通知表の絶対評価と、内申書の相対評価のギャップ

先日、
「福岡県の公立高校入試の評定値は相対評価だ」
と書きました。

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これについて、
何件かお問い合わせがありましたので、
そのことについて書いておこうと思います。
 
まず、
「今でも相対評価だというのは本当か」
というお話。
 
それは
「ほぼその通りです」
とお答えしておきます。
 
「中学校の先生には
 絶対評価だと聞かされています」 
 
というお話もいただきました。
 
それも嘘ではないでしょう。
 
しかしそこにとらわれても
あまり意味があるとは思えません。
 
もし、本当に絶対評価なら、
高校は内申点を合否判定には
使わないでしょうし。
 
もし、相対評価だったとしたら、
通知表の評価とはズレが出ます。
そして、内申点が本当は何点なのか、
生徒本人には教えてくれないでしょうし。
 
結論として、
 
「考えてもしゃーないから、
 目の前の受験勉強、がんばれ!」
 
としか言えません。
 
前の記事で言いたかったのは、
 
「内申点は通知表の点とは違うよ」
「成績は3年生の分しか見ないよ」
 
という話です。
 
あんまり、そういうテクニカルなことに
とらわれても意味がありません!
 
 
とはいえ、もう少しだけ
この
「通知表の絶対評価と、
 内申書の相対評価のギャップ」
について書いてみようと思います。
 
 
絶対評価というのは、
生徒の成績を、他者との比較を考慮せず、
その子の到達度などのみに着目して
評価する方法です。
 
しかし、これには大きな問題があります。

  • 生徒を評価する先生は、評価しようとする教科について、十分な知見と評価基準・規準を持っているか。
  • 中間考査などで評価する場合、問題の質は生徒の学力を正しく反映しうる適正なものであったか。

という評価者である先生の問題です。
 
ある意味で
「絶対評価=先生の主観の評価」
という面が否めません。(苦笑)
 
※ペーパーテストのない音楽・体育・美術って
 先生の主観だよなって、思ったことあるでしょ?(笑)
 
通知表に記載される評定は、
それでも「まぁいい」わけです。
 
というか、納得いかなくても
先生を選べないわけですから、
ある意味でしゃーない、という問題です。
 
しかし、ここで疑問が出てくるわけですよ。
 
どうせ試験の点数とか、
授業態度・忘れ物・提出物の状況とか
規定の観点で評価するんだったら、
なんでわざわざ、
それらを総合して5段階評価で
表現し直さないといけないんだろう?

 
試験の点数、観点別評価点を
そのまま通知表に記載したらいいのに!
 
高校は、実際そうなっていますよね?
 
中学校の校内の通知表に、
わざわざ5段階評価を記載する意味が
私には分かりません。
 
強いて、好意的に考えれば
通知表の絶対評価というのは、
「細かい点数にとらわれずに、
 ざっくりと自分のレベルを知ろう」
という意味だと考えられなくもありません。
 
しかし、通知表を
自分の学業のリアルな実態を知り、
改善すべき点を知るためのものと
考えるなら、これは無意味というより
弊害の方が大きなものと言えるでしょうね。
 
 
そして、ここからが本題。
 
その5段階評価が入試に使われる時の問題。
 
先の記事で書いたとおり、
相対評価としての5段階評価は、
学校内でのざっくりとしたランキングを
示すもの
です。
 
学校間のレベルの差が
無視できるレベルのものである
という前提は必要ですが、
だいたい、その生徒が学校の勉強を
どの程度がんばってきたのかが分かります。
 
だから入試の評価として使えるんです。
 
逆に、絶対評価は
公平性が求められる場では
評価として機能しません。
 
実際、完全なる絶対評価を採用している
とある県の先生によると、
「内申点も評価の対象です」と、
公にはアナウンスしていても、
実際には、当日の学検点のみで判定すると
おっしゃっていました。
 
そりゃそうでしょうね。
 
 
ここで、冒頭の問題に戻ります。
 
福岡県の入試で使われる内申書の点数は
本当に相対評価なのか?
 
現状からいえば、やや厳密さを緩めた相対評価です。
 
昔なら、7%だから学年で○人しか5を付けられない、
そんなガチガチの評価をしていました。
 
1点の違いでも5と4の差を
付けなければなりませんでした。
 
その1点って、ノート点とか授業態度とか、
そういう曖昧な評価を含んだ点数です。
 
だから、中学校の先生達はすごく
悩んでいたんですよ。
何とかならないのか!って。
 
それが少し「緩く」なった。
 
その微妙な差をファジーに判断して
5段階で評価できるようになったわけです。
 
ただ、やはり福岡県全体で
公平性を保とうとしますので、
自由に5段階の比率を変えていい
という話にはなりません。
 
どの程度までのファジーさが
許容されているかは
マル秘事項につき不明ですが、
それほど大幅な差は作っていないはず。
 
それをやってしまうと、
合否判定で内申点の信頼性が
揺らいでしまうことになりますから。
 
そしたら、中学校の進学指導は
塾やフクトの模擬試験の成績しか
頼るものがなくなってしまいます!
 
ちなみに、相対評価の厳密性を緩めると、
その信頼性が大きく崩れるのが
「5」の評価ですね。
 
なにせ200人いても14人しか
5を付けられないんです。
「成績トップ集団」の人数が
それを越えていて、
みんなが頑張っていたら…
そりゃ、5の人数を増やしたくも
なるってものです。
  
ちなみに今、
「修猷館は内申点を考慮しないらしい」
という噂が
まことしやかにささやかれています。
 
実際、厳密性が揺らいできたら、
まず御三家が内申点を
無視するようになるでしょうね。
 
とはいえ、福岡県のこれまでの
入試の状況を考える限り、
例えば
「当日の点数が高得点なら
 内申点がでたらめでもOK」
となるとは考えにくい。
 
なので、修猷館の話もガセですね。はい。
 
※現実問題として、入試当日の点数で
 ハイレベルなスコアを出す生徒の調査書点が
 激しく悪いということは考えにくいわけですが…
 
 
ということで、話が長くなりましたが、
 
通知表は、
細かい点数ではなく、その子の頑張り具合、
教科の学力の程度を計るものだから
絶対評価でも問題ない。
 
でも、調査書は
福岡県全体の教育に関わる問題であり、
公平性の原則を考えれば
相対評価にならざるをえない。
 
そのギャップは、
使われるシーンの違いがある以上
しゃーない。
  
ってことで!

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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