速読は有効?⇒小学校時代に読んで欲しい「本の冊数」

先日、あるお母さんにこんな質問をされました。

小学校時代にどのくらいの本を読めたらいいのかしら。
たくさん読んでいる子って、どのくらい読むものなの?
うちの子、全然本を読もうとしないんだけど、
やっぱり速読を身につけさせた方がいいかしら?

話はあちこちに飛んだのですが、ざっくり整理するとこんな感じ。
 
何でもない、ある意味で素直(素朴?)な質問なのですが、速読講座を主催している身としては、いくつかの考えていただきたいポイントが含まれています。

ポイント1:どのくらい読めばいい?という「数」の問題

大人でも子どもでもそうですが、一つの達成目標として「読んだ冊数」は分かりやすい指標になります。
読書力の定義について書いた記事でも紹介したとおり、明治大学教授、齋藤孝先生は「文庫百冊・新書五十冊」という基準を設定していらっしゃいます。
 
しかし、文庫・新書といっても内容は様々。カテゴリもテーマも難易度も様々。
 
数だけを積み上げても、それほど価値があるとは思えません。

別に尊敬する齋藤孝先生にケンカを売ろうという気はさらさらありません。
限られた字数、あの本の文脈での1つの表現であることは十分に承知しています。その上で「数にこだわること」の例として出しているに過ぎません。

そもそも「本を読んで、何を手に入れたいのか?」という目的が明確でなければ、「何を」も「何冊」も「どう」も定まりません。

ことのばの冊数目標

ことのばでは、「小学校4-6年生の3年間で300冊の本を読もう」と、冊数の目標を立てています。
 
読む本は、「最初の30冊は読みやすい本中心」です。
 
本に慣れてくるに従って、文字が詰まった本(文字が多い本)、内容が濃い本にレベルアップしていきます。
 
また、本のカテゴリも少しずつ変えていくようにしています。ただし無理はしません。「少しずつ違うタイプの本も読んでいこう」という程度。
そして、それが一目瞭然になるように、このようなシールを貼らせています。

 
ちなみに、読書ポイントカードを用意し、1冊につき1枚のシールを貼らせます。カードが満タン(シール15枚)になったら500円の図書券と交換しています。
BookPointCard-2 のコピー BookPointCard-2 のコピー
15枚すべてが同じシールだと無効。必ず2種類以上のシールが混ざるように仕組みも作っています。

300冊を読む目的

ことのばで「冊数」を目標にしているのには2つの目的(理由)があります。

目的1:「読書そのもの」に慣れさせ読書体質を目指す

最終的には読解力やイメージ力、あるいは作文力につながるような「国語の基礎力」を手に入れさせたいと思っています。
その第一歩は、とにかく「言葉(読書)に慣れる」ことであり、「読書が生活の中に自然とある」ことだと考えているのです。
 
明確な出力として成果が見えてこなくてもいいから、とにかく経験値を上げていくことは、どのような力・スキルを手に入れる上でも重要なことですから。

目的2:「読書って楽しい!」という体験から興味を広げさせる

最初はめんどくさいと思っていた読書が「楽しい!」に変われば、そこから徐々に「自分の知らない世界」への興味は自然と広がっていくだろうと考えています。
 
いや、自然と広がらなかったとしても、親が戦略的に本を与えることで「未知の世界に踏み込む喜び」は体験として手に入ります。

うちの小4の息子も「怪傑ゾロリ」から「ずっこけ3人組」、「空想科学読本」、宗田理氏の「ぼくらシリーズ」に進み、その後、いわゆる名作なども抵抗なく読むようになっています。
最近では「ニルスのふしぎな旅」「モモ」「24の瞳」「誰も知らない小さな国」「海底2万マイル」「シャーロック・ホームズ」なども楽しんでいます。

ちなみに「たくさん読む子」の話でいいますと、本当に本が大好きな子は通常の平日に毎日1-3冊、土日に3冊以上、夏休みなら毎日10冊という具合です。
 
これまでの社会人向けビジネス速読術講座のアンケートから見ると、週2冊、年間100冊を読んだという方は「かなり多い」方です。
そして、そういう方は間違いなく中学以降も、自然に本を読み、興味と成長に応じて本のレベルを上げていらっしゃって、速読講座で手に入る速読技術のレベルも非常に高くなるものです。

きわめて特殊な例ですが、ビジネス速読術講座を受講した社会人の方で「小学校時代に、小学校の図書館の本をすべて読み尽くして、学校に読む本がなくなった」という方が2名いらっしゃいました!

ポイント2:「全然読まないんだけど」問題

子どもがまったく本を読まない原因はたいてい親にあります。
親御さんがそもそも本を読まない、将来の夢や希望などについてポジティブな話をしない、とか。
 
親子で本を輪読したり、「うちどく(家読)」タイムを作ったりという工夫が必要かも知れませんね。
 
あるいはゲームやスポーツなど、違うところに時間をかけているということもあるかも知れません。
この場合、「その上に読書を」となると無理が生じます。
 
ゲームの時間が多すぎるのであれば、それは削った方がいいでしょう。
それがスポーツやお勉強なら…何か生活全体を見直しつつ、「なぜ本を読んで欲しいか」を語った上で、親子で時間の再配分プランに取り組みましょう。

ポイント3:速読をマスターしたら読書家になるのか?問題

大人であれば、フォーカス・リーディングをマスターすることで、読書が苦手な人でも「ストレスを取り除いて1冊40分」くらいであれば読めるようになります。
ただし、読みやすい本限定です。大切なことは、それをきっかけに読書習慣を手に入れて、徐々に読書体質を目指すこと。
 
これは「大人は、少なくとも読書の基本ができている」という前提条件が会ってこその話なのです。
 
子どもの場合は、読書の基本を作るために本を読むわけですので、この前提が成立しません。

ということは、大人であっても、まったく本を読んだことがない、一冊の本を読み通した経験がほとんどないという場合、速読の習得は難しいということです。
過去に受講した20代の青年は「これまで読んだのは、せいぜい年2-3冊」という状態でした。
やはりというべきか「ざっと読んで1冊30分、丁寧に読んだら90分」という結果でした。しかし、その方は「読書のストレスが取れた!」と、その結果を喜び、それから月に2-4冊ペースで読書を楽しんでいらっしゃって、「社会人になってからの勉強が楽しくなりました」とおっしゃっています。

子どものうちに「速読をマスターしたら読書家になる」というのは、とんだ幻想です。
「読書家になったら速読がマスターできる」のです。
 
えっ? 速読教室の自己否定?
 
いえいえ、そんなことはありません。
 
ことのばでも「あらすじ、ストーリーの展開」にフォーカスし、読み方を変える技術として速読を学ばせます。
ただ、それは「読書技術の1つ」に過ぎません。
何より重視しているのは「読書力そのものの向上」です。そこには速読はあまり有効じゃないよね、というお話です。
 
また、読書のストレスがとれ、スムーズに読み進められるようになります。これは「本が嫌いだった子どもが本を読めるようになる」という部分では重要だと考えています。
 
ともかくとして、日常の読書はあくまで「楽しんで読めるペース」を大事にさせています。
 
数をこなすためだけに速読を使っても意味がありませんからね。
 
ちなみに、ことのばに通う子ども達が「確実に週1以上のペースで読む」ようになるのは、次の3つの要素の複合的な成果です。

  • 「応援日記」で時間のマネジメント、読書のマネジメントをさせているから。
  • 親が「せっかく速読教室に通っているんだから読みなさい」と指導しているから。
  • りきみのない集中力を鍛え、30分程度は心静かに集中して読む力が付いているから。

つまり、読書のきっかけを与え、読書の背中を押すための速読教室なんですね。
 
そして、そこで手に入れた種が、徐々に大きく育って、いつか本当に読書家になり、本当の意味で速読を使いこなせるようになるものなのです。(読書量が積み上がってくると、1ページ6-9秒の速読が無理なく可能になっていきます。)

ということで結論!

冊数にこだわることに意味はありませんが、戦略的に冊数を積上げさせることは、学力の基本を作る上で非常に重要です。
 
その1つのきっかけ、あるいは読書指導のナビゲーターとして速読講座を利用してみてはいかがでしょう?

こちらの記事も参考にどうぞ♪


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