子どもの「学校外の学習時間」が回復!⇒これは吉報か?

2016.03.21付け日経新聞に、「学校外の学習時間 90年水準に」という見出しの寄稿記事が掲載されました。
 
寄稿したのは過去に、家庭環境と学力の関係について調査・分析したレポートを寄稿した耳塚氏。

今回のレポートはベネッセ教育総合研究所がおこなっている調査の結果。
1990年から実施されており、今回で5回目とのこと(1990, 1996, 2001, 2006, 2015年に実施)。
 
この報告によると、1990年から一貫して減り続けてきた家庭での学習時間が、初めて回復傾向を示し、しかもその時間数が調査を開始した当初(1990年)と同レベルになったとのこと。
 
これについて、耳塚氏は今回の調査で見えたポイントとして3つ挙げています。

  • 1.子ども達の学習への回帰
  • 2.学ぶことの価値や学歴の効用への信頼回復
  • 3.能動的な学習スタイルの授業を「好き」と答える生徒の増加

勉強をしないよりはした方が断然いいことは間違いありません。
 
実際、冒頭に紹介した記事あるように、子ども達の学力を一番しっかりと支えているのは「宿題」です。
そこが回復しているとしたら、当然それは学力の底上げにつながるものと考えられます。
 
ただ、3つともそれぞれに微妙な要素を含んでおり、手放しで喜んでいいかどうかは、まったくもって不明です。

というのは、学習時間の増加が、単に「学校の宿題の増加」によるものだからです。
 
先の記事で紹介したとおり自由学習も確かに増えており、それが本当の意味で子ども達の主体的な学習になったとしたら、それは本当に喜ぶべきことです。
 
ですが、今のところ、そうは言いがたい。
 
一定量の学習時間が確保されているということ以上に、その質の面は今後の課題として残り続けているわけです。
 
そして、学歴への信頼回復という問題。
 
今回の新聞記事には出てきませんでしたが、同じ調査からのデータとして次のようなものがあります。

「お金持ちになる」ために学校の勉強が役立つと考えている小学生は57.8%だった。中学生が60.7%、高校生が66.8%で、いずれも前回より10ポイント以上増えた。
「いい大学を卒業すると幸せになれる」とする小中高生も5〜8割を占め、急増している。

現実には、過去の記事で指摘したとおり、学歴が将来を保証してくれる時代はとっくに終わっています。
 
これについて、耳塚氏も次のように私見を添えています。

学びの価値への信頼が裏切られることのない社会は間違いなく「善」だが、子供たちが入っていく社会がそうである保証はどこにもない。

現実には「大学に行く」ことが、せいぜい就職するためのパスポートに過ぎなくなっており、パスポートを持っていたからと言って何かが保証されるわけではまったくありません。
 
それについては、こちらの記事で書いたとおり。

子ども達がもっと個性を伸ばしたり、自分で自分の課題について主体的に学んだりする力を育んでやらなければ、激変する、未来の見えない時代を生き抜く備えにはなりません。
 
その点で言えば、アクティヴラーニングや反転学習には、子ども達にそのような力を授けるいい手法に違いないのですが、現実の教育現場ではそううまくいっていませんし、今回の調査でも明らかなように高校になると、あまり積極的には取り組まれていません。


 
今回の調査の結果から分かるのは「とりあえず、悪い流れは断ち切れた」という程度というのが、私の率直な感想です。
 
2020年に大学入試が変わりますが、そのタイミングで高校の教育がどう変わるのか?
「学歴」ではなく「学ぶ力」で自分の未来を切り開くという考え方が、教育界や親世代に浸透していくのか?
 
というか、そういう変化を生み出せるような価値ある仕事をしていきたいと思う次第です。

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