを上げる」ことと同時に「音声教材を繰り返すペースを上げる」ことが実現できるわけです。

3.朗読のテキストは読ませるべきか?

最初の段階では「音」と「内容(言葉)」が一致するようテキストを読みながら聞かせても問題ありません。
 
慣れてきたら、目を閉じて聴くようにします。これは聞くことに集中するためです。目を開けている状態と閉じている状態で、どちらが活性化するのかということは実験データがありませんので分かりませんが、「目を開けていると気が散る」という経験的な事実に基づいて「目は閉じておこなう方がベター」と判断しています。

4.朗読コンテンツは同じものを繰り返すべき?

聞くコンテンツは頻繁に変えていくのがいいでしょう。
 
というのは、脳はかなり飽きっぽいからです。飽きてしまって「あ、これは聞いたことがある」と思うと、脳が聞かなくなってしまう可能性があります。ですから、3倍程度まで聞き取れるようになったらコンテンツを交換するという方法をお薦めします。そのためにも豊富なコンテンツをそろえておくといいですね。
 
といっても、子どもの場合、3倍速に慣れるのは相当時間がかかります。
ですので、基本的に3倍速聞けなくても「飽きてそうだったらチェンジ」でいいでしょうね。

5.まとめ

教材を準備するのが面倒ですが、朗読コンテンツさえ用意できれば、高速再生ができるアプリなどもフリーで出ていますので、それらを活用してもいいですね。
コンテンツは自分で録音してもいいわけですし!
 
中高生であれば、SONYのウォークマンを購入させて、英語・社会・理科などのテキストを自分で朗読させ、それを何度も聴かせるようにしてもいいですよ。(^^*
 
SONY WALKMAN(高速再生機能付き)

 
こちらにもその方法を書いていますので参考にしてください。

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フォーカス・リーディング主宰者

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