「スマホで知育」は絶対に避けた方がいい理由

四方山話・コラム

知人からこんな相談を受けました。

「親の手が離せないとき、スマホの知育アプリってのをやらせてみたら、すごく興味を持って文字とかパズルみたいなゲームとかやってるんだよね。あれって教育上、効果あるの?」

これは、あくまで私個人の意見に過ぎませんが、スマホに教育効果を求めるのは完全に間違いです。というより弊害の方が断然大きいので、可能な限り「子どもへのスマホ」は避けましょう!
 
いや、私個人の見解というより、どこの小児科にも貼ってあるこのポスターのとおりなんですよ!

スマホの知育アプリの宣伝文句は本当か?

もちろん、知育アプリもいろいろ仮説を立てて、子ども達の興味を引きつつ、考えさせたり、選ばせたりといった工夫をしています。
 
その宣伝文句も様々。

「好奇心を刺激し、お子さまの感情や言葉を豊かにします」
「感性が養われます」
「基本的な認識能力と手の動きの協調性を養います」

もちろん、その効果を調査・研究した例を見たことがありません。「単なる仮説」を基に作ってみました、というレベルでしょう。

好奇心が育つは本当か?

確かに子どもは触ると音が出たり、色が変わったりすれば興味を示します。
しかし、それが知性を高める好奇心につながるのかどうかと言われれば、甚だ疑問が残ります。
 
子どもの学力でも、社会人になってからのビジネス教養でも、好奇心は非常に重要な意味を持っています。「それはなぜだろう?」「どういう理屈でそうなっているんだろう?」という好奇心を持って世の中を見ることが、学び、吸収する力の源泉となるからです。
 
ただ、『子どもの速読トレーニング』にも書いた話ですが、学力やビジネス教養につながるような好奇心というのは、探究心を持って自分の体と頭で調べ、考え、何らかの答えを探し当てた体験を通じて育ちます。
調べたり、考えたりといった、面倒くさい作業の後に育つのが知的好奇心。
 
子どもが小さい頃には親の関わりも重要です。
「なんで?」と子どもに問われた時に、親が自分なりに答えてみる。子どもにも考えさせる。さらに「一緒に答えを探そうか、調べようか」を経て「分かった!」になるから学習が楽しくなります。
 
刺激に反応しているだけの状態、与えられた答えに導かれるだけのゲームで育つものではありません。

知性が育つは本当か?

上に紹介した「感性」だとか「基本的な認識能力と手の動きの協調性」といったものもそうですが、遊ばせているうちに知性の芽が育つという幻想を与えるような説明が書かれています。
 
しかし、知性(知能)は体全身の神経と筋肉を使うことでしか発達しません。
 
以前のブログ記事でも書いたのですが、幼少の頃の外遊びが知性に直結しているのです。

平面の中に展開される世界を、指先だけでタッチし、しかも手応えも何もないなかで、どういう神経が育つのか不明です。
 
百歩譲って、本当に知性が若干でも高まったとします。しかし、幼少の頃に育てたIQの程度というのは、それをやめて数年もすれば下がっていき、元に戻ることが分かっています。(アメリカにおける「ペリー就学前プログラムによる追跡調査」より)
 
それに対して非認知能力(パフォーマンスに影響を与えるその他の特性、パーソナリティ特性、選好、粘り強さ、協調性、やり抜く力、自制心、感謝する力など)は幼少の頃に育てておけば、生涯にわたりプラスに作用することが同じく分かっているのです。
 
そして、スマホを与えて遊ばせて、そのような非認知能力が高まるとはとても思えないわけです。

スマホが与えるマイナスの影響

恐らくは知育アプリがもたらすメリットは「親が忙しい間、夢中になってくれる」という部分に限定されます。
それが単なるゲームだろうが、知育アプリだろうが、大した差はないだろうというのが私の予想です。(あくまで「予想」です。)
 
それに対して、スマホを与えることの「マイナスの影響」はかなりはっきりしています。

スマホに慣れ、スマホが生活の一部になる怖さ

あなたは「スマホがなければ、どんなに楽だろう?」と思ったことはありませんか?
すき間時間のほとんどがスマホのゲームやLINE、facebook、twitterに奪われ、ひっきりなしに届く着信の合図で、落ち着いて集中できる時間なんて、本当にわずかしかありません。
 
スマホと慣れ親しむことによって生まれる中毒症状、「時間をどんどん吸収される怖さ」は、大人である私たちが一番知っているはずです。

中高生の勉強阻害要因のナンバーワンは、多分スマホ

最近、高校の先生達から「睡眠障害を患っていて、授業中ぼーっとしている生徒が時々いる」という話をお聞きします。
私がここ2、3年で受けた相談でも、スマホとりわけLINEの中毒になっていて、集中して勉強できないとか、眠りが浅くなったりしているという例が何件もありました。
 
高校生の睡眠不足はかなり深刻なようですよ。

◆日本経済新聞 「睡眠不足」高校生の3割 文科省が初調査(2015.05.01)
毎日の睡眠時間を「十分ではない」と感じている高校生が3割いることが1日、文部科学省の睡眠と生活習慣に関する初めての調査で分かった。眠気で午前中の授業に集中できず、休日には平日よりも遅く起きて睡眠不足を補おうとしている様子。スマートフォン(スマホ)の操作時間が長いほど就寝が遅い傾向もみられた。

※参考資料:総務省による「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」調査結果概要
 
睡眠不足の問題なら、単に「時間制限」で何とかなりますし、ゲームだって同じことだっていう話にもなりそうです。
が、実はスマホの場合「睡眠不足」だけが問題ではありません。
 
仙台市教育委員会と東北大学による「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」に、こんな報告があるんです。

◆スマートフォン・携帯電話の長時間使用が学力に悪影響を与える!(⇒PDF資料
LINEやカカオトークなどの通信アプリの使用時間と勉強時間,数学の平均点との関係を分析しました。
(中略)
平日1日あたりの通信アプリの使用時間の長さは,勉強時間や睡眠時間を介した影響力よりも圧倒的に強く,直接的に成績を下げる方向に作用している恐れがあることが分かりました。これは分析を行った研究チームとしても,非常に衝撃的な結果でした。なぜなら,「通信アプリの使用によって勉強時間や睡眠時間が少なくなるから成績が落ちる」わけではなさそうだからです。

簡単に言えば、勉強時間、睡眠時間が変わらなくても、スマホの通信アプリを使う時間が長いと、それだけで成績が下がるってこと。
 
ちなみに、スマホの生みの親と言っても過言でないS.ジョブスは息子達にスマホもパソコンも与えなかったって話は、ご存知の方も多いかも知れませんね。

“They haven’t used it,” he told me. “We limit how much technology our kids use at home.”
(寺田による適当な和訳)「子ども達は使ってないよ」彼は私に語りました。「私たちは子ども達に自宅でハイテク機器を使うのを制限しているんだ」。

「スマホで子守り」は便利だけど…

確かにスマホに子守りをしてもらうのは、とても便利です。
我が家もタブレットでYouTubeの動画を見せたり、音楽アプリで音楽を聴かせたりしていた時期もありました。
しかし、夫婦で相談して(妻主導ですが)今は完全に止めています。
 
その代わり、子守りはAmazon primeビデオの仮面ライダーにお願いしています。(苦笑)
 
いや、晩ご飯を作っているときに「だっこしてー」とか来るんで大変なんですわ。(汗)
NHK教育の吸引力ではダメでも、仮面ライダーなら大丈夫。(^^;

Amazonプライムに入会したら月平均300円くらいで、Amazonの荷物配達は早いし時間指定できるし、しかもかなりの番組と音楽が無料で利用できますからね。助かってます。

とりあえず、スマホアプリの夢と幻想いっぱいの宣伝に惑わされず、マイナスの部分をしっかり見ておくようにしておきたいものです。手に入るか不明なメリットと、間違いなく襲いかかるデメリットなら比較検討するまでもありませんよね。
 
可能な限り、子どもがスマホと接触する時期を遅らせましょう!

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