本当の進路保証のためには「塾のおかげで」を断ち切らなければ!

昨日、福岡市内の、ちょっと離れたところにお住まいの中学1年生親子が、セカンドオピニオンを求めて、面談にいらっしゃいました。
 
まだ1学期を終えた段階ですが、今のところ成績は超優秀。

  • 期末考査の点数は国語が70点の後半という以外、技術・家庭、音楽、美術、保健体育も含めて80点後半以上。
  • 通知表の評定は5がほとんど。
  • 国語は、苦手意識はないけど、単純に点数が取れなかったので4。
  • 社会は昔から単純暗記に苦手意識があり4。

一見すると、まったく優秀であって、何の相談?という印象です。
ただ、お父さんとしては、その勉強のやり方がとても気になる、ということなんですね。
 
何がそんなに気になっているのか?
 
実は、学習が完全に塾依存の状態になっているとのこと。
 
どのくらい依存しているか?
 
話を聞くと恐ろしすぎて笑いがでるレベルです。(^-^*

  • 授業の予習・復習は塾が用意してくれた専用プリントをこなすだけ。
  • 定期テストは中学校の先生の癖まで分析した予想問題を作ってもらえる。
  • 主要5教科以外の4教科も予想・対策プリントがあり、音楽に至っては楽曲のCDまで用意される。
  • ただし、「勉強法」「ノートの取り方」などに関するアドバイスは一切なく、ひたすら与えられたプリントを完璧にこなすのみ。

とことん面倒見がいい塾として、地域では評判なんですよ。実際。
 
 
でもね、想像力を働かせて欲しいんですよ。
例えば、

  • まだよちよち歩きの子に、「もっと移動スピードを上げてやろう」って、すべての移動にバギーを使ったら、その子の足腰はどうなるでしょう?
  • 咀嚼がうまくできない子に、消化吸収抜群の流動食ばかり与えていたら、その子の咀嚼力、アゴの発達、消化能力はどうなるでしょう?
  • 靴のひもを結べない子に、時間がかかるからといって、すべて親が靴を履かせてやっていたらどうなるでしょう?
  • スポーツも勉強も苦手なのび太君に、ドラえもんが何でも秘密道具を出して、学校生活を支援してやっていたら、のび太君の将来はどうなるでしょう?

これらと同じレベルの話なんだってことに気が付かないと!
 
 
お父さんはそこに気が付いて、どうしたらいいか相談したいということだったわけです。
 
このまま、本人の主体性も、工夫もないままに点数だけが取れてしまうことが、この子の人生において大きなリスクになるのではないか、と。
 
いや、まったくだ。
 
でも、お母さんは「塾を辞めて成績が下がる方がリスク」とお考えだそうで。
もちろん、本人も「塾を辞めるのは怖い」と。
 
本人とお母さんは「次のテスト」しか見えていない、というか「きっと同じようにうまくいく」、「その時になって考えればいい」というスタンスなんですね。
 
上の「よちよち歩きの子にバギー」のたとえで言うと、今、歩かせたら怪我をするかも知れないし、移動に時間がかかって大変になるという思考。
 
そこに欠けているのは、その子の「成長」という視点。
 
目の前の成果、結果にフォーカスしすぎると、未来が枯渇します。
 
でもね。本来、私たちは子ども達に、豊かな未来を創るために学ばせているはずなんです。
学力」というのは、

  • より高度なことができる自分を目指す意志
  • 自分の抱える課題を適切に発見する力
  • その課題をクリアするための戦略を組み立てる力
  • その戦略を遂行するために必要な情報を収集する力
  • その戦略を遂行する行動力
  • 行動した結果と、そのプロセスからフィードバックを手に入れ、次の戦略をより高度なものに仕立て上げる力

そんな力の総体をいいます。
私はこれをサバイバル能力と、しばしば表現しています。
 
「塾を辞めて、テストの点数が下がるのが怖い」という本人に、私はこんな話をしました。

  • 先生が異動して、新しい先生が来たらどうする?
  • 先生が何かに刺激を受けて、予想を裏切る問題を作ったらどうする?(実は、今回、得意教科のはずの国語の点数がふるわなかったのは、塾が用意した予想問題が大きく外されたからでした。)
  • その塾がなくなったらどうする? 新しい依存先を見つける?
  • 入試の傾向って、2020年に向けてどんどん変わってきてるんだけど、塾がそれに対応できなかったらどうする?
  • 高校に入ったらどうやって勉強する?
  • 仕事をし始めたらどうする? 人の指示に従うだけの仕事でいい?

当然、本人もそれじゃだめだよなってことは十分に理解できています。
 
なので、次のような説明と提案をしてみました。

ここで適切にケアをしておかなければ、高校や大学に入って、はたまた就職して、自分の力で困難を乗り越える力のない、安くこき使われるだけの社会人になってしまうよ。そういう仕事って、本当に安い給料でこきつかわれるんだよ。

「テストの点数が下がる」と何が怖い? 自分の力で思ったように点数を取れるって状態にしないと(さっき語ったように)もっと怖いと思わない? 高校入試では、中学1,2年生の成績って考慮されないから、ある意味で「実験」って割り切って、あと7回の定期考査を活用して「自分で勉強して、意図したとおりの成績を取れる」練習をした方がよくないかな。

まず、塾で配られるプリントが、どういう意図で、どんな作業をするために作られているか考えてごらん。分からなければ塾の先生に聞いてもいいよね。その上で、そのプリントを使わないで同じ勉強をするなら、どういうテキストを用意したらいい? どんなやり方をしたらいい?

予習⇒授業⇒復習の3段階を考えて、部活の時間とかも考慮に入れて、記録を付けながら、どういう時間配分が最適か、「自分流の成功の方程式」を完成させよう。

授業の受け方にも工夫ができると思うよ。ノートの取り方にも工夫してみようか。ノートの取り方については、いろんなノウハウ書が出てるから、親子で本屋さんに行ってみるといいよ。

塾のプリントのこなし方も、効果の上がる方法を工夫しよう。うちのブログにも、効果的な学習法をたくさん紹介しているから、勉強法を見直す参考にしてみて。それが分かれば、塾で配られるプリントと似たような問題集を使ってもできるし、予想問題に頼らなくても、何でもこなせる力が付くよ。

とりあえず、1年生を通じて「通知表ALL 5」を取るために、どんな勉強をしたらいいか、塾とそのプリントを最大限効果的に活用する方法を模索してみよう。

それで自信が持てたら、2年生は塾に通うのを辞めてもいいし、頻度を下げてもいいよね。最終的に「利用できるものは、塾でもテキストでも利用する。でも、あくまで自分の力で成果を出せる」状態を目指そう。

部活も同じようなものだから、どうしたら最高の成績を収められるか、県大会に勝ち進めるか、練習法を工夫してみようよ。

 
よく勘違いされるんですが、子どもの進路を保証するっていうのは、目の前のテストの点数とか受験でいい成績を取ることじゃないんですよね。
テストも人間関係も部活もすべてひっくるめて、自分の力で、自分らしくサバイバルしていく力を養っていくことなんです。
 
もし、塾にいくことが、進路を疎外していると思ったら、きっぱりと目の前の成績・点数を手放しましょう。
未来のために、今に執着している猶予はありません。
 
 
ちなみに、土曜日に相談に来た親子。
本人も、お父さんもひとまず「よし、やってみよう」と思えたようで、ことのばで発行しているニュースレター10枚を手に、「まずは大きな本屋に行ってみよう!」ということで、書店に勉強法の本を探しに向かいました。
 
徐々に「塾のおかげでできた!」を手放して、「どんな状況でもサバイバルしていける力」を獲得していけることをお祈りしております!

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