子ども達の学力を奪っているのは、あの灰色の男たちだ!

今、中高生の学力が、ある種の危機に瀕しています。
 
何やら灰色の男たちが、夜昼かまわずやってきて、
彼らが持つ、唯一といっていい学力の源泉
奪っていくのです。
 
いや、その灰色の男たち、
実は大人のところにもやってきています。
 
でも、大人たちは若い頃の蓄えがあるおかげで、
まだ致命的なダメージは受けていないかに見えるんですね。
 
本当のところ、大人もやばい。
 
でも、子ども達はもっともっと深刻にやばい。
 
だって「若い頃の蓄え」をしようとしているのに、
奪いに来るんですもの。
 
 
その、ことの重大さに気がついたのは、
今日も続行中の、フォーカス・リーディング3日間集中講座の最中。
 
この講座の受講者のみなさんは、
先ほど「源泉」と書いた、ある「資源」を
有効活用するために来ていらっしゃいます。
 
私たちが何をするにしても、絶対的に必要とする超貴重な資源。
 
どんな境遇に置かれても、必ず手に入る資源。
 
誰にも平等に分け与えられていて、
なくなったとしても、使い方さえ間違えなければ、
またちゃんと、しかも無限に補充される資源。
 
中高生たちの、その資源を狙って、
灰色の男たちはやってくるのです。
  
 
そう。それは時間
 
 
フォーカス・リーディングという技術は、
究極的には、時間の価値を高める技術。

  • 集中力を高めて、時間の密度を上げる。
  • 情報処理や判断のスピードを上げて、時間あたりの生産性を高める。
  • これまで「使い道のない」と思われていたすき間時間を、充実した読書タイムに変えて、将来への投資に充てる。

参加者のみなさんは、そのために、
大型連休の前半3日間という貴重な時間を投じて
学んでいらっしゃるわけです。
 
 
でも、なんということでしょう!
 
この講座の会場内にも、
やつらは進入し、けなげに時間を守ろう、
大事にしようとする人達から、
容赦なく時間を盗み取っていいるのですよ…。
 
中でも一番食い物にされていたのは、
お父さんと一緒に参加していた高校生。
 
これはやばい。まじでやばい!
  
 
その灰色の男たちのことは、
恐らく、あなたもご存知のことと思います。

「いいですか、フージーさん。あなたははさみと、おしゃべりと、せっけんのあわとに、あなたの人生を浪費しておいでだ。死んでしまえば、まるであなたなんかもともといなかったとでもいうように、みんなにわすれられてしまう。もしもちゃんとしたくらしをする時間のゆとりがあったら、いまとはぜんぜんちがう人間になっていたでしょうにね。ようするにあなたがひつようとしているのは、時間だ。そうでしょう?」

そううそぶいて、人々の時間を盗んでまわった、
あの灰色の男たち。
 
ミヒャエル・エンデの「モモ」に出てきた、
あ・の・お・と・こ・た・ち!
 
 
ただし、現代社会に出没する灰色の男たちは、
物語のようには、決して姿を現しません。
 
ただ、こう、頭の中に直接ささやいてくるのです。
スマホの影から…。
 
「いいですか、テラダさん。
 あなたは会社の行き帰りの道で、
 ただ疲れて、話し相手もなくぼんやりと
 あなたの人生を浪費しておいでだ。
 ようするにあなたが必要としているのは、
 充実した時間だ。そうでしょう?」
 
そして、ワクワクする時間をただでくれると言うのです。
 
「いいですか。お金は一切かかりません。
 ただ、このドラゴンを指で引いて、
 相手めがけて解き放つだけ。
 どう、わくわくするでしょう?」
 
 
確かにゲームなら昔からありました。
 
でも一昔前なら、漫画を読むにせよ、ゲームをするにせよ、
わざわざそれを取り出して用意する必要がありました。
 
大人本人にせよ、子どものことにせよ、
「今、遊んでいる」という明確な認識が生まれます。
 
「時間を守ってゲームをする」という約束もしやすいし、
度を超せば「ゲームを取り上げる」ことも可能です。
 
 
でも今は、さっとポケットからスマホを取り出して、
手軽にゲームに興じることができます。
 
そう。
 
日常の中に、スマホが何食わぬ顔をして、
すっかり溶け込んでいるのです。
 
そして、男たちはさらにささやきます。
 
「LINEの向こう側の友達から、
 いつメッセージが入るか分かりませんよ。
 ちゃんと肌身離さず携帯して
 着信を受け止めましょう!」
 
もう、何をするにも手放せません。
親だって、おいそれと取り上げられないんですから!
 
もはや、子ども達には(いや、大人たちにも)
ぼーっとする時間も、集中する時間も、
家族と他愛のない話をする時間もありません。
 
 
灰色の男たちはこううそぶきます。
 
「もはや、あなたの24時間の中で、
 手持ちぶさたの無駄な時間なんてありませんよ。
 すべてが、どれだけちょっとした細切れ時間でも、
 ワクワクの時間、友達とのコミュニケーションの時間に
 なるのですから!」
 
 
で、奪われた時間はどこにいったの?
 
 
灰色の男たちに無駄な時間を盗まれたモモの登場人物達は、
時間を失っただけで、どこにも貯蓄されておらず、
ただ余裕のない人生を送る羽目になってしまいます。

「倹約した時間は、じっさい、手もとにすこしものこりませんでした。魔法のようにあとかたもなく消えてなくなってしまうのです。フージー氏の一日一日は、はじめはそれとわからないほど、けれどしだいにはっきりと、みじかくなってゆきました。あっというまに一週間たち、ひと月たち、一年たち、また一年、また一年と時がとびさってゆきます。」

スマホに、いや灰色の男たちに
盗み取られた時間は、
ワクワク感、そしてつながっている実感という
バーチャルで空疎な幸福感を与えてはくれますが、
残念ながら、それがその人の人生を
豊かにはしてくることはありません。
 
今の時間を貯蓄したり、投資したりして、
今と未来に豊かさを生み出すというのは、そんなもんじゃないんです!
 
大切な誰かと、顔を合わせ、
肌を触れあわせてコミュニケーションをとることで、
「豊かな人間関係」という結晶として貯蓄するとか。
 
何かを学ぶことで、知識やスキル、知恵といった
無形の財産に変換するとか。
 
そんな営みだけが、今の時間を、
未来の豊かさに変えてくれるのです。
 
子ども達の、その貴重な時間を奪い、
スマホに吸収させ、盗み取ろうとする企みを、
親の力で何とかして阻止せねば!
 

それなのに、大の大人たちが、
しかも速読技術を学んでまでも時間の価値を上げようと
画策する人達でさえ、灰色の男たちの悪巧みに
まんまとはめられてしまいます。
 
そういえば、ローマ時代の哲学者、セネカが記した書
『生の短さについて』に、こんな記述があります。

「どんな人でも自分の地所をとられて黙っている者はいないし、・・・たとえ小さなもめ事が生じても直ちに投石や武器に訴える。
だが、自己の生活のなかに他人が進入することは許している。自分の銭を分けてやりたがる者は見当たらないが、生活となると誰も彼もが、なんと多くの人々に分け与えていることか。
財産を守ることはケチであっても、時間を投げ捨てる段になると、貪欲であることが唯一の美徳である場合なのに、たちまちにして、最大の浪費家と変わる。」

ひょっとすると灰色の男たちは、
もっともらしいセリフで語りかけてくるかも知れません。
 
「部活動のメンバーとの連絡はLINEですよ。
 スルーしたらのけ者扱いになりますよ。」
 
「調べ物はネットでやれば便利ですよ。
 ITネイティブ世代にとって当たり前のことです!」
 
そんな口車に乗せられてはならない。
  
子ども達の学力の源泉、未来を豊かにする源泉を
灰色の男たちに盗ませてはならないのです!
 
あなた自身が奪われ続けてきたものを思い出してください。
それだけで、子どもを守る力がわいてくるはずです。

記憶をたどりながら、ご自身のことを再び思い出してください。
いつあなたは自分の計画に自信を持ったか。
自分が決めたように運んだ日はいかに少なかったか。
いつ自分を自由に使うことができたか。
いかに多くの人々があなたから生活を奪い去ったことか
 ──失ったものにあなたが気づかないうちに

セネカ著『生の短さについて』

 
ミヒャエル・エンデ著『モモ』

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