「スマホは麻薬」──中毒に陥る前に、回避のルールを!

数年前、「高校生でスマホってのは持っていて当たり前になりつつある」という話を書いたのですが、どうやらそれが小学校高学年にまで降りてきたようです…

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スマホ問題はは高校生から小学生へ?

こちらのグラフは2015年に話題になった「高校生のスマホ所有率」に関するグラフ

高校生のスマホ利用率、ついに99%に – デジタルアーツ調査

これが2024年現在、どうやら小学校6年生で同じ状態になりつつあるようです。
小学校6年生だとスマホ所有率50%ですよ!

【子ども】小中学生のスマホ所有率上昇 調査開始から初めて小学校高学年で4割を超す(2024年1月29日) |レポート|NTTドコモ モバイル社会研究所 (moba-ken.jp)

子どものスマホ問題に何度も関わってきた身としては、この事態、本人にとっても、この社会にとってもヤバイ未来しか見えません。

スマホは確実に学習時間を奪い取る!

2015年当時はこんな風に書いたのですが…

はまっている中身がLINEなのかInstagramなのかポケモンGoなのか、はたまたパズドラなのか、その中身は不明ですが、高校生にじわじわと中毒症状が広がっていることは確かです。

コロナ禍以降、動画を見るのが当たり前になり、YouTube shortsとTiktok全盛時代の2024年。時間は無限に吸い取られていくようになっています。
なにしろ、気軽に視聴できるショートな動画が次々に流れてくるのですから。しかも、その人の視聴傾向に合わせて「これ、好きでしょ?」ってAIがその人の好みを完全に理解した上で。

こちらは2014年10月8日の日経BPの記事からの引用。

高校生の約6割がスマートフォンを含めて(むしろスマホが7~8割を占める)1日4時間以上、インターネットを利用しており、スマホの利用により「勉強時間が減った」と答える生徒が34.1%もいた。

そりゃ、1日4時間やれば、勉強する暇、ないでしょ?

しかも、休み時間になった瞬間にスマホを取り出してゲーム・・・自宅に帰ったらLINEを表示しっぱなしにして勉強・・・2014年当時でも、そんなことが当たり前の風景になっていました。

今は、ベッドに寝転がって、ひたすら動画・動画・動画・・・です。

そして2022年の調査データですが、いわゆる「不読率」、「この1ヶ月、本をまったく読まなかった人の率」が小学生でも30%を超えました。ただし、学校では朝読などもあり、一定時間は読んでいるはずです。あくまで自宅など学校害の時間です。

スマホは麻薬と同じ中毒性を持つ劇薬と理解すべき

上記の日経BPの記事の中で、和田秀樹さんが指摘していたのですが、スマホ中毒は「病気」なんです。
強制的になんとかしないと、意志とかルールとかでは止められないんです。

依存症の怖いところは意思を破壊される病気だということだ。たばこにしても、覚せい剤にしても、やめられない人間は意志が弱いように言われるが、肝心の意思が破壊されてしまう。だから治療し、場合によっては入院させてでも、それらから引き離さないといけない。スマホやギャンブルについても同じことなのだ。

ちなみに、2014年当時、スマホ中心のSNS中ではInstagramが流行っていました。今も、Tiktokと同じく若者に人気のSNSです。

これには中毒症状を生む仕組みが組み込まれていることが、最近の研究で分かっています。

こちらは2016.06.02のWIRED.CO.UKの記事。

A region that was especially active was a part of the striatum called the nuclear accumbens,” she explained. This is part of the brain’s “reward circuitry”, which is “particularly sensitive during adolescence“.
▲寺田のてきとー訳
特に活性化した部位は、側坐核(註>>そくざかく:前脳に存在する神経細胞の集団。報酬、快感、嗜癖、恐怖などに重要な役割を果たすと考えられ、またこの部位の働きが強い者ほど嘘をつきやすいといわれる)と呼ばれる線条体(せんじょうたい)の一部でした。これは、「報酬系回路」の一部で、「特に青年期に鋭敏になる」部位なのです。

http://www.wired.co.uk/article/what-happens-to-teenage-brain-on-social-media

何でも「イイネ」が付くと、それによって好みまで影響を受けてしまうんだとか。

スマホは「カバンの中に入っている」だけで集中力を下げる

あと、この依存症とは別の文脈での研究による結果ですが、スマホの通知が届くたびに集中力をそぎ落とされ、半ばADHDのような症状に陥ってしまうんだそうです!

こちらは2016.05.10の記事。

※日本語訳:「スマホの通知がADHDに似た症状を引き起こす」

本当のADHDではありませんが、スマホをサイレントモードにしている学生と比べて、そうでない学生さんが注意欠陥が生じることが確認されているんだそうです。

また別の研究では注意力欠如による「聴覚障害」まで起こってしまうことがレポートされているそう!

ある心理学研究では、一度乱れた集中力は、約30分間戻らないということが明らかにされています。
つまり、休み時間にスマホに夢中になって、ADHD的症状を抱えたまま授業に向かって、授業の半分を集中力散漫な状態で聞いている可能性があるわけです。

それだけじゃなく、「カバンの中にスマホが入っている」と認識している状況では、集中力は完全には回復しないことも明らかにされています。

子どもが喜ぶから麻薬を打ってやる親はまっとうか?

一度、依存症になってしまえば、それを採り上げるのには本当に大きなエネルギーが必要になります。

「高校に合格したお祝いにスマホ」── これが当たり前の時代です。
今や、小学生でも「親子の連絡にも便利だから」「Switchの代わりにスマホで遊ぶんだから同じじゃない?」という感覚でスマホを買い与える時代になっているのかも知れません。

ですが、買い与える前に、親がしっかりとルールを作り厳しく申し渡さなければ。

  • 夜○時以降、せめて勉強時間帯は親に預ける。できれば「タイマー付き金庫」にしまう。
  • 自宅では、決められた時間以外は手元に置かせない。
  • ゲームのインストールを制限する。アプリごとのペアレンタルコントロールを徹底する。

スマホ生みの親であるジョブズが、子どもに決してスマホを持たせなかった理由は、ここで紹介したものとはちょっと違うようですが、「そもそも与えない」という親心もあるんだってことを、親の側が理解した上で、しっかりと子どものスマホ利用を監視・監督していきましょうね。

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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