AIはなぜ物理の問題を解けないのか?(そして読書のレベルを上げるヒント)

国立情報研究所などが開発を進めている「東ロボくん」が2021年度の東大合格を目指しているというニュースをご覧になった方も多いかと思います。
 
そういえば、最近、チェス、将棋、囲碁などBrain Sportsと呼ばれるジャンルで、次々にプロに勝てるようになっていっていますよね。

囲碁や将棋は打ち手の自由度の高さからコンピューターには難しいと考えられていたわけですが(持ち駒・碁石を自由な場所に置けるなど)、それすらもクリアしてしまったわけです。
 
入試なんか簡単じゃないの?
 
あ、国語は難しいかも…なんて思いますよね。
 
でも、意外や意外。
国語と同じくらい苦戦しているのが物理なのだそうですよ!
 
なぜ物理の問題に苦戦しているのか。
 
それは
 
コンピューターは常識知らずだから!
 
なんだとか。(笑)
 
今日(2016.02.22)の日経新聞の記事から引いてきますと、AIを苦戦させているのはこういう話なんですね…

例えば「時速40キロで走る自動車から後方に投げたボールの運動」について聞かれれば、人間なら誰でも、道を走る自動車の窓から外に向かってボールを投げる光景を思い描くだろう。その背後には、これまでの経験で培ってきた膨大な知識の蓄積がある。「自動車とは人が乗って動くものだ」「ボールは外に向かってなげた」「自動車には重力が働いている」。どれも問題文には書いてないが、当然の前提となっている。

なるほど、ガッテンですね。
 
言葉にわざわざ表現されていない「常識」が、短い問題文を理解するために必要だというわけです。
 
そういえば、大学入試には確率問題で「トランプ」が出されることはありますが、「UNO」が出されることはありません。これも「常識」として通用するものでないと不公平だからという理由です。
 
この話、私たちが子どもの「読書力」とか「学力」、あるいは「生きる力」を考える上でも、とても重要なヒントが詰まっているんです。
 
本を読む力は辞書と本があれば培われるなんてことはないんだ!ってこと。
そして、社会に出てサバイバルする力は、絶対に教室や塾の中では育まれないんだ!ってこと。
 
まぁ、あまり話を大きくしても何ですから、ここでは「読書」に絞った話を…。
 
私たちが本を読む時、よく「行間を読む」と言いますが、そこに「常識」を含めた既有知識スキーマ)があり、書かれている文字情報だけで足りない情報を推論しているのです。
 
心理学的な見地から勉強法について解説している、市川伸一氏による『勉強法が変わる本』によれば、私たちが本を読む際には次の3つを踏まえているといいます。
 
まず、私たちは本を読む時、言語的な知識を活用しています。語彙もそうですし、文法などの文章作法もそうです。
 
その「語彙」というのは辞書的な意味のみならず、自分の体験と結びつく広がりのあるものでなければ、なかなか「腑に落ちる」ところまでいきません。
 
ビジネス書でも、読者のビジネス経験や活躍ステージのレベルが違うと、手に入る情報がまったく変わりますよね。ラブストーリーでもそう。恋愛経験が豊富な人と、2次元世界しか体験したことがない人とでは、さりげない描写、言葉から得られる深みが違います。
 
次に内容に関する知識
これはもろにターゲットとなるジャンルにとどまらず、文化的・社会的背景、科学的・歴史的知識なども必要になるでしょう。「今、ここ」を知るためには、「昔」のこと、「広い世界」のことを知らなければなりません。
 
最後に社会経験的な知識
上記の「体験」につながるものでもありますが、ここでは「人とのつながり」「社会経験」から生まれる感情レベルのものを指しています。
 
 
先の「物理の問題を解けないAI」の話と重ねて考えると、私たちが子どもの読書力を高め、引いては「生きる力」を高めるために何をすべきかは明らかですね。
 
もちろん、様々な本を読むことはとても大切です。
その「様々」というのは、広いジャンルの本を指します。ただ量が多ければいいというわけではありません。
専門領域、ターゲットとは違うところの本をどれだけ読んでいるかで、本から得られる深み、奥行きが変わってくるわけですからね。恋愛小説も、SFも、古典作品も、文学作品も、戯曲も・・・節操なく読ませましょう!
 
そして、社会での体験。
何かを一生懸命にやり遂げた経験、世間でもまれた経験、知らないことに挑戦した経験…こういった経験・体験があって初めて価値のある読書が可能になるわけです。
 
本を読ませることは大切ですが、「よし、今日は本を置いて山に行こう!」そんな経験を子ども達にはさせてやりたいものです。

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