子どもの「分かったつもり」「考えた気分」をリアルに結晶化させる練習

「言ってること、分かった?」── 「はい!」
 
「書いてることで、分からないことない?」── 「ありません!」
 
だいたい、できていない子に限って「自分はできている」「自分は分かっている」と思ってしまいます。そして、テストの結果を見て愕然とするんですね。(^^;
 
そこそこのレベルの大学に通う学生ですらそうでしたから、発展途上にある小中学生ならなおさらってものでしょう。
 
「自分の状態が分かる(認識する)」という行為(メタ認識)が、通常の学習の「何かを理解する」よりも高度な作業ですから、実は仕方がありません。
このことについての考察は、以前、こちらの記事でしていますので、興味がある方はどうぞ。

[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/learning-tech/cannot-understand-cannot-understand/”]

 
今日のテーマは、小学生にその状態をどうやって抜け出させるかって話。
あくまで仮説であり、ことのばではこうしてますよって話です。
成果が上がっている部分もありますし、まだ「手応え」レベルのぼんやりしたレベルの話もありますので、あくまで参考程度にどうぞ。

1.言葉のつながりを明確に整理させる

第一段階は「言葉のトレーニング」です。

  • どの言葉が何をさしているのか。
  • どの言葉がどの言葉を修飾しているのか。
  • どの言葉とどの言葉が係りと受けの関係にあるのか。
  • 指示語は何を指しているのか。
  • 接続詞は、前後のどういう文脈をつないでいるのか。

そういったことを、曖昧さを排除して明確にさせます。
 
これには3種類のトレーニングをさせています。

1-1.分けて・つなぐトレーニング

これは文節に分けた上で(「文節に分ける」作業自体はあくまでテクニカルなものなので重要ではありません)、文節どうしがどうつながりあい、係り、受けているのかを明示的に整理する作業をおこないます。
 
文章のどっかいにおける「なんとなく」「分かったつもり」を排除する第一段階の言語トレーニングです。
具体的にはこんな感じ。
分けて・つなぐトレーニング
 
☆サンプルのダウンロード⇒分けて・つなぐPDF版

1-2.イメージ化トレーニング

言葉で抽象的に表現されたものを、そのままにしておいては、「分かったつもり」で終わりがち。
言葉に表現されていることを、図やグラフなどに変換し、直感的に理解できるレベルまで具体化する練習をすることで、この状態を改善しようという試みです。
 
とれもシンプルなトレーニングでして、短い文章(算数の文章問題)を図やイラストで表現させます。
文章イメージ化トレーニング
 
イメージ化PDF版

1-3.接続詞・指示語を意識した読書

これだけ何とも頼りない印象ですが…(汗)
でも、間違いなく国語の成績が上がるトレーニングなんです。
 
やる作業は、単に「文章を読む時に、指示語と接続詞に線を引きながら何度も読む」だけ。
 
私たちは鉛筆で何かに書き込むと、そこに注意を向けて読むようになります。
それが「つながりを意識する」ことにつながっているものと考えられます。
 
詳しくはこちらをどうぞ。

[blogcard url=”https://www.kotonoba.jp/reading-literachy/build-up-reading-comprehension/”]

もちろん、そこで手に入った認識(理解)が正しいのかどうか、読解トレーニングなどでチェックし、間違えていたら正しい読み解き方を確認しなければなりませんね。(^^)

2.「考えた気分」を明瞭な輪郭を持った思考に変える

どのトレーニングもそうなのですが、これは特に「やり方」を学ばないと、なかなか上手にできないものです。

2-1.文章トレーニング

問われたことに答えるのは「正解がある」ものなのですが、このトレーニングは正解がなく、雲をつかむようなもの。
「おもしろかった」「嬉しかった」という曖昧な言葉に、「なぜ?」「どういうふうに?」という問いでもって、明確な輪郭と、中身を描かせる練習をさせていきます。

  • 少しずつ自分の考えていることを、言葉にする練習。
  • 根拠を持って語る練習。

そんな練習ですね。
具体的には100文字、200文字といった文字数の文章からスタートして、徐々に長いボリュームでも整然と表現できるようにさせたいものです。

2-2.表現トレーニング

文章と並行しておこなうべきトレーニングですが、こちらは「言葉の使い方」を鍛えるものです。
やや高度な内容なので、かなり読書経験を積んだ状態でないと負荷が大きすぎるかも知れません。
 
これについては、よくできた問題集がありますので、それにじっくりと「体験させる」つもりで取り組ませるのが一番かな、と思います。
もちろん、そこで学んだものを膨らませるためにも、というより問題集で問われている意味を理解する大前提としても「幅広いジャンルの、大量の読書」が必要ですけどね!
 
 
まぁ、結局の所、「読書」があっての取り組みですし、あまりいろいろ考えずに日記レベルでいいので、想いを言葉に結晶化していくような日常的な取り組みこそが重要なんですけどね。
 
ここに挙げたような取り組みが、少しずつでも変革のきっかけになれば、ということで!

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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