「この子、やる気ないのかな?」と思った時の対処法

「習い事」というのは、本人が好きで好きで通っているという場合もありますが、「親が言うから」というような義務感で通っているケースも多いもの。
特に「速読」なんていう特殊な講座の場合はね。
 
そんな状況で、「子どものやる気をどう高めるか」は教育者にとって「腕の見せ所」ともいえますし、どうにも悩ましい部分でもあります。

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まじめなんだけど、意欲的ではないという女の子のお話

子ども速読講座に通ってくれている女の子が、何やら倦怠感を漂わせていました。
その子は、1年半前、つまり昨年度初めからの生徒さん。
通い始めるきっかけも「今のままではだめだと思うから、(勉強とか読書とかを)何とかしたいから受講してみたい」という本人の意志でした。
 
実際、読書と縁遠い子でしたが、今は週に1冊ペースで読むようになっています。
集中力も非常に高くなっていますし、読解力も上がってきています。

 
とてもまじめな子。だけどちょっと「惜しい!」子。
そして、ここしばらくはこんな感じでした。
 
・毎回、5〜10分くらい必ず遅刻する。
・宿題を出してもやってこない。
・家でもそれほど積極的に本を読まない。
・速読スキルも「そこそこ」のレベルに到達しているものの、
 積極的に磨こうとか、活用しようとか、そういう意志が感じられない。

 
教育の現場ではよく見かけるタイプの子といえるでしょうか。
「まじめなんだけどね。ちょっと惜しいタイプかな。」と評価されてしまうような。
 
飽きてやる気をなくつつあり、でもまじめだから義務感で通っている、そんなふうにも見えました。

倦怠感に見えた、その実際のところは?

少し時間を取って本人と話をしてみたのですが、
 
・家では妹のお世話や家事のお手伝いもしっかりやっている。
・でも、それで時間がなくなっているというわけではない。
・ゲームはしないが、テレビはけっこう見ている。
・学校の宿題はちゃんとこなしている。

 
とのこと。
 
「読書とか自宅での自主トレ・宿題もちゃんとやろうね!」というと、はにかんだような笑顔で「はい。分かりました。」と礼儀正しく答えます。
 
でも、やっぱり変わらない。
 
お母さんに現状を率直にお伝えして、親子で話をするよう促してみました。
義務感で続けているようなら、やめてもいいんだよって。
自分としてはどうしたいのかって。
 
そうすると意外な答えが。
 
「やっていて楽しいし、これからも続けていきたい」と。
 
さて、こういう場合どうするか、、、ですね。

意欲的に取り組めていない子どもにどう対処するか?

もともと「いやいやながら、やらされている」場合

書道とか塾とか、そういう習い事では、こういう例は多いかも知れません。
 
そういう場合は、「やることの価値・メリット」を十分に理解させた上で、それでも変わらないのであれば対処はシンプルです。
 
週1回「その時間」だけでも取り組むことで何らか得るものがあり、費用対効果に見合うと(親が)判断できれば続ける。そうでなければやめる。
 
速読講座の場合は、
・少なくとも本を読む習慣が続く
・力のある子と一緒に学ぶことで刺激を受ける
・(親にとって)子どもの学習について全般的に相談できる

というメリットと、
・毎週75分間という貴重な時間を無駄にする
・その分、ストレスと疲労感がたまる

というデメリットの比較計算ですね。

やる気はあるけど、実際、意欲的に取り組まない場合(その1)

今回話題にしている女の子は、もともと次のような問題意識を持っていました。
・本を読んでこなかったため、言葉の理解が遅いと感じる。
・授業ではまじめに聞いているし、ノートも写しているけど、
 十分には理解できておらず、先生の説明が流れていく気がする。
・塾に通うより前に、学習の基本をしっかりつくらないとダメだと思っている。

 
そして、最初の頃、つまり1年前はかなり意欲的に取り組んでいました。
問題意識があって始めたばかりという事情に加えて、一緒に学ぶ子ども達が、かなりスーパーな子ばかりだったんですね。
 
東野圭吾を1ページ3秒で読み、夏休み中に400冊ぐらい読むような女の子がいたり、難しい本を楽しそうに毎日読んでいる子がいたり…
そんな子達が作っていた意欲あふれる空気が薄れています(ないわけではないのですが)。
 
現在、読書が苦手な子ども達を丁寧に指導することに重点を置いているため、意図的に人数を絞っているのですが、それが悪い方向に作用した可能性があります。
 
これは教室運営者である私の責任ですね。(汗)
 
であれば、最初に指導者が行うべきは、教室運営の見直しです。

やる気はあるけど、実際、意欲的に取り組まない場合(その2)

教室運営を見直すことも大切ですが、それとは別に本人の問題も何とかしなければなりません。
まずやるべきは、「なぜこの教室に通い、熱心に取り組む必要があるのか」という初心ともいうべきことの再確認と再設定です。
 
・そもそも、1年半前に教室に通おうと思ったのはなぜだったかな?
・その時に手に入れたかった目標は、もう十分に達成できたのかな?
・手に入っているとしたら、今からさらに何かゴールを設定できるかな?
・手に入っていないとしたら、今からどういう姿勢で、どんなことに取り組んだらいいかな?
・それを十分に達成できたら、どんな素敵な自分になれそうか?

 
そんなことを問いかけながら、目標の再設定と、その目標を達成するために必要なの取り組みについて考えさせます。
 
もちろん、紙に書き出させて、日々その取り組みをチェックしていく仕組みも必要です。
 
これだけでも動き出す子は多いものです。

やる気はあるけど、実際、意欲的に取り組まない場合(その3)

「目標も明確。やっていて楽しいし、続けていきたい。でも、それ以上にはやらない。」
 
こういう状況って、大人でもよくあることかも知れません。
 
うちの妻も、スポーツジムに週2で通っていますが、それ以上に自分を追い込んだり、スポーツをたしなんだりはしません。
 
やらないとまずい事態に陥りそうだし、やれば楽しいからやる。
でも、それ以上を追うモチベーションがないといったところでしょうか。
 
これを変えうるのは、今のところ「親だけ」だというのが私の(仮の)結論です。
(毎日会う学校の先生にも可能といえば可能ですが、大勢の生徒を見続け、励まし続けるのは結構大変ですからね。)
 
親が子どもと目標と夢を共有し、伴走者として励ましていく。
ともに変化を感じ、それを喜び、さらなる向上、そこに向かう行動に誘う。
── それを続けていく親の根気と、それを継続できる仕組みです。
 
うるさく言うのではなく、暖かく励ます姿勢。
時には大人としてアドバイスをプレゼント。
 
それができるのは親だけですし、その過程を通じて「やるべきこと以上に取り組んだ、その先にこそ本当の達成感と喜びがある」ことを教えることができます。
 
私のような週に1度しか関わらない指導者は、親御さんに適切なアドバイスをし、励ましていくというポジションが一番と考えています。
 
今回のその女の子について言えば、お母さんが私の息子が通う保育園の先生なのでまめに話をしています。
が、保育園の先生というのは朝が早かったり、夜が遅かったり、さらに小さな妹がいたり…で、「お姉ちゃんの伴走者として応援していく」ことが、なかなかできずにいらっしゃいました。
 
これをきっかけに「親が変わることが子どもを変えることにつながる」という意識を持っていただき、親子二人三脚で取り組んでもらえたらと思っています。
 
これは、速読講座だけでなく、この先もずっと生きてくる大切なことですし!

子どもを変えるにはお母さんが変わるしかない!ことが理解できる本

『子どもの成績は、お母さんの言葉で9割変わる!』(西角けいこ著)
 
勉強を頑張るにせよ、スポーツにせよ、その成果は「子どもの持つ思考の癖」が大きな鍵を握ります。
どこまで自分を追い込んでがんばれるのか、モチベーションを高く保てるのか、どこまで意欲的に自主的・主体的に取り組めるのか…そんな思考の癖。これはその子の文化といってもいいものです。
 
そして、その文化を創るのは家庭の文化であり、親の思考の癖、それが形として出てくる「口癖」は非常に重要です。
その「親の口癖」「子どもにどういう言葉をかけるのか」について、具体的に教えてくれる本です。
 
本書で紹介されている「はぐくむ言葉」と「つみとる言葉」は、意識して使いこなしたい(あるいは使わないようにしたい)ものです。

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この記事を書いた人

フォーカス・リーディング主宰者

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