福岡県立高校入試における「内申書」の取り扱い

すでに中学入試が始まり、
ぼちぼち高校入試のシーズンが
近づいています。
 
試験の点数はそれまでの努力と
その日の運と体調次第。
 
でも内申書って、
先生に握られているようで
生徒からするといやーな存在ですよね。
 
では、内申書が高校入試で
どう取り扱われているのか、
私の知る限りで、
かつ公開しても問題ないレベルの
きわどい話を書いてみたいと思います。
 
ちなみに私は県立高校で4年間、
入試のデータ処理に関わり、
中学校では進路指導主事の立場で
様々な高校の先生方と情報交換をしています。
 
一個人の知りうる程度の情報でもあり、
それなりに普遍性のある話でもあると
ご理解ください。

実際の入試の合否判定

福岡県の公立高校入試では、
今も内申点と学検点(学力検査の点数)が
両方使用されています。
 
単純に生徒の点数を平面上にプロットして、
その2軸で評価するわけです。
 
一応、こちらのページに紹介されているような
形で説明されます。

>>福岡県の入試資料PDF(7p参照)

ただ、現実には「B群」というのは
「内申点」が高い群(図のB群)と
「学検点」が高い群(図のC群)とに
区別されます。

合否判定の手順

最初に一定割合のA群を抽出します。
 
これは学校によって比率は違うと思いますが、
だいたい6,7割の生徒が「ほぼ自動」で合格になります。
 
「ほぼ」というのは、一応それでリストを作り、
後は幹部が欠席日数やその他の要件を確認する
手続きがあるからです。
 
ちなみに、私はエクセルで関数とマクロを駆使して
マウスで領域をドラッグ指定すると、
その中に含まれる男女の人数が
自動的に表示されるシステムを作りました。
 
それで学検点と内申点を微調整しつつ、
ほどよい人数の、最初の合格者を抽出するわけです。

B群・C群の取り扱い

私が勝手にB・Cと名付けましたが、
実際にどう呼ばれているかは知りません。
 
では、A群が決定した後はどこに目を向けるか?
 
これは想像したら分かることですが、
B群の中でも内申点が高い生徒です。
 
当日の一発試験ではなく、
3年生の1年間、その学校内で上位に入るだけの
努力をしてきた生徒である可能性が高いからです。
 
その次は「内申点がほどほどで学検点が高い生徒」ですね。
まぁ、予想通りというところでしょうか。

内申点の公平性は担保されるのか?

よく質問されるのですが、
内申点の公平性は担保されているのか?
という問題。
 
一応、建前では評定は「絶対評価」です。
つまりみんなが定期テストで100点を
取れば、理論的には全員の評定が5
ということもありえます。
  
しかし、もし本当に中学校が
絶対評価をしたらどうなるか?
 
その時は入試で内申点が使われなくなります。
 
だって、自分の学校の生徒を公立高校に
合格させるために簡単な試験を作り、
みんなに高い点数を取らせて「全員オール5」
なんてことも可能になってしまいますからね。
 
なので、高校入試では3年生の1年間の
総合的な評定だけが使われ、
それは絶対に相対評価です。
 
上の県の資料にあるように
内申点が利用されていると
公に語られる限り、
その原則は変わることはないと
理解して間違いありません。
 
もし、中学校の通知表が絶対評価で
5段階評価が付けられているとしたら
要注意ですね。
 
入試でどんな数字(点数)が
使われているか分かりませんから!
 
ちなみに、5から1までの比率は
一般的なものと同じですよ。
(昔はこれも公にされていたと思います。)

  • 5…7%
  • 4…24%
  • 3…38%
  • 2…24%
  • 1…7%

ほぼきっちりと、この数値になるように
中学校の責任で処理され、
生徒全員の成績一覧、各評定値の人数などの
データが県教育委員会に提出されます。

内申点の「評定点」以外はどう扱われるのか?

これも冷静に考えれば分かることです。
 
入試という公平性が絶対視される場では、
「恣意」が混入する要素は徹底的に排除されます。
 
例えば次のような項目は、
ほぼ間違いなく入試の合否に影響を与えません。

  • どんな部活に所属していたか。
  • クラスの係活動を積極的に行ってきたか。
  • 合唱コンクールやマラソン大会など校内行事でがんばったか。
  • 中1・2年次の成績がよかったか、悪かったか。
  • 授業中の態度がまじめだったか、悪かったか。
  • 生徒会の委員会活動に積極的に参加したか。

これらはすべて評価者(つまり中学校の先生)の
主観が混ざるからです。

生徒会活動の取り扱い

生徒会長・副会長・書記の三役以外の
専門委員も評価の対象にならないと考えるべきです。
 
なぜなら中学校によっては、
内申書対策のために、
どうでもいいような委員を設定し、
委員長を量産しているところもあるんです。
 
それを点数化していては、
学校間の公平性が損なわれますよね。

部活動の取り扱い

部活動でプラス評価がされるのは、
運動部のレギュラーメンバーで
県大会以上に出場した場合だけと
考えるのが妥当です。
 
補欠だったりベンチ要員だったりの生徒は
部活動所見欄に
「チームの県大会出場に貢献した」
といった表現で書かれることがあります。(笑)
 
これは評価の対象にならないわけです。
残念ながら。
 
レギュラーなら
「レギュラーメンバー(5番・セカンド)として
 県大会に出場」
と書きますからね!
 
文化部も同じようなものだと
理解していいでしょう。
 
学校外のスポーツチームも同様です。
というより部活より評価されづらいと
考えた方が無難です。
公平性が担保できないからです。
 
ただし、スポーツに力を入れている学校と
競技・種目によってはその限りではありません。

欠席日数はどう扱われるのか?

欠席日数は受験者の一覧表に
データとして掲載されます。
 
しかし2桁の欠席でない限り、
それが審査の対象になるとは
考えられません。

所見欄はどうか?

所見欄は完全に無視されます。
それは担任教師の主観が混ざるのと、
表現次第でなんとでも書けるからです。
 
先生の作文能力で合否に影響が出たら、
そりゃ大変ですよね!

調査書の実際の扱われ方

中学校から提出された調査書は、
審査の対象となる項目だけをピックアップして
一覧表になります。
 
原本が照会されるのは、
本当によほどのことがあった時のみ。
(多分、教務主任の先生が、
 精査の対象となる生徒の分は
 審査会議に持ち込むでしょうけど…)
 
私のような末端データ処理作業員が
せっせとコンピューターに入力し、
リストにするわけです。
 
その後、合格が決まったときに
担任の先生に渡されますが、
それを担任がどう扱うかは自由。
 
使われ方として一番多いのは、
部活の顧問が、自分の部活に
勧誘できる生徒がいないか確認する場合と、
生徒指導上問題があった時に
中学校時代の様子を知るために参照する場合。

推薦入試を受けると一般入試で有利か?

よく「推薦を受けたら有利になる」という噂が
語られるのですが、これはほぼガセです。
 
一般的には推薦入試に誰が受けたかという情報は
一般入試には持ち込まれません。
 
ただし、学力上困難を抱える
生徒が進学する高校は、
その限りでない可能性も残されています。
 
あくまで「伝統的」「慣習的」ですが、
地域の中学校の先生達との信頼関係で
 
「これまでどおり、
 推薦入試を受けた生徒は・・・」
 
という態度(実際の合否判定)を貫き、
中学校の先生も「中学校の威信」でもって
本当に「まじめでいい子だけど勉強だけ苦手」
という生徒に限って推薦するという・・・。
 
ま、このあたりは公にされることは
ありませんし、本当に「極めて例外的」と
考えて間違いありません。
 
気になったら中学校の先生に
相談してみてください。

ということは、調査書は適当でいいの?

公文書ですし、記録として残りますので、
嘘はいけません。
特に数値は。
 
しかし、所見欄はさらっと
箇条書きされていようが、
心を込めて書こうが、
 
「高校では読まれない」
「読まれても信頼されない」
 
ことに変わりありません。
 
生徒さんの側からすると、
「3年生の定期テストと授業態度」
さえ整えておけば、
あとは入試対策に全力を注いでいいってこと。
 
ちなみに、私が進路指導主事の時は、
以上のことをすべて生徒に伝えて、
 
だからこそ、この1年、勝負の年にしろ!
 
と檄を飛ばして学年をスタートさせました。
 
そして、調査書はすべて私独りで書き上げました。
 
思い入れが少ないからクールにさくさく書けます。(笑)
 
 
 
ということで、
あんまりきわどい話にはなりませんでしたね。(^^;
 
高校入試のことでストレスを抱える親子の
不安要素を取り除く材料になれば幸いです!

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コメント

  • コメント (2)

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    • りんりん
    • 2017年 6月 24日

    息子が中1で現在、学校に登校できていません。欠席日数は29日ですが、これからもしばらくは無理のようです。中1の欠席日数も高校入試、公立、私立に影響があるのでしょうか?中学校に入学したばかりで高校を選べなくなってしまうのかと、先を考えるととても不安になります。まずは、登校できるようになることが最優先なのですが、現実も知っておかなければと思います。

      • 寺田 昌嗣
      • 2017年 6月 25日

      初めまして。
      親御さんとしては、お子さんの欠席のことは気になるでしょうね。
      ただ「高校入学に不利になるか」ということよりも、「中学校とどう付き合うか」ということについて、現状を肯定した上で、未来志向で考えることの方が重要かな、と思います。
       
      お尋ねの件ですが、欠席日数が10を越えた場合、確かにリストアップされて「チェックの対象」になります。
      ただ、「だからダメ」というものではありません。欠席日数が、なぜそのような数字になったのかは、中学校の先生からコメントが付きますし。
       
      基本的に「欠席が多いから不合格になる」とか「不利になる」というよりは、合否ぎりぎりでボーダー上に並んだ時に審査の参考資料になるという程度にとらえておいていいですよ。もちろんその時、欠席日数だけではなく、部活動の実績、生徒会活動の記録、評定1,2の数などがトータルで審査の材料になるわけですし。
       
      このあたり学校によって差がありそうですが、その学校ごとの入試業務に関わる管理職や運営委員会と呼ばれる役付きの先生方にしか分からない問題です。
      あまり考えても、誰かに相談しても、あまり意味がない話ということも理解しておいてください。
       
      私が高校で担任した生徒の中にも、中学校時代に不登校気味で欠席が多かった生徒もいましたが、学区3番手の高校に合格していたわけです。その時にどういう審査が行われたのかは、上述の一部の先生達以外、誰にも分かりません。
      私が進路指導主事を務めた中学校にも、年間30日を越える欠席数の生徒は複数おりましたが、皆、高校に行きましたし。
       
      ですので、一番大切なことは…
      ・学校に行けない理由を踏まえて、解決か回避か考える。その時、「学校に何が何でも行くべき」という発想を捨てて、お子さんの人生に学校がどういう意味があるのかを考え、親子で学校とのつきあい方を考える。
      ・その上で、「学校はどうでもいいけど、自分の将来のために教養は身に付けておこう」ということで、勉強と読書を積み上げるように促す。
      ・あまり先のことを考えてストレスを感じるよりも、今をどう過ごすかを親子で気楽に(でも本気で)考える。
      ということではないかと思います。
       
      あくまで、いろいろ経験してきた、一人の元教師の個人的意見として受け取っていただければ幸いです。
      もしお近くでしたら、教室に相談にいらしてくださっても結構ですよ。(^^)

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